22話 オーガ侍
その後グラムによって3人のオーガ達が会議室に集められたのだが、なぜか3人ともボロボロの姿であった。
「申し訳ございません、出会い頭に襲っていたので軽く相手をしました」
グラムは全く怪我をしておらずせいぜい服が少し汚れたぐらいだ。流石フロアボスというべきか、グラムとオーガ達の戦いが見れなかったのが少し残念だ。
「そうか・・・グラム、ご苦労だった」
「っは!」
「さて・・・ようこそ、俺は神崎・エドワード・光輝。このダンジョンのダンジョンマスターをしている。まず聞きたいのは君たちは何故あの場所でゴブリンたちを従えていたんだ?」
俺は自己紹介をした後、すぐにオーガ侍たちに質問をした。
「・・・目覚めたら知らない洞窟にいた。自分の名前や目覚める前どこにいたのかすら何も分からなかった。ただこの洞窟にいる魔物以外の者を倒せという何か使命みたいなのは感じていた」
記憶が無いのはセフィロトによる魂のリセットによるものだろう。そして魔物以外のものを倒せという使命はおそらくダンジョンモンスターとして誕生したことによる影響。魂を持たないダンジョンモンスターたちはその使命に従って挑戦者たちを襲っていたのだろう。
「人と出会うことが無く、洞窟内を徘徊していた時にこいつらと出会った。こいつらも俺と同じく記憶が無いらしい」
オーガ侍が後ろにいるレッドオーガとブルーオーガに目を向ける。つまり、オーガ侍とこの二人が集まったのは偶然だったわけか。
「これも何かの縁だと思って一緒に行動をしていたんだが、そんな時に落とし穴にはまってしまったんだ」
落とし穴は8階層以上に俺が作った下の階層へ移動するトラップだ。まさかダンジョンモンスターに発動していたとは盲点だった。
「それで下の階層へ移動したのか」
「ああ・・・そしてちょうどゴブリンたちが人間の集団に襲われているのを見つけて、本能的に人間たちを返り討ちにしたんだが・・・そしたらゴブリンたちが急に俺に従うようになったんだ」
ゴブリンたちは魂を持っていないが魔物としての本能が強者に従うようになっていたみたいだ。オーガ侍たちは同じダンジョンモンスターだからゴブリンたちが襲う事は無い。
「あのゴブリンたちは戦い方を知らないみたいだったから、放っておくことが出来ず集団での戦い方を教えたんだ。ある程度戦える力を身に着けるまではここで情報を集めようと思って」
なるほど指揮を執っていたわけではないがゴブリンたちの戦い方が変わったのはオーガ侍の影響で間違いない。
「それでゴブリンたちに指導していたら今度はオークやコボルトも集まって気が付けばかなりの数まで増えていったわけだ」
他のダンジョンモンスター達が集まった理由はおそらくオーガ侍の気配を感じ、強者の庇護下に入ろうと集まったのかもしれない。
「それで戦で勝てるようになると人間たちの装備を俺に献上するようになったんだ・・・初めは助けたお礼だと思ったんだが、あんなにあっても仕方ないから集めた武具はあいつらに与えたんだ。その方が有効に使えると思ったんでな」
なるほど、それでゴブリンやオークたちが人間が使う武具を装備していたわけか。
「そんなことを繰り返していた時にこのオッサ・・・グラム殿がいきなり現れて『お前たちの主に合わせてやるからついてこい』っと言われて。仲間たちが抵抗したが返り討ちにされた・・・俺も部下がただやられるのは見過ごせなかったから戦ったが全く勝てなかった」
「フハハ!これでも俺はお前たちが暮らすダンジョンのフロアボスだ。小物相手に負けるわけがないだろう」
後ろにいたグラムは自慢げに笑っており、ブルーオーガとレッドオーガは悔しそうな表情を見せていた。本気で戦ったのに傷一つ付けられられなかったのが相当悔しいのだろう。
「もっとも・・・オーガ侍よ。お前、俺相手に手を抜いていただろ?」
「殺す気も無く、勝てないと分かっている相手に本気にはなれない。あくまで仲間をこれ以上傷つかせないために戦ったわけだし。頃合いを見て降伏しただけだ」
このオーガ侍・・・戦いの指導だけでなく、武具の割り振りに戦況の見極めとかかなり優秀なんじゃないか?生前は優秀な指揮官だったんだろうか?
「それで、ダンジョンマスターよ・・・俺たちは勝手な行動をとったことで罰せられるのか?言っとくが始めたのは俺だし罰するなら俺一人だぞ」
「いや、別に罰するつもりないから!確かに予想外の出来事だけど、そんな理由で罰するつもりは無い。俺はただ、君たちはこれからどうしたいのかを聞きたいんだ」
俺は慌ててオーガ侍に説明すると彼はキョトンとした顔で俺を見た。彼は俺が断罪するのかと思っていたようだが、俺ってそんなに悪代官みたいに見えたのか?
「・・・仲間の生活の保障をしてくれるなら後は何も望まない」
「その保証には君は含まれているのかい?」
「・・・・・・・」
このオーガ侍、仲間の為なら何でもするタイプだろう・・・ヤバい、予想以上にアニキ感があふれるぞこいつ。俺のお気に入りのユニークモンスターがこんなイケメンになっているなんてメッチャテンション上がるんだけど!
「気に入った!オーガ侍!お前の望みを叶えよう・・・衣食住の保証だが、労働など手伝いはあるが構わないか?」
「ああ・・・安全に暮らせる場所を与えてくれるならそれ以上望まない」
そうなると、色々とダンジョンの構造を練り直す必要があるな。いっそ第5階層にダンジョンモンスター専用のスペースを作ってそこで生活してもらうか。挑戦者たちが入らないように壁で塞いでおけばいけそうだし。
「オーガ侍・・・お前に名前を与える」
「名前ですか?」
「オーガ侍ってのは、モンスターの名称だからな。名前があった方が便利だろ?『グンナル』・・・それがお前の名前だ」
『群れを成す』って意味も含めてだが、俺が好きなゲームのキャラから取ったってのもある。
「ありがとうございます!このグンナル、コウキ様の剣となる事を誓います」
グンナルはそう言って深々と頭を下げ、ブルーオーガとレッドオーガも続けて頭を下げる。
オーガ侍改め、グンナルとその配下が俺の仲間になった。
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