19話 女神は普通(?)の女の子になりました
「さてセフィロト。あなたは無事に復活することが出来ましたがこの後どうするか決まっていますか?」
「この後ですか?もちろん神殿に戻って転生した魂達を確認するつもり・・・あ」
エイミィの問いに答えるセフィロトであるが途中で彼女の意図に気付いた
「残念ながらあなたがいた神殿はあの戦いで崩壊して海の底です。そこで提案なのですがあなたもこのダンジョンで暮らしませんか?魂の確認は別に神殿じゃなくてもできますよね?」
「そうでした。ですが良いのですか?私が住んでも」
「今は神狩りが世界中で行われています。私だけでなくあなたも狙われる可能性は十分にあります。このダンジョンは神を守るための砦なのですからあなたがここにいてもおかしいことはありません」
エイミィの提案にセフィロトは少し悩んだ様子であるが、現状を考えるとエイミィの提案は悪くない。
「ただし、あなたが女神セフィロトであることはここにいる光輝とメリアス以外には秘密です」
「別にフロアボスたちには話しても良いんじゃないか?いざって時に頼ることもあるだろうし」
「知ったら色々と気を使わせちゃうだろうしセフィロトはそういうのは好きじゃないでしょ?」
「ええ、それに女神としてではなく普通の少女として扱われるのも良いかもしれませんね」
このダンジョンで生活している時点で普通ではないと言いたいが黙っておくことにした。
「そうなると名前はどうしようかしら。光輝、セフィロトの新しい名前を付けてくれない?」
物凄く重要なことをシレっと丸投げされたんだが!女神様に名付けとか。
「エイミィのネーミングセンスの悪さは良く知っていますし、私もつけてもらうなら光輝さんにお願いしたいです」
「そうか・・・・んーアルラはどうだ?」
思いっきり、植物型の魔物であるアルラウネから取ったんだが。
「あら、いいわね。セフィロトよりも呼びやすいし」
「いいですね。アルラ・・・気に入りました」
意外にも二人から好評を得たため、セフィロトを改めてアルラがこのダンジョンで暮らすことになった。
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「おいしいいい!!!こんなおいしいの初めて!」
アルラの歓迎会ということでフロアボスたちに紹介した後にメリアス達のご飯をごちそうしたのだがアルラは非常に気に入った様子で次々と料理を食べていた。
ちなみにアルラはメリアスがエドワード達の真似をして植物に魂を宿して誕生したという事にしている。
「あの嬢ちゃん、もうポークソテーを6皿目に入っているが胃袋どないなっとんねん」
「他のおかずを含めて明らかに胃袋の体積以上は入っているぞ」
「はい、アルラおかわりまだありますよ」
「いい食いっぷりじゃないか!どんどん食って大きくなれよ」
あまりの食いっぷりにゾアとカーツはやや引き気味だったが逆にメリアスとグラムは彼女に料理を勧めていた。
「なああの子って以前からあんなに食べるキャラだったのか?」
「そもそも神は食事をとる必要は無いわ、多分これが彼女にとって初めての食事ね。そのせいで食事の楽しさに目覚めたのでしょう。加えて彼女はレオガラの花をベースにした植人族。膨大な栄養を取って咲かせる性質を受け継いでいるみたいね」
どうやらセフィロトを改めアルラは見事に大食いキャラが定着したのだった。
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その後歓迎会を終えた後はアルラの部屋を作り生活に必要なものを取りそろえた。現在はメリアス、エイミィ、俺の三人で寛ぎながら話をしていた。
「ふぅ、食事とは実に素晴らしいものですね。これまでの神生を少し後悔しています」
「旧文明でもあのレベルの料理はそうそう無いわよ。ここの場合素材が良いってのもあるけど」
「旧文明ではどれくらい発展いていたんだ?」
「そうね、地球で言えば光輝が生きていた時代より50年くらい前かな。空飛ぶ乗り物や列車なんかは開発されていたわね」
「丁度技術力が急激に成長する時代でしたね。ザズムフ達が暴れなければこうはならなかったのに」
セフィロトがそう言う顔を下に向けて黙り込んだ。彼女にとって旧文明の話はあまりしないほうが良い。
「ところで、アルラから見てフロアボスたちはどうだ?凄く頼りになる奴らなんだが」
「ええ、想像をはるかに超える実力者たちです。正直8名だけと聞いたときは少し不安でしたがエイミィを守護するのに相応しい実力者だとすぐに分かりました・・・それに」
「それに?」
「おそらく、このダンジョンはさらに強くなります。光輝さんの予想をはるかに超えるほどに」
セフィロトはそう告げるが、この時俺はその意味を理解していなかった。
彼女の言葉の意味を理解したのはそれから数日後のことであった。
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