食中毒
今いるのは60人くらいの部署ばかりだが、若い時は10名くらいの小さな部署にいた。
勤務時間も時差勤務がなかったので、仕事帰りに気軽に飲みに行くことがあった。
職場の飲み会について色々論じられるが、私は好きだ。子どもが生まれてからは冷静さを欠くことはなくなったが、その前は自分のストッパーが甘かったので楽しいしかなかった。
世の中も飲み会が多かったが、昔は飲食店の食中毒も今より驚くことではなかったと思う。
私のも二回ほど経験がある。
一回は、職場の忘年会で生ガキが出た。
1人1つづつ殻付きの生ガキが出た。後輩がカキは苦手と言い、私だけ2つ食べた。
たらふく食べて飲んで、となりのテーブルの野村総合研究所のスーツのおじさんとも冗談かわしたりして楽しく過ごした。
上司も泥酔するから私に遠慮なく色々言うし、私も言い返したりしていた。
週明けに職場に行くと、「大丈夫だった?」と聞かれた。
どうやらみんな忘年会のあと嘔吐、下痢に襲われたらしい。
私は当時、実家でまだ家のことはやってもらっていたので、たぶん疲れとかも違ったんだと思う。
新聞にも載った。隣のおじさんたちの会社名が書いてあった。あちらもほぼ全員だったらしい。
同じ忘年会なのに、私達の職場名は載ってなかったのは何でだろう……。
そうか、私達話個人名で予約したんだ、それから職場のお金で飲食してないからか。職場の忘年会でも私的なものになり、お叱りを受けることはなかった。
食中毒とは全然関係ないが社会の仕組みの勉強になった。
数日間は私と私に生ガキをくれた後輩だけが元気で、ギリギリ回復したが、げっそりした係長とで何とか乗り切った。
あの時が一番忙しかったし、職場の環境もひどかった。
のに、みんな笑っていた。
あまり上の人によい顔はされないこともしていたが、笑っていた。
笑って終わらせること、ばっかりだったな。