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居候のポンコツ魔王がダメ過ぎる  作者: くりゅ~ぐ


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第48話 ショーテル


美しいな……。


反りと言うより湾曲(わんきょく)、それもかなり曲がっており、コレの形状は独特と言うより特殊と言っても良い。

だがその特異とも言うべき形だが美しさがある、そんな不思議な剣だ。


それにこの剣はピーキーだが、それだけに慣れればかなり強力でもあり、使い手を選ぶ剣。それがこの剣、ショーテルを表す言葉になる。


魅入られるなコイツも。

刀、日本刀にも負けず劣らずの魔性っぷりだ。もしこの剣が女なら、俺は破滅する程に入れあげてただろう。それほどの魔性を秘めている。


「・・・」


ん?


「おいちんちくりん、何か言いたそうな顔だな」


「別に~」


何が別にだよ。お前の顔に書いてあるんだよ、言いたい事がありますってな。


「何だよお前。武器の手入れしちゃダメなのか?」


「そんな事は言うておらん。ただお前、その剣を見ながらうっとりとした表情で、ため息を吐いておったからな、それで見てただけじゃ」


「ため息位吐いても良いだろ。この剣は良い剣だ。実際コイツに慣れたらかなり強力な武器だからな」


この剣ショーテルはエチオピアの剣だけど、大きく湾曲した弓の様な形だが、その独特の形はパッと見ネタ武器の様に見える。

ついでに慣れたらと言う枕詞(まくらことば)が付くけど、コイツは慣れれば本当に良い武器だ。

コイツには俺も何度も救われた。向こうで使っていた剣だが、思い入れのある武器の一つでもあり、聖剣よりコイツの方が俺にとっては頼りになる。


「しかし何度見ても変わった形の剣じゃのう。忌々しい事にその剣には、何度も命の危険を感じさせられたわらわからしたら、出来ればあまり見たくは無い剣じゃがな」


「普通の武器より使い方が多いし、単純にコイツは攻撃の手数が多いからな。何回お前の防具を切り裂いたか」


あっ、そう言えばこの剣で、魔王アレクシアの防具だけで無く、服とかも切り裂いた事が何度もあったっけ? ヤバっ、その事をコイツが思い出したらまたギャーギャーうるさいぞ。


(わらわ)の服を切り裂いてお前は何をするつもりじゃ! とか、お前のその変な形の剣は、妾を辱しめる為の剣か? とか、色々言ってたなコイツは。


だけどなぁ。基本俺は糸を使って攻撃してたし、コイツの服とか防具を切り裂いたのはこの剣より、糸の方が多かったんだけど。

うん、どっち道、服とか防具を結果的に切り裂いて、只でさえエロい格好をしてたコイツを、更にエロい姿にしてた訳だから、その事を思い出したらまたギャーギャーと俺を責め立てるんだろうな。そうなったら堪らん。


しかし今にして思えば、服を切り裂きひん剥いてたら、そうしておけばコイツは、恥ずかしがって直ぐ撤退と言う名の逃げを打ってたな。

どうせコイツに、ギャーギャーと責め立てられる事になるなら、マジでひん剥いておけば良かった。

そうすれば毎回性懲りもなく、俺に突っ掛かって来なかったのにな。


「ん~? 切り裂いた……? アレ?」


あっヤバ。コイツ服を切り裂いた件を思い出しそうだぞ。不味い。


「おいアレクシア!」


「な、なんじゃ?」


良し、急に俺が大声を出したから、ビクッとしたな。意識を剃らせたかな? 念の為もう一押ししておくか。


「いやホラ、フル◯チェがそろそろ固まったんじゃないかと思ってな。それで」


「ちと早くはないか? それに今回作ったフ◯ーチェは、少し大きめの器に入れたし、まだ固まってはおらんじゃろ? それと悠莉よ、いきなり大声を出すで無い」


そうだな、まだ固まってないだろうな。だけどお前の意識を剃らす為に言ってるんだよ。


「そうかな? 一回見て来たら?」


「ん~、そうじゃな……。一回見てこようかの」


良し良し、意識が向こうでのあの件から、フル◯チェに移ったな。危なかった。


「やはりまだ固まってはおらんな。なぁところで悠莉よ、わらわそろそろ新しい水着が欲しいんじゃが」


「水着ってお前、この前買ったばっかだろ?」


「何を言うておる、アレはわらわが元の姿に戻った時に買ったのではないか。前に言っておったじゃろ? 今年も新しい水着が欲しいと」


そう言えばそうだったな。と言うかお前、新しい水着を買うのは良いけど、誰に見せるんだ?

それに海に行く訳でも無いのにコイツは。

どうせマンションの上にある、居住者専用のプールに、たまーに行く位しか着る機会は無いのに。


去年買った水着はまだ入るだろ? 何故ならコイツは身体が一切成長していないんだから。


「水着なら買いに行くんだよな?」


「当然じゃ」


ヒキニートのくせしやがって、コイツは服関係だと外に買いに行くんだよな。


「別に良いけど。明日行くか?」


「そうじゃな、明日行こうかの」


正直面倒臭いなぁ。とは言え買いに連れて行かないと、余計面倒な事になるんだよなコイツ。

水着ならスクール水着でも着てたら良いのに。

あーあ、コイツ毎回毎回、買い物に時間掛かるから面倒なんだよな。あーあ。


「なぁ聞いておるか? 武器の手入れをヤメい。明日……」


手入れの途中で止める訳無いだろ。いやまぁこっちで使う予定は無いけど、だけど常に状態を確認し、何時でも使える様にしておかなきゃな。


しかし美しい刀身だよ。火竜の鱗を細かく砕いて粉状にし、ミスリルや神鋼やらの超希少金属を絶妙な配合で造り上げた逸品。うん、この輝き、イイ、とってもイイ。

流石、ドワーフの名工の造り上げた神剣と、言われてるだけはある。

これ一振で城どころか、国が買えると言われてる程の剣だよ。良いねぇ、堪らん美しさだ。

俺はこのショーテルの方が、聖剣よりも遥かに好きだな。


「おい、お前絶対、わらわの話を聞いておらんじゃろ? 顔を見たら分かるんじゃぞ。だらしない顔をしてその剣を見つめる顔……。悠莉よ、お前魅入られ過ぎじゃ。悪い女に引っ掛かった様じゃぞお前。前から思っておったが、その剣は魔剣か?」


「ハァ~? お前俺のショーテルをビッチ扱いすんな。この剣が魔剣? バカめ! 神剣と呼べ、このエセロリが! 何て事言いやがるんだ、クソ金髪め……」


「誰がクソ金髪じゃ? それとわらわをエセロリとか言うで無い。もう! なぁ悠莉よ、お前は何で武器の手入れをする時、その様な顔になるのじゃ? 前も言うたが、お前本当に気持ち悪い顔をし、もの凄くだらしない顔をしておるからな。わらわはお前の事を知っておるからエエが、知らん奴がお前を見たら怖がると思うぞ」


「俺は真面目に武器の手入れをしてるのに、何て事を言うんだお前は。失礼な奴だな」


人の真剣な姿を見て、そんな事を抜かすとは、コイツは何様だ? どうせ聞いても魔王様じゃ、とか抜かすんだろうな。


ん~? そう言えばコイツ、日本に来てから武器の手入れしてるのを見た事無いぞ。

どうせアイテムボックスに入れてるから、大丈夫とか思ってるんだろうな。

向こうで手入れしたのに、そう何度もやる必要が無い。それにこっちで使う事は無いからって、多分コイツはそう思ってる。


使わずとも、手入れはちゃんとして、武器の感触を忘れない様にしないといけないのに、それなのに。

コイツ多分、力が元に戻っても、前より絶対弱くなってる。だって日本に来てから一切鍛えて無い上、武器の感触とかも忘れてるだろうし。


間違いなく弱くなってるな、そら毎日食っちゃ寝してアニメ観て漫画読んで、それにゲームかネットしかしてないもんコイツ。

向こうに帰ってもよわよわ過ぎて、下克上されるんじゃないだろうか?


「なぁ、お前聞いておるか? 明日、水着、買いに、行く。大丈夫じゃよな? 明日になったら実は忘れておったとか無いじゃろうな?」


「聞いてるな聞いてる。明日だろ? 分かってるから」


うっせーな……。一回聞いたら忘れないよ。

コイツ服とかになったら、うるさくなる奴だよな。と言うかお前の水着何て誰も見ないよ。本当、面倒臭い奴だなぁ。


「大丈夫か? お前がそんな言い方をする時は、わらわの話をちゃんと聞いておらん時があるからのう。そんな変な武器の手入れなぞヤメてわらわの話を聞け」


今何て言ったコイツ?


「お前……、今何て言った……? 変な武器、そう言ったな?」


「いや、言葉の綾じゃ」


このクソロリ、ボソッと不味いって言いやがったな。俺はちゃんと聞こえたぞ。


「言葉の綾?」


「そうじゃ、言葉の綾じゃ」


ほう……。言葉の綾か。そうかそうか、言葉の綾な。へえ……。

俺の大事なショーテルを侮辱しておいて言葉の綾で済ますんだ。ふーん……。


誤魔化すにしても言い方ってもんがあると思うけど、そうなんだ。


「お前はそれで俺を誤魔化せると思ってんの? 俺のショーテルを変な剣って暴言を、言葉の綾で済ますと?」


「いや、じゃから、悪気は無いんじゃ。お前がわらわの話を聞いていなかったからじゃな……」


「で、俺のショーテルを変な剣と?」


何をお前は汗をかいてるんだ? そんなに暑いのかな? あー、冷や汗か。

冷や汗かいてるって事は、さっきの発言が暴言だって自覚してるって事だろ?


「いやまぁ、その剣曲がっとるしな」


「そう言う造りなんだよこの剣は。お前……。また俺のショーテルに、お前の血を吸わせてやろうか?」


「お前武器の事になると、本当に面倒臭い奴になるのう」


誰が面倒臭いだ。コレは俺の宝だぞ。お前のアニメや漫画や、ゲームのコレクションみたいな物なのに。


「チッ……。俺に勝てなかったからって、武器にケチつけやがって」


「はぁ? わらわ負けておらんし。大体じゃな、お前ちょっと分が悪くなったら糸を使っておったじゃろ。その剣が大事と言っておるが、大事にし過ぎじゃぞ。どうせ剣が壊れるのが怖かったんじゃろ? それにわらわそのひん曲がった剣に負けたのでは無く、お前の糸にちょっと手こずっただけじゃし。わらわ負けておらんし」


「このエセクソロリ、お前そんな事を、そんな暴言を抜かすのなら、東部戦線送りにしてやろうか? 誰の剣がひん曲がった剣だ」


この剣はこう言う造りだって何度も言ってんのに、このアホは。

一回も俺に勝てなかったくせ。大体だな、お前こそ分が悪くなったら直ぐ逃げてたくせ、マジで負けず嫌いだなコイツ。


「意味が分からぬ。何なんじゃ東部戦線送りとは?」


「はぁ? 東部戦線送りとは、第二次世界大戦の時のドイツ軍で言われてた事だ。東部戦線送り=生きて帰る事が出来ないって意味だぞ、そんな事も知らないのか?」


「そんなもん分かるか。お前本当~に! 武器の事になったらたまにおかしくなるのを、治した方がエエぞ」


「人を病気みたいに言うな」


マジでこのクソロリ、地獄の東部戦線送りにしてやろうか?


「そんな事よりもじゃな、明日は昼前に家を出て、外でご飯を食べぬか?」


「別に良いけど。でも朝お前起きれるの?」


「問題ない」


張る胸も無いクセ、胸を張って言うとはこれ如何に? だな。

まぁコイツって服関係を買いに行く時は、基本早起きだから多分大丈夫か。

それに惰眠を貪るコイツを、近頃は強制的に起こしてるから、早起きにも大分慣れて来てるしな。

鍵を掛けて部屋に入れ無い様にしようと、延々ノックしたり、部屋の前で大声で叩き起こしてるから、身体も慣れては来てるし大丈夫か。


基本一緒に朝食。

これが出来ないと、お小遣いを減らすと言ったら効果は覿面(てきめん)、起き抜けで不機嫌になろうがちゃんと起きて来るし。


そもそもの話、コイツが夜更かししなきゃ良いだけの事だしな。


「おい、気のせいかお前、わらわを憐れんだ目で見て来ておる様な気がするのは、わらわの気のせいか?」


「気のせいだ。被害妄想も甚だしい」


ヤバいヤバい。表情に出ちゃってたか、気を付けよう。


「まぁエエけど……。明日はオムライスが食べたいんじゃが、エエよな? ホレ、南十字星で食べたい」


「別に良いけど」


オムライスか。俺も嫌いじゃ無いし良いんだけどな。でも夏のクソ暑い時に食いたいって珍しい。


「それでの。あそこ唐揚げがあるじゃろ? 持ち帰りも出来るし、明後日の昼は唐揚げにしたいんじゃが、エエよな?」


「別に良いけど、でも唐揚げって脂っこくって、夏場の昼飯としては濃くないか? アッサリした物が良いだろ? 昼じゃ無く、夕飯に回した方が良くないか?」

「いやエエ! 明後日の昼ご飯は唐揚げがエエ。なっ、そうしよう」


コイツ食い気味に……。

俺が言い切る前に言葉を被せてまで。そんなに唐揚げが食いたかったのかな。


「そんなに昼飯に唐揚げが食いたいんだったら、別に良いけど。唐揚げだけで良いのか?」


「エエ。うん、唐揚げだけでエエ。わらわ明後日の昼は唐揚げだけでエエから」


そんなに食いたかったのかよ。まぁ良いや、とは言えそれだけじゃ寂しいな。そうだな、トマトを切って出したら昼飯としては問題ないか。


しかし唐揚げなぁ。夏の昼飯は素麺が良いんだけど、コイツがこれだけ唐揚げが食いたいって言うなら仕方ないか。


素麺はいつ食べても美味いけど、夏場は特に美味い。

夏の昼飯って言ったらやっぱ素麺なんだよな。

まぁ良いや、たまには違う物も気分が変わって良いか。


それにしてもコイツは、何でホッとした顔をしてるんだろう? まるで危機を乗り越えたみたいな顔をしてる様な気がするのは、気のせいかな?


「良し良し、とりあえずOKじゃ。ホレ悠莉よ、早くそのひん曲がった変な剣の手入れを終わらせてくれ。わらわピーチメルバが食べたい、作ってくれ」


このクソロリ……。


「おい! お前今また変な剣って言ったな? しかもひん曲がった剣って言っただろ? お前()()俺のショーテルで切り刻んでやろうか? チッ、このアホ……、またひん剥いてやろうか? 何がピーチメルバだ? 自分で作れ」


「あっ! いや、い、今のは……。ん~? また切り刻む? またひん剥いてじゃと……? あー! お前あっちの世界でわらわの服を切り裂いた事を言うておるのか? そう言えばその剣でわらわの服を切り裂き、わらわの事をいやらしく辱しめてくれおったな」


ヤベ……。つい興奮して口走ってしまった。

あーあ、どうしよう? アレクシアちゃんが顔を真っ赤にして責め立ててくるよ。これは面倒臭い事になるぞ。


とは言えだ、このクソロリは俺のショーテルちゃんに暴言を吐いてくれたよな? これって俺が全面的に悪いのか?


大体だな、昔の事を今蒸し返されてもって話なんだが。うん、戦いの最中に意図せずあの様な不幸な結果になったのであって、俺は決していやらしい気持ちでやった訳では無い。


だからそんなに怒るなちんちくりん。

ギャーギャー(わめ)かれても知らん。不可抗力だよ。


それにこっちに来た時に、あの神に真っ裸にひん剥かれたじゃないか。だから今更だろ?

決して言えないけどな。言ったら更にややこしくなる。


「お前はわらわを辱しめて……。あの様な事をされたら、わらわもう嫁に行けぬではないか!」


心配しなくても、お前みたいなポンコツを嫁に貰う奇特な奴は居ないよ。

言ったらややこしくなるから言わないけどな。



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