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居候のポンコツ魔王がダメ過ぎる  作者: くりゅ~ぐ


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第43話 昔語り 静編⑤ デートしようぜ!


「兄ちゃ~ん♪」


「静おい、お前離れろよ。歩きにくいし暑苦しい。なぁ聞いてる静?」


「冷房効いてるから涼しいよ。家のクーラーより効いてるから全然暑くない」


「俺が暑いんだよ。それに歩きにくい。くっつくなよ、抱きつくな」


「えー」


「えーじゃ無いの。子供はな、体温が高いから暑いの。離れて歩きなさい」


確かに室内はクーラーが効いてるから涼しいよ。でも抱きつかれながら、ベタベタくっついて来られると暑いし歩きにくいし邪魔。

あのソフトクリームの出来損ないを貰えたのがよっぽど嬉しかったのか、さっきからご機嫌だよなコイツ。


「だって~。兄ちゃん好き♪」


「ありがとよ。とりあえず離れろ、な、静」


「うーん、分かった。あっ! 兄ちゃん兄ちゃん。あのおねーさんすっげーおっぱ…… モガモガ」


言わせねーよ。コイツまただ、またおっぱいでっかいって言いかけやがったな。

危ない、そんな事をデカイ声で言おう物なら、一緒に居る俺の人間性が色々疑われる。

多分周りには兄弟だと思われてるだろうから、保護者に見える俺に非難の目を向けられる事になる。うん、下手したら俺がコイツに言わせてるって思われちゃうもんな。


「もう、何すんの兄ちゃん? 息が出来なくなるだろ」


「静、頼むから、頼むから人様が居る所で、外で変な事を言うのは止めてくれ。頼むから」


言ってもムダなんだろうなぁ……。それでも言わざるを得ない。じゃないと静の奴、どんなとんでもない事を言うか分かったもんじゃないからな。しかもデカイ声で言うからなぁ。


「変な事って?」


「人様の身体の見た目だとか、下品な事だよ。後は変な歌も止めろ。お前がこっちに来る時に車で歌ってた様なあんな歌とかもダメ」


「えー、歌も歌えないの? えー」


「えーじゃ無いよ。お前もう本当に頼むから、大人しくしてくれ」


「えー、私から歌を奪うなんておーぼーだよ。そんな事をするなら兄ちゃんにいたずらされたって大声で言うぞ」


このガキまたか? 何て恐ろしい事を抜かしやがるんだ。大体意味を分かってるのか?


「静……。お前もしそんな事をしたらマジでここに置いていくからな。と言うかお前は俺を社会的に抹殺しようとしてんの? 真剣シャレにならないからマジで! 止めろよ。それ系は本当にややこしくなるから本当に止めろ。もしやったらもう二度と遊んでやらないからな」


「て、フリ?」


「違うわ!」


このアホは何がフリだよ? そんなフリをお前にしないわい。もうヤダコイツ。


「静、お前もう本当に二度と遊んでやらないぞ」


「冗談じゃん。兄ちゃんと遊べなくなるのはヤダ。ねえねえ、言わないから~、ごめん兄ちゃん。ねえ兄ちゃん」


「そう思うんならしょーもない事をしようとするな。お前は誰にそんなアホな事を聞いた? 下らん事は止めろ」


「学校で防犯講習があってそれで聞いた。変質者とか痴漢が出たら、大声で叫びなさいって」


「・・・」


まさか静の奴って俺の事を変質者って思ってるのかな? それとも痴漢? どっち道コイツは、学校で教わった事を悪用しようとしてるんだな。

この悪ガキめ、とんでもない奴だよ。静の奴、本当に俺を社会的に抹殺しようとしてるんじゃないだろうな?


「兄ちゃんゴメ~ン、言わないから~、二度と言わないから嫌いにならないで~。遊ばないなんて言わないで~」


「そう思うなら本当に止めろ。あっ、お前抱きつくな、コラ静」


「悠莉兄ちゃ~ん、嫌だ~。ゴメンなさ~い、嫌いにならないで~。兄ちゃんにいたずらされたって言わないから~」


こ、コイツまた、また言いやがった。

しかも悪気とか悪意とか一切無しで……。

悪意も悪気も一切無いからこそタチが悪い。

それにそんな半泣きですがり付いて来られると、俺が悪いみたいに見えるじゃないか。


「だからそう言う誤解を招く事を言うなって言ってるの! お前な、そんな事を言ってたら本当に俺に二度と近寄れなくなるぞ。それ系は例えシャレだとか冗談でも大問題になるんだからな。嘘でもそういう事は言うな、このませガキが。とりあえず離れろ、暑いし邪魔」


「私の事嫌いにならない?」


「ならないから離れろ」


もう、いちいち抱き付いて来て。何で抱き付いて来るんだ? 暑苦しい。


「じゃ好き?」


「静、本当にお前を置いて一人で帰るぞ」


「えー、私の事嫌いなの兄ちゃん?」


「ハイハイ、好き好き」


「えへへ。私も悠莉兄ちゃんの事好き~」


チョロい奴だ。あんなおざなりに言ったのに嬉しそうにして。

悪知恵が働くと言っても所詮はガキんちょだな、仕方ない奴だよ。とは言えだ。

周りの方々の視線が痛い。別に三百六十度見ている訳では無いが、気配で分かるんだ。

訝しげに俺を見ている奴。逆に微笑ましそうに俺達を見ている奴。

怪しさと共に、注意して俺達を見極め様としてる奴とか、正義マンぶってる奴が、てぐすね引いて待機してる。

自分こそが正義と思い込んでる暇人とかが俺と静を見てたりとかが、気配で分かる。


なっ、ややこしくなるだろ。下手したらコレ事案だよ、制服を着た国家権力の方々が来てお話案件だよ。


「もう行くぞ、離れろ。家に帰るのが遅くなる、早くコールドアイアンに行こう」


「分かった! ねえねえ、私の事嫌いにならない? もう怒ってない?」


「次やったら怒る。嫌いになる」


「分かった! もう言わない。ヒャッハー」


嬉しいからって踊るなよ。邪教の盆踊りは止めてくれ。まぁくっつかれるよりはマシだけど。



~~~


「うっまそ~」


「・・・」


コイツ本当にどんだけ食うんだよ? 一番でっかいサイズを二つって。マジでスゲーな。

静の奴幸せそうな顔しちゃって。さっきまで俺にすがり付いて半泣きになりながら抱き付いて、ゴメン連発だったのにもうコレか。

嫌いにならないで、もう言わないからって言ってたけど、それはそれでその姿と言うか、誤解を招く絵面になるんだよなぁ。まぁもう良いけど。


「イチゴのもチョコのもうっまーい! 最高だ! この世の春だぜー!」


今は夏だよ。しかも夏真っ盛りだよ。


美味(うま)い美味い美味い。どっちも美味い。はぐはぐはぐ」


交互に食って味が交じらないのか? それでも美味いんだろうけど。それにしてももう少し落ち着いて食えば良いのに。頭がキーンってなりそうだな、見てるだけで俺の頭がキーンってなりそうだ。


しかし混んでるなぁ、夏休みだからか激混みじゃないか。店員さんもずーっと歌いっぱなしだし。

うーんここでも静は注目浴びてるね。周りの女の子達が静をチラチラ見てるし、凄いカッコいいだのなんだのと言ってるのが聞こえて来る。

静の奴は全く気にしていないけど。それとも慣れすぎて気にならないだけかな?

小学生だけで無く、中学生や高校生も静をカッコいいだの可愛いだの言っている。うん、あの兄弟似て無いだって? そら俺と静は兄弟じゃ無いからな。血が繋がって無いんだから似てる訳が無い。


「兄ちゃん美味~い。やっぱコールドアイアンは最高だね」


「そうだな、美味いよなここ。俺も好きだ」


難点は少々高いって点だけど、それに見合う価値はある。それに今は金を気にしないでも良いから出来れば美味い物を食いたい。


「なぁなぁ兄ちゃん、私、私ね、もっと食べたいんだけど…… ダメ?」


「別に良いよ。良いけど食えるのお前?」


「まだまだ食べられる! ねえねえ兄ちゃん、本当に食べても良いの? お金大丈夫?」


「気にすんな」


召喚される前ならともかく、今は成金になっちゃってるからな。この位どうって事もない。


「本当に? なら、サーティーン(13)で食べたい」


「良いけど、お前サーティーンでも食うのか?」


「食べたい。やっぱダメ?」


「良いけど腹壊しても知らないからな」


「大丈夫! 朝う○こいっぱいして来たから」


こ、このアホタレはまた……。


「お前物食ってる時にデカイ声でそんな事を言うなよ」


「えー、そんなに大きな声出して無いよ~」


そうだな、絶叫って訳では無かったな。だけど周りのテーブルに座ってる他の客には聞こえる位の声の大きさではあったよな。

もう……、周りの目が痛いんですけど。控えてくれないかな、無理だろうけど。


「なぁなぁ兄ちゃん。兄ちゃんって、コールドアイアンって、あっちにもあるよね? 家の近くにあるの?」


「近いちゃ近いな。なんで?」


「だって近くにあったら何時でも行けるでしょ? 良いなぁ。彼女といつも行ってるの?」


「近くにあるって言っても車か電車を使って行かないと行けない距離だぞ。それでもアインに行くよりはまだ近いし、距離も短いし時間も掛からないけど。それと彼女は今は居ない」


「あれ? 高校の時の彼女は?」


「高校の時って誰の事だ? 何人か居たからな。それと高校の時の彼女はみんなとっくの昔に別れてるよ」


とっくの昔にってのはちょっと違うか? 召喚されてた期間があるから俺にとってはかなり前って感覚だけど、高校卒業からならそんなに時間は経っていないもんな。


「ほら、おかっぱみたいな髪型で、ちょっとだけ背が高い、何時もニコニコしてた良く笑ってたお姉さんだよ。私とも遊んでくれたあのお姉さん。あ~、そうだ、私が一年生の時のあのお姉さん。名前なんだったっけ? いつもお姉さんって言ってたから忘れちゃった」


「あー、藍那(あいな)か。それにしてもおかっぱみたいってお前、あれはショートボブって言うの」


藍那なぁ。そう言えば平均身長より少しだけ背が高かったな。ほんのちょっとだけど。

アイツ今何してるんだろ? 何時もニコニコ笑ってて、良く笑う奴だったな。


「何で別れちゃったの?」


「ん? 高校卒業して、俺は都会に行っちゃっただろ、アイツは地元に残って、それで遠距離恋愛になってそれでだな。良くある話だよ」


高校卒業してからは半年も続かなかったな。

確か夏位だったか別れたのって? 体感では十年近く前だけど、実際は一年前になるのか?


遠距離になって別れる。良くある話だ。

距離が二人を引き離すか。それに加えてまだお互いガキだったってのもあるんだろうな。


「良いおねーさんだったのにね。ふーん、別れちゃったんだぁ、へえ~」


「そんなもんだよ。距離が離れるとどうしてもな」


本当、良くある話だ。それに付き合い続けてたとしても俺はその後あの世界に召喚される事になるから、どうなってたかな?


「なぁなぁ兄ちゃん、神社の夏祭り一緒に行こう」


「お前また突然だな。どっちの? 夏祭りがある神社は二つあるだろ?」


家の近所にある神社と、家からは少し離れてるこの辺り一帯で一番大きくて歴史のある神社と二つあるけど、どっちの事だ?


「んー……。両方?」


「お前友達と行けよ」


「どうせどっちとも、行ったら誰か居るから。それに兄ちゃんとはいつも行けないし、だから兄ちゃんと行きたい。今彼女居ないんだろ? なら私とデートしようぜ!」


「何がデートだよ? しようぜじゃ無いんだよ。野球しようぜみたいに言うな」


しかも男らしくかつ爽やかに言いやがって。

マジで静って王子様属性があるよな。


「なぁなぁ兄ちゃ~ん、私と一緒に行こうよ~。浴衣着て行くからぁ~」


「意味が分からん。何でお前が浴衣着て行くからって俺が行くと思ってんの? 友達と一緒に行けよ。暑いし人が多いから嫌だよ」


「ねえねえエエやん一緒に行こうや~。下店(しもみせ)で五十円のアイス奢るからぁ~」


「アイス位自分で買えるわい。それより大阪弁で何故言ったのか細かくつっこみたい所だけど、つっこまんからな。下店で奢ると言えば何でもイケると思うな」


しかし下店か、あの駄菓子屋兼商店は明日辺り行ってみるかな。大人買いしまくって成金ムーブを一丁カマしてくるか。大人の本気の爆買いを見せてやろうじゃないか。


「ねえねえ兄ちゃ~ん、デートしようよー。私ね、浴衣ね、新しく仕立ててもらったから。ねぇねぇ兄ちゃん、ねえねえ~」


「お前ねえねえうるさいなぁ。なぁ静、お前祭りに行きたいんじゃ無くって、新しく仕立てた浴衣を見せたいだけだろ?」


新しい服を見せたいってお前は女か? あーそうか、女だったな一応。


「違うよ~。それもあるけど、兄ちゃんと祭りに行きたいんだよ~。なぁなぁ悠莉兄ちゃん~、私と浴衣デートしようぜ!」


「だから野球しようぜみたいに言うな」


爽やかに言いやがって。しかも浴衣デート?

それって俺も浴衣着なきゃいけないんだろ? 嫌だよ面倒臭い。一応こっちに浴衣はあるけど、浴衣ってそんなに涼しく無いんだよね。うん、嫌だな。ましてや静と? それってデートってより付き添いとか、保護者役として行くって意味合いが強いと思うんだけど。


「ねぇねぇ、兄ちゃん今も彼女居ないんだろ? なら行こうよ。なぁなぁ」


「おい、も、とか言うな。今は、居ないの。大事な事だからもう一回言うけど、()()な。大体な、この暑いのに真っ昼間から行きたく無いよ。勘弁してくれ」


しかも人が多いし、混んでるし、ましてや少し離れた大きな神社の方は輪をかけて人が多い。

しかもガキんちょ共がそこいらから集まって来て激混みの上、非常に騒がしい。

うん、嫌だなそんな所に行くのは。勘弁して欲しい。


「夜なら良いの? でも夜はあんまり遅くまで行けないよ。あっ! でも兄ちゃんと一緒なら少し位遅くなっても良いのか。なら大丈夫かな」


大丈夫じゃないよ。何で静はもう行く前提で話を進めてるんだろう?

ここはあれだな、大人の事情攻撃で凌ぐか。


「あー…… 静、俺その頃はもう帰ってるから居ない様な気がするから行けないと思う。うん、仕事の都合だ」


「えっ? 兄ちゃんお盆だけじゃ無くって八月いっぱいまでこっちに居るっておじいちゃんとおばあちゃんに聞いたよ。それに兄ちゃん今在宅の仕事で時間に融通が利くって聞いたけど?」


「・・・」


何で静に言うかな。きょとんとした顔で不思議そうな顔して俺を見るな静。

えー、この暑い中行くの本当に嫌なんだけど。

えー、えー、えーー。どうしよう、なし崩し的に行かなきゃならなくなる気がするのは俺の気のせいかな?


「なぁなぁ兄ちゃ~ん、行こうよー。ねぇねぇ、カブトムシとかクワガタがいっぱい集まる木を教えてあげるからぁ。だから私と行こうよ~」


おい、何でお前はそんな宝の木を知っている?

カブトムシにクワガタがいっぱい集まる木? まさにお宝の木じゃないか。いや、神木と言っても過言ではないな。

そんな素敵な木、俺も知らないぞ。静の奴マジでスゲーな、どうやって見つけてるんだろ?


「食べ終わったみたいだし、サーティーンに行こうか静」


「あー! 兄ちゃん誤魔化した~。誤魔化してうやむやにするつもりだな! いや行くけど~」


「おい静……。だからお前は何でくっついて来る?」


「エヘヘ~♪」


エヘヘじゃ無いよ。 そういう事は大人になってからしてくれ。そしたら少しは嬉しい。

今は只暑苦しいだけだよ。


「ちょっ、腕を組もうとするな」


「フヘヘヘ。デートごっこだぞ兄ちゃん」


そんなごっこは要りません。それとお前は笑い方を何とかした方が良いと思う。


「おっぱいグリグリ~。ヒャッヒャッヒャ」


そんな貧相なモン押し付けられても嬉しくないよ。せめてブラを付ける様になってからやれ。


「グヒャヒャヒャ。グ~リグリ~」


もうヤダこの子。ペッタン子めが。


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