第41話 昔語り 静編③ 縞々パンツ
「ポコポコちんちんポコちんちん。ゲハハハハ。ポコポコちんちんポコちんちん、あっそりゃ、ちんポコちんちんポコポコちんちんポコちんちん。ぐへへへへ」
「・・・」
「でっかいでっかい巻き巻きう●こ~。ヒャッヒャッヒャ。巻き巻き巻き巻き巻~きう○こ~、とぐろを巻いた巻き巻きう●こ~」
「・・・」
「ビ~チビ~チビ~チビ~チ巻きう○こ~。ヒャッヒャッヒャ」
「・・・」
どうしよう……。端から見たら静はご機嫌な様子に見えるんだろうな。
だけどご機嫌な理由は、品性の欠片も無い歌を歌ってるからなんですが。
いやまぁそれだけがご機嫌な理由では無いんだろうけど、しょーもないお下品なオリジナルソングを歌ってるからご機嫌てのもある。
コイツはアインまでドライブに行けてるからご機嫌なのと、そのしょーもないオリジナルソングを歌ってるからご機嫌なのと、果たしてどちらの理由が大きいからご機嫌なんだろう?
「兄ちゃん、オープンカー気持ち良いな。屋根開けて走るの最高だよ。私初めて乗ったけどスッゲー良い。あっ、そうだ兄ちゃん知ってる?」
何をだ? そしてコイツは何で窓を下ろしてる? 何で初めて乗ったのに、そんなにスムーズに窓の操作が分かる? 何で開閉ボタンの場所が一発で分かる?
「何がだよ? それとお前、窓を下ろして何をするつもりだ? コラ静、窓から手を出すな」
「なぁなぁ兄ちゃん。車で走ってる時に、窓から手を出して、風を手に受けながらね、風を揉んだら、おっぱい揉んでるみたいになるんだよ。知ってた?」
「そんなのどうでもいいから窓から手を出すな、危ないだろ。と言うかお前はどこでそんなしょーもない無駄知識を仕入れて来るんだ?」
「えっ? 学校で男子が言ってたよ。それで知ったんだ。おっぱいモミモミ~♪」
「お前もう頼むからじっとしてろ。大体だな、お前女なのにそんな事して楽しいか?」
「楽しいよ。おっぱいモミモミ~。ヒャッヒャッヒャ。グヒヒ」
もうヤダこの子。と言うか学校で聞いたって、その下らない知識を披露した男子はまさか、家族と車に乗ってる時にやったのか?
もしそうならかなりの勇者だぞ。それとも父親から聞いたとかか? どっちにしろアホだ。
しかし静の奴、相変わらず下品だ。そしておバカ丸出しだよ。アホの子度がパワーアップしてるじゃないか。
「ねえねえ兄ちゃん。屋根閉めてみようよ」
「走行中は開閉出来ないの。と言うかしない。やろうと思えば出来るけど、故障の原因になるから基本的に禁止」
「えー、そうなの? あっ、兄ちゃん兄ちゃん。あの雲見て。巻き巻きう●こみたいだ」
本当にコイツはお下品だな。違う例えがあるだろうが。何が巻き巻きう○こだよ。
「お前せめてソフトクリームって言えよ」
「巻き巻きソフトクリームう●こ雲だ~。ヒャッヒャッヒャ。ゲハハハハ~。ヒャッヒャッ」
発言だけじゃなく、笑い方まで下品だなぁ。
コイツ普段はこんな笑い方しないのに、下ネタ言ってたり、お下品な事を言ってる時はこんな笑い方になるよな。
「シ~マシ~マ シ~マシ~マ シマシマぱんつ~。私のパンツはシマシマぱんつ~」
「なぁ静、お前もう黙ってろよ。さっきからずーっと、そんな歌ばっかり歌って何なの? 頼むから止めてくれ」
「えー。だって私の今日のパンツは縞々パンツだよ。白と黒の横縞パンツなんだよ」
「知らんわ。お前のパンツが縞々とか、白と黒の横縞とかどうでもいいんだよ。なぁ静、女の子が自分のパンツの色とか軽々しく言うのはどうなん? 止めなさい。と言うかもう歌うな」
「えー!」
えーじゃねーよ。俺がえーって言いたいよ。
静の奴、今自分が黒歴史を量産してるって分かっていないみたいだけど、もう少し年を取ったら絶対今日の事は、恥ずかしさで悶絶する事になるぞ。
なるよな?
「もう! 兄ちゃんはワガママだなぁ。私から歌を奪って……。私今日は縞々パンツだから歌ってるのに」
「だから知らんわい。お前のパンツとかどうでも良いよ」
お前のパンツ事情は知らんし、知りたくも無い。
「本当なのに。証拠見せようか?」
「コラ静! ショートパンツを脱ごうとするな。おい止めろ! ボタンを外そうとするな。やったらアインに行かないからな。ショーパン脱ぐな」
このガキめ、恥じらいを少しは持て。
何コイツ脱ごうとしてるんだ? もう本当にヤダ。
「だって兄ちゃんが私の縞々パンツを信じてないから」
「もう! お前なぁ、まさか学校とか、外でもそんな事をしてるんじゃないだろうな? 脱ぎグセでもあるのかお前は? ダメだぞ」
「まさかぁ。学校でも外でもしないよ。兄ちゃんだからしてるんだよ。私は痴漢じゃ無いよ」
痴漢じゃ無いってどういう意味だ? それを言うなら露出狂だろ。小三ならその辺りはまだ分からないのかな?
しかし頼むよ静。運転中の車の座席でデニムのショーパンを一度脱いだら、履き直すのに時間が掛かるんだぞ。万が一誰かに見られてみろ、俺が疑われるだろうが。
「なぁなぁ兄ちゃん。私のパンツ見たくないの? ねえねえ」
「なんでお前のパンツ何か見たくなるんだ? お前は俺を何だと思ってるの?」
静の奴まさか、俺が女なら年齢関係無く、見境なく、パンツを見たい男だって思ってるんじゃないだろうな?
そりゃ俺だって男だ。パンツは見たいけど、流石にガキんちょのパンツは、見たいとは思わないんだけど。
「えー、だって男子ってパンツが大好きなんでしょ? それに縞々パンツって男子が大好きなんだよね? だってネットに書いてあったよ」
「お前のスマホはキッズ携帯だよな? 閲覧制限がかかって無いのか? お前まさか親のパソコンで調べてるんじゃ無いだろうな? 止めとけよ、履歴でバレるぞ」
「パソコンじゃ無いよ。ママのスマホで見た。履歴もちゃんと消したから大丈夫!」
「お前やめろ。そんな事してるのがバレたらおばさんに無茶苦茶怒られるぞ」
履歴はちゃんと消したって、何て悪知恵が働く奴だ。コイツも三年生なら、そんな事に興味が湧いて来てもおかしくは無いのかな?
「新しいパンツ買おうってママと話をしてて、それで調べてたから大丈夫! 履歴は繋がり検索のを消したから問題無い! 縞々パンツって検索したら、男は縞々パンツが好きって書いてあったんだ。何かマズいような気がしたから検索履歴は消した。ムシの予感がした」
それなら問題無いのかな? うーん……。一応注意はしておくべきかな?
「それでも止めとけ。それと男がみんな縞々パンツが好きってのは決めつけだからな。人によって好みは違う」
「じゃあ兄ちゃんはどんなパンツが好きなんだ?」
「俺か? 俺は……。て、おい! 何を言わそうとしてるんだ。言う訳無いだろ」
危ない。普通に素で言いかけてしまった。
と言うか色に多少の好みはあるけど、可愛い子とか美人が履いてたら、それが肌色のババ臭いパンツでも好みになる。
こんな事、静には言わないし、言えないけど。
「なぁなぁ、本当に見たくないの兄ちゃん?」
「うるさいなぁ……、そんなに見せたかったら、お前が二十歳になったら見てやるよ」
「分かった! 私が二十歳になったら兄ちゃんに見せてあげる!」
「・・・」
静よ、お前が二十歳になるまでの十一年間、その間お前の黒歴史として認識するのは、何歳の時なんだろうな? その時お前は悶絶する事になるけど、それもまた青春の1ページとなるから頑張れ。
「パンツパンツパ~ンツ~。私のパンツは縞々パンツ~。白と黒の横縞パーンツ! ゲヒャッヒャッヒャ」
「・・・」
本当にうるさいなぁ。
何でコイツはこんなアホの子なんだろう? 気のせいか昔よりアホの子度がパワーアップしてるよな。うん、気のせいじゃ無いね。静の奴めまさかこのまま学年が上がる程、アホの子道を突き進んでったりしないよな? いや、あり得るな……。コイツは芸人にでもなるつもりなのかな? しかも汚れ芸人にでもなるつもりなんだろうか?
「なぁ静、お前将来何になりたいの? 将来の夢は何なんだ?」
「私? 私の将来の夢はね、世界征服! 将来私、世界征服するんだ」
「そうか……」
具体的にどうやって世界征服するのかは敢えて聞くまい。聞くだけ野暮だから。
しかし世界征服ってお前……。それを言う小学校に初めて出会ったよ。本当に言う奴って居るんだな。
「私が世界征服したら、兄ちゃんを副総統にしてあげるね。あーあ、魔法か超能力が使えたらなぁ。そしたら世界征服出来るのに。なぁなぁ兄ちゃん、魔法ってどうやったら使えるようになるの? 超能力ってどうしたら使えるようになるのかな?」
「そうだな、魔法は異世界転移したら使える様になるんじゃないか。超能力はどうだろうな? 改造人間にされたら使える様になるんじゃないかな」
静には決して魔法を教えない。魔法を教え、使える様になれば、コイツは世界征服に乗り出す事になるだろう。
静が世界征服を成し遂げ、コイツが世界の支配者になれば必ずおバカな世界になる。そんな嫌な世界は勘弁して欲しい。
恐らくコイツが支配する世界の国歌には、うんことちんことポコチンって歌詞が盛り沢山の国歌になるだろうからな。
「異世界転移かぁ~。でもなぁ、しちゃったらママとパパとも離れちゃうし、兄ちゃんとか友達とか、近所のおばあちゃんとかおじいちゃん達とも会えなくなるから嫌だなぁ。うーん。なら改造人間になって超能力が使えるようになる。ねえねえ兄ちゃん、どこで改造人間になれるの?」
心配しなくても、お前が異世界転移する事はもう無い。もし又そんな舐めた事をする奴が居たら俺が叩き潰してやるよ。
「さぁどこだろうなぁ。俺は聞いた事無いから分からないよ。それよりもうちょっとで着くから。静、アインでは頼むから大人しくしておいてくれよ。いや、マジで。それと知らない奴に何を言われてもホイホイついて行くなよ」
「分かった! 変質者とか痴漢とか誘拐犯が居たらポコチンを蹴り潰す! 道場で習ったから!」
お前が通ってる道場では、一体何を教えてるんだ? 古武術系の合気道だよな? それかこの春から新たに通い出したキックボクシングのジムで教えられたのか? 少々気になるけどこれも敢えて聞くまい。
「アインモールが見えて来た~。やっばでっかいなぁ! 見てよ兄ちゃん、人がゴミのようだよ」
「お前それあれだろ? 天空に浮かぶ城の話のセリフだろ。そう言えば先週やってたな」
あれも何回も放送してるよなぁ。大昔の作品なのに未だに人気があるし、夏休みになったら二~三年に一回放送されてるよな。
「薙ぎ払え!」
いやそれ違う。お前は世界を滅ぼすつもりか?
「なぁなぁ兄ちゃん。何かお腹減って来た。アインモールで何か食べさせて~」
「別に良いけど。何かって何を食べたいの?」
「んー……。でっかいハムみたいなのとか、食パンに目玉焼きのっけたのとか? それか骨付き肉?」
コイツ絶対、あの作品とかで出てきたシーンを思い出したから腹減ってきたんだろ?
静の奴って大喰らいだからなぁ。今は金に困っていないから全く問題無いけど。
「モールの中で選べば良いか。なぁ静、お前ここに来たがったけど、どこか行きたい所があったの? ならそこに行ってから飯食う?」
「えっ? アインに来たかっただけだよ。それとオープンカーに乗って、ドライブしたかっただけだから。アインをブラブラしよう兄ちゃん」
目的無しかい。確かにコイツはアインモールのどこそこに行きたいって、言っていなかったけど。
まぁ良いか、このアインモールは日本一の規模って言われてる位だから、ブラブラしてるだけでも楽しいし。
しかし駐車場に停まってる車多いなぁ。これでまだ平日なのにこの混みようだもんな。
土日とか祝日は、駐車場に停めるのですら待ちがあるし。
もうちょっとでお盆だけど、お盆とかに来たらモールの中に入るだけでも一日がかりになりそうだ。
それにしてもやけに子供が多いな? あっそうか、そりゃそうだ今は夏休みだもんな。しかも近辺の幾つかの最寄り駅とかから、無料のシャトルバスが出てるんだったな。
うわー、只でさえここって混んでるのに、夏休みなら更に人が多いぞ。ここからでも激混みなのが分かる。嫌だなぁ。
「あっ兄ちゃん、あそこ空いてるよ」
「ここからだとモールから遠いぞ。もう少し近くに行く」
とは言えモール側は埋まってるんだろうなぁ。
もしかして空いてるかも知れないし一応モール側に行ってみよう。
「兄ちゃん、動いていないと暑いね。走ってる時は気持ち良かったのに」
屋根を開けていても、車内に風は入り込まない造りになってるんだけど? あー、コイツ窓を下ろしたりしてたからそれでか。
「なぁなぁ兄ちゃん、もうこの辺で良くね? 近い所は空いて無いと思うぞ」
「駐車場の真ん中辺りか。ここからでも結構歩く事になるけど仕方ないな。静、お前頼むからうろちょろするなよ。勝手に走って一人で行ったりするなよ。後、頼むから大人しくしといてくれ」
「分かった!」
「・・・」
不安だなぁ。
「あっ! 兄ちゃん見て! むっちゃおっぱいでっかいおねーさんが居るよ。スッゲー! でっかいなぁ」
「もう! 言った側からこれか……。お前黙れよ。睨まれてるぞ。おい静!」
本当に本当に本当~~~に! 不安だなぁ。
何も問題なく過ごせたら良いなぁ。
「スッゲー、スイカでも入れてるのかな? ねえねえ兄ちゃん見た? おっぱいからロケットミサイルが出てきそうだったね」
ロケットとミサイルは別物だよ。
「カッケー! 私もおっぱいミサイル出してぇ~! 誰か私を改造してくれないかな?」




