第32話 禁足地? 女の園?
「なぁ悠莉、コレどうじゃ?」
「うん、良いんじゃないか」
「なぁ悠莉こっちは? どう思う?」
「うん、良いんじゃないか」
「悠莉、こんなのは?」
「うん、良いんじゃないか」
「・・・」
もう何でも良いから早く選んでくれよ。
欲しかったら欲しい物、全部買って良いって言ってんのに。本当に女の買い物は時間が掛かる。
そう言えば、ばあちゃんも買い物に行くと結構時間が掛かる人だったな。
特に遠出して買い物に行くと、かなり時間の掛かる人だった。
今まで付き合った彼女達も、買い物に時間が掛かるやつが多かったっけ?
「悠莉…… コレは?」
「うん、良いんじゃないか」
「なぁお前わらわの話を聞いておる?」
「聞いてる聞いてる」
うるさいなぁ……、ちゃんと聞いてるじゃないか。
そんな事より早くしてくれないかな? 一刻も早くこの店から出たいんだけど。
「悠莉、これ妾に似合うかの?」
「うん、良いんじゃないか」
「おい、お前聞いてるだけではないか! ちゃんと見ろよ。なぁ、コレが妾に似合う? こんなベージュのババ臭い物が似合うじゃと? それにコレ股上の広いババ臭く年寄り臭い物が似合う? ちゃんと見て言えよ」
「うるさいなぁ……。お腹が冷えなくて良いじゃないか。どうせ誰も見ないんだし、見せる事も無いだろ?」
「お前が見るではないか」
「・・・」
このポンコツ……、人様に聞かれたら誤解される様な発言をするんじゃない。
確かに俺は見るよ、でもそれは洗濯するから見るんであって、それ以外の目的で見る事は無いじゃないか。
そんな発言をしたら、世間の皆様に誤解されるだろ。思いつきで喋るな、ちゃんと考えて発言しろ。
「悠莉、これデザインは良いが、色合いが派手過ぎんかの? 紫か…… デザインは悪く無いんじゃが……。どうするかの?」
「お客様、色違いの商品もございますが?」
「見せてくれるか?」
「はい、今お持ち致します」
コイツは何で俺を店内にまで連れて来た? 洗濯? 干すから? そんなの店員に聞けば済む話なんじゃないか?
他のお客さんの視線が痛い。別に胡散臭げに見られている訳では無い、むしろ微笑ましそうに見られている。だが俺は居たたまれない気持ちでいっぱいだ。本当に何のプレイだよこれ? 居心地が悪いなんてもんじゃないぞ。
「悠莉、お前ちゃんと見ろよ、見た上で意見を言ってくれぬか? 適当に思いつきで言葉を発するでない」
「・・・」
何が思いつきで言葉を発するなだよ? 適当?
お前にだけは言われたくないわい。
ちゃんと見ろも何も、俺がそれ嫌だとかダメだとか言ったら買うのをやめるのか? やめないよなぁ。
俺が言ってもどうせ買うんだろ? 俺がこの場に居る理由があるのか? 本当に意味が分からない。
「Tバックか……。下着のラインが出ぬから良いとは聞くが……。どうしようかの? 悠莉、どう思う?」
「・・・」
「なぁ、聞いておる?」
うっせーなぁ……。Tバック? 俺、Tバックってあんま好きではないんだよね。なーんかいまいち良いとは思えないんだ。
「お客様、こちら先程の色違いとなります」
「ん? おー、結構色々なカラーがあるんじゃな」
「はい、こちらの商品は人気がありまして、取り扱っている物が多いのです」
「そうか。後はサイズじゃな」
「お客様、もし宜しければ試着されてみてはどうですか?」
「そうじゃな……。それと胸のサイズを一度測って欲しいんじゃが」
「そうですね、計測した方がよろしいかも知れませんね。その方がお客様により良い物を身に付けて頂けますし」
そうですね、アレクシアさんは良い物をお持ちだから、サイズ的に商品が限られそうですもんね。
でもこの店は大きいし、色んな胸部装甲をお持ちの方向けの商品を、豊富に取り揃えてるでしたっけ? アレクシアさん昨日一生懸命調べてましたもんね。たーんとお買い下さい、全部買ってあげますよ。
「おい悠莉、のぞくでないぞ」
「誰がのぞくか! お前人聞き悪い事を言うな」
この女なんて事を言うんだ。店内に居る他の客が、一斉にこっちを見たじゃないか。
只でさえ目立つのに。女性用の下着屋に男が居るってだけで目立つんだぞ、それなのに。
これ小学生なら、女の中に男がひ~とり~ 笑ってあげましょわっはっは、って言われるぞ。
「お客様、あちらの試着室で計測致します」
ん? ちょっと待て、試着室? あっ、そうか!
ここでサイズを計測する訳が無い。周りに見られない様にするよな。あれ? ちょっと待って下さい、そしたら俺この店内に一人になってしまうんですが、罰ゲームか何かですか?
「悠莉よ、何故お前は付いて来る? のぞきをするにしても大胆過ぎぬか?」
「違うわい。お前が試着室で計測してる間、俺はこの店内で一人になるんだぞ。分かってる? ここは女性用の下着店だぞ、男が一人で居たら違和感があるだろうが。だから近くに行くんだよ」
「本当かぁ~? 妾の身体をのぞくのではないか?」
「お前なぁ……。金だけ置いて、俺一人で帰ってやろうか? なぁ、本当にやってやろうか?」
「じ、冗談ではないか」
何が冗談だよ。お前軽く本気で言っただろ?
お前とは何やかんやで付き合い長いんだから、その辺りは結構分かってるつもりだぞ。
大体だなのぞきなんかしないし、見たかったら見せてくれって言うわい。コイツに本当に言ったりしないけどな。
もう目についた物、全部買えよ。お前にサイズが合わなくても別に良いから。
サイズが合わない分は、俺のアイテムボックスに入れておけば良いし。どうせ異世界に飛ばされた時に売れるだろうから。
「おい悠莉、フリとかでは無く本当にのぞくなよ」
「お前の中で俺はどんな男なのか、一回とことん話し合わないといけないな? 良いからさっさと行け、そして早く出て来い。チッ……。頼まれてものぞかないよ」
「何じゃとぉ、妾の身体を見たく無いのか?」
「お前本当に面倒臭いな。良いからさっさと中に入れ、頼むから」
もう! とっとと測って貰って出て来いよな。
こんな所で一人とか本気で嫌なんだけど。
何だろう? これ今日一日で終わらない気がするんだけど、気のせいかな?
「お客様、彼氏さんと仲が宜しいですね」
「ん? いや、あやつは彼氏では無いぞ。ただの同居人じゃ」
「あらぁそうなんですか? お二人とても良くお似合いですのに~」
同居人? 物は言い様だな。お前は只の居候だろうが。それとも無駄飯食らいかな? どっち道俺に養われてるポンコツヒキニートだよ。
「お客様、美乳ですね~。私お客様の様な美乳の方記憶に無い位の御立派なバストです。私もこんな素敵なバストになりたいです」
「そうか? 自分でも形は悪く無いとは思うが、大きいと邪魔でのう」
「あらぁ、私もそんな事一度で良いから言ってみたいですよ。羨ましい」
お世辞とかで無く、本心から言ってるねあの店員さん。うん、おばちゃん店員でこの仕事歴も長そうな店員さんが言う位だから、本当に美乳なんですねアレクシアさん。
お上品なおばちゃん店員さん、アレクシア君に良く似合う乳バンドを見繕ってくれたまえ。
「じゃがそなたも結構大きいのではないか? それに形も良さそうじゃが?」
「私のは下着のおかげでなので、養殖物ですよ。それに歳を取って形も崩れてきていますし」
「そうか? そんな歳には見えぬが?」
「あらぁ、お上手ですねお客様。メイクで何とか誤魔化しているだけで、旦那には無駄な抵抗とか言われちゃって。でも抵抗をやめたらそこで終わりなので日々抵抗しているんですよ」
ふーん、結構小綺麗なおばちゃんだったが、案外歳行ってるのかも知れないな。うん、どうでも良いけど。
「お客様、計測した数値だとこちらの商品ですが、お客様のサイズだと少し小さいかも知れません。サイズを変えてみましょう」
「分かった、任せる」
そうですか、アレクシアさんアレでも小さいんですね。素晴らしい胸部装甲ですよね。
アレクシアさんの胸部装甲なら、ドラコンブレスの一撃ですら防げそうですね。
「悠莉、ちょっとこれじゃとサイズが合わんらしいから、違うサイズの物にする」
「分かった」
仕方ない、装備品の不調は生死に直結するからな。
その胸部装甲を維持し続けるには、ブラは必要な装備品だからね。待とうではないかね。
「やけに素直じゃな? 早くせいとか言うと思っておったが」
「仕方ないだろ、どの道要る物なんだから。それにサイズが合わない物を買っても仕方ないじゃないか」
どうせ急かして買わせたりしたら、もしそれが合わなかったら絶対ギャーギャー言うだろうし、コイツは間違いなく俺のせいにする。
なら多少遠回りであっても、キッチリ合う物、納得する物を買うまで待つしかない。どうせ言っても無駄だってのもある。
それにコイツも買い物長いんだよなぁ……。
とは言えデザインが気に入らないとかなら話は別だけどな。その場合は多少口出しはするけど。
「なぁ悠莉、ガーターベルトってどう思う? 買ってもエエかな?」
「どう思うだって? 知らんわ、買え。おい、欲しいなら買え、金は気にするな、だけど下着の意見は俺に求めるな」
「お前が洗濯するんじゃぞ、じゃから聞いておるのに……。買ってもエエなら買う」
お前は誰に見せるんだ? ガーターベルト? 買いたいなら買ったら良い。誰に見せるか知らんが、もう好きにしろ。
俺は何で彼女でも無いコイツと下着屋なんかに来てるんだろう? マジで面倒くせー。何でも良いから早く買ってくれよ……。
「悠莉、黒の下着もエエなぁ」
何が黒だよ、アライグマかレッサーパンダか知らないが、あんな可愛らしいパンツ履いておいて良く言うよ。どの口が言ってるんだ?
お前はそれを誰に見せるんだ? なぁ? 誰に見せるんですか?
「おい、Oバックがあるぞ。一つ買ってみようかの」
Oバック? お前はそんなにケツを出したいのか?
なら褌でもしてろ。あれ? 褌って締めるだったっけ? 確か履くとかつけるとかじゃ無かったよな? まぁ別にどうでも良いや。
「なぁ悠莉、お前妾の話を聞いておるか?」
「聞いてるよ。Oバック? お前は本当に誰に見せるんだ? もう何でも良いから好きに買え、な。さっきから言ってるだろ? お前が欲しい物を買え」
「お前は一緒に買い物しがいが無いのう……。それと誰に見せるじゃと? お前以外の誰に見せると言うんじゃ」
「・・・」
お前のその言い方だと誤解を招くからな。
それなら、お前以外の誰に見られるって言い方の方が正しいから。
いや、ちょっと待てよ、それはそれで誤解されるな。しかも悪い意味で誤解されるか? 日本語って難しいよね。
コイツまだまだ時間を掛けそうな気がするけど、絶対時間が掛かるよなぁ……。
昼飯食うの遅くなりそうだ。しかもその後は靴か。
ジャージとかスエットも買いに行かないといけないし、今日の晩飯は外になりそうだ。と言うか家に帰るの遅くなりそうだし、作るの面倒臭い。
「悠莉、このブラ手触りがエエぞ、触ってみい」
「お前は本当に何も考えていないよな?」
「はぁ? 何でじゃ?」
「俺が触ったら変だろ? それに手触りが良くっても俺が触る事は無いんだぞ。お前の発言は人様に誤解を招く発言だからな」
コイツの言い方だと、俺がコイツが身に付けている時に触る相手みたいに聞こえるんだが、俺の考えすぎか? 洗濯の時に触るが、そんなの世間の皆様は分からない。なら俺がコイツとそう言うアレな、大人な関係の二人だって思われる訳だがコイツは良いのか?
「洗濯の時に触るじゃろ?」
ほらな、言うと思ったよ。本当考え無しだよなコイツって。
そのくせ人にそうだと言われたら、恥ずかしがる。
そして否定して更に照れるんだろうな。あっちでは、コイツよりサキュバスの方が慎み深い格好してるのに、意外と純情な女、それがアレクシア・ヘルクスだ。
「そうだね、洗濯の時に触るね。だから今は触らなくても良いや」
「そうかぁ? コレ本当に手触りがエエわい。着け心地も良さそうじゃ、なぁ悠莉、コレも買ってもエエよな?」
「うん良いよ、買ったら」
買うのは良いが、一応そのサイズの試着してから買った方が良いと思うが、言った方が良いのかな?
「所で悠莉よ、お前今妾の胸を見ておったが、流石に見すぎではないか?」
「胸と言うか、そのサイズのブラ全部同じサイズだろ? 一応幾つか試着しといた方が良いと思ったんだが。だから見てたんじゃないかな? 無意識に。それとパンツも試着出来るならしといたら?」
「そうじゃの…… 試着しておくか。それと悠莉よ、今無意識に見てたと言っておったが、お前今日、結構妾の胸を見ておるからな、気を付けい」
「・・・」
そんなデカイのがあったら見ちゃうだろ? つい? 無意識に? 目くらい行く。だって男の子だもの。
それにしても腹立つ位に良い女だよなぁ。見た目だけは。
何度も何度もそう思う位に見た目だけは良い。
あのちんちくりんの時とは大違いだよ、今のこの姿は見てて飽きない。出来るならこの姿のまま居てくれたら良いけど……。
「悠莉よ、やはり試着室について来るのか?」
「当たり前だろ。まさかお前、自分が試着室に入ってる間、俺に店内を見て回っとけとか言うつもりか? なぁ、そうなのか? お前は悪魔か? 鬼か? 嫌だよ、一人で店内を徘徊するなんて。試着室の中に一緒に入る訳でも無いんだから、試着室の前で待つ位良いだろ」
「そんなに嫌か? まぁエエけど、妾が試着室におる間、大人しくしておくんじゃぞ」
「・・・」
当たり前だろ。それともなにか? まさか俺が大はしゃぎで店内を駆け回るとでも思ってんのか?
静かに目立たない様に、縮こまって待ってるに決まってるだろ。出来れば隠蔽魔法を使いたい位だよ。そんな事はやらないけどな。
「おい悠莉、試着室の中に入って来るなよ」
「お前そんだけ何回も言ってると、丁寧なネタ振りにしか聞こえないぞ。お前もしかして中に入って来て欲しいの? なぁ、ネタ振り、前フリにしか聞こえないんだけど?」
「そんな事あるかぁ! 悠莉よ、お前今日はやけに妾の事を見て来ておるから、念の為に言っておるんじゃ。普段はこんなに見て来ぬのに……。元に戻ったらコレじゃ。妾大丈夫かの……」
「・・・」
そら元の姿に戻ったんだから、普通は見るだろ?
何時もと違うから、珍しいから見てるだけ。
だからつい見てるだけであって、慣れたらそんなに見ないよ、多分。うん、多分な。
「お前そこで黙るなよ、妾大丈夫じゃよな?」
「何が大丈夫か知らんけど、さっさと中に入れ。冗談抜きで、今日一日で終わらないぞ」
「まぁエエわい、確かに早く済ませねば今日一日で終わらぬからな。買いに行きたい所はまだまだあるんじゃし」
人を胡散臭げに見て来やがって。もしかしてコイツ、貞操の心配をしてるのか? 心配しなくてもお前が考えてる様な事はしないよ。
そんな事したらお前は責任を取れとか言うだろ?
何の冗談だよ? お前を嫁に貰うなぞ罰ゲーム以外の何物でもない。ゲームしたりアニメ観たり、ネットしかしない、食っちゃ寝のお前を嫁に貰う奇特な奴はそうそう居ないよ。
「おい、何で妾をそんな目で見る? それにお前今、鼻で笑ったじゃろ?」
「気のせいだよ、お前の被害妄想だ。良いからさっさと中に入れ。そして試着しろ」
いかん、顔に出てたか。気を付けよう、コイツは一旦へそを曲げたら面倒臭さが爆発するからな。
ご機嫌斜めになったらその後が大変になる。
「・・・大人しくしておくのじゃぞ」
うるさいなぁ、分かってるって言ってるだろ。
お前と一緒にするな、お前と。
「お客様、どちらから試着なさいますか?」
「んー……。この黒のブラから行ってみようかの」
普通下着の試着って一人でやるもんだよな?
それなのに何故店員が一緒に入って手伝っているんだろう? あれか? 多分上客だと思ってだろうな。
そらあんだけ気前良く買ってたら、店員も試着補助に付くか。
どんだけ買うんだって思うが、あの量は店を開くんですか? って位に買ってるもんな。
「お客様本当にスタイルが良いですね~ 羨ましい。もしかしてお客様はモデルさんでいらっしゃいます?」
「いや、違う」
はい違います、その人はヒキニートです。
自宅警備、いや、自宅防衛軍の方ですね。
「あらぁ。背もお高いし、凄く細いのに、しなやかな筋肉がうっすら付いてて素敵なお身体なのに勿体ない。全体的に細いのに、出る所は出てて本当に羨ましい。うっすら付いている筋肉も触らないと分からないから、女性らしい身体のラインが本当に素敵だわ~」
ヒキニートのくせ、戦う身体は維持し続けてるんですよねそいつ。
その人が戦う相手ってCPUが作り出す、仮想現実の世界の者なんですよ。
NPC相手に戦って世界を守ったり、死合ってるけど、信じられない事にその子って元魔王なんですよ、信じられませんよね。
「どうかの、コレ?」
「良くお似合いですよ。黒がお客様の白い肌に映えて素敵です。彼氏さん…… では無いのですね? お連れ様もこれを見たら誉めて下さると思いますよ。それとも喜ばれるかしら?」
「いやいや、だからあやつとはそんな関係では無い」
「あらぁ、申し訳ございません。とても仲が宜しい様に見えてつい。さっき聞いたばかりなのに私ったら」
はい、その人はボクの家に居るだけの只の無駄飯食らいのポンコツです。特技はボクのお家を汚す事と、無駄に電力を消費する事です。
後、ワガママを言ってボクを困らせる事が一番の特技です。
今でこそ元の姿に戻ってますが、昨日まではロリでした。神に改造された改造ロリだったんですよ。
見た目は文句の付け様の無い、とても良い女ですが、中身はポンコツのクソ面倒臭い子なんです。
「ん? この下着やけに透け透けじゃな。手に取って見た時はそうでも無かったが、身に付けると透けまくっておるではないか」
「実際身に付けて見るまで、案外分からなかったりしますから。セクシーで良くお似合いですよ」
スケスケ? 俺、スケスケの下着もあんまり好きじゃ無いんだよね。むしろ隠せと言いたい。
隠れてるからこそ、想像を掻き立てられて良いんじゃないか。それなのに透けていたらダメだろ~。
いやまぁ俺が、魔王のスケスケ下着を見る訳では無いが。
うーん……。買うのは自由だけど、ちゃんと隠れてる下着の方が俺は好きだなぁ。
「良し、これも色違いを全種類買おうかの。そうじゃな、色違い全種類を五ずつ。それとその手触りの良い物も色違いを全種類、二十ずつ。後は……」
あっ、これカードで支払った方が良いな、現金だとゴッソリ手持ちの金が減ってしまう。
さっきの店でも買いまくったから、結構現金使っちゃったんだよな。まだまだ現金はあるけど、無くなったらATMで下ろさないといけないが、それは面倒臭い。
アイテムボックスの中にも現金は入ってるけど、極力外では使わない方が良い。
買い物に行ったら結構使ってるから今更かも知れないけど。
「悠莉、全部買うけどエエよな?」
「良いぞ。ねえ店員さん、ここカード使えますよね? それとこの店配送サービスありますよね?」
「はい。カードも殆んどの物が使えます。配送サービスも取り扱っております。御購入の商品は全て配送致しますか?」
「あー ちょっと待ってくれ。配送された物が来る迄少し時間が掛かるじゃろうから、五つ程持って帰るから包んでくれるか?」
「分かりました、そう致します。お持ち帰りされる商品はどちらを?」
「そうじゃな、ならコレとコレと……」
何とかこの店での買い物は終了しそうだ。カードを出しとくか。パラジウムカードを出すのはやめといた方が良いな。これは知る人ぞ知る物だが何故か俺持ってんだよね。
多分あの神が、ちょこちょこっと何かしたからっぽいが、何で持ってるんだろ俺? 金があるだけでは持てないカードなのに。恐るべし神パワーだな。
「なぁ悠莉」
「おう、どうした? 俺今から配送先、と言っても家だけど、住所書いてくるけど。昼飯食いたい物の希望があるのか?」
「いや、そうでは無くてじゃな……。もうちょっとこの店で買いたいんじゃが……」
「・・・」
「ダメかの?」
「いや良いけど、良いんだけど……」
「やったー♪ ありがとう悠莉」
あーあ、コレ絶対今日一日で終わらないパターンだよ。あーあ。
昼飯どうするんだろ? コレ、食うの遅くなりそうだなぁ……。
「ネグリジェも少し買おうかの」
だからキミは誰に見せるんだい?
買っても良いけど、どうせ家では着ないだろ?
あんなスケスケの物、俺の前で着れないくせ、一体何時着て、誰に見せるつもりなんだろうか?
「透っけ透けじゃのう。ちと大胆過ぎんか? どう思う悠莉?」
「そうですね、アレクシアさん」
お前は本当、誰に見せるんだよ?
明日も投稿します。