第15話 ロリコン勇者(元)
今俺は、至高にして究極の美を手に入れている。
その名はアレクシア。究極至高のロリ、アレクシア。
俺は今、その究極の美、至高の美、永遠の少女、アレクシアを抱きしめている。
「クソが、何が究極の美だよ? な~にが至高の美だよ? 我ながらこんなクソ寒い、こっぱずかしい事をぬけぬけと…… マジであの神、邪神だろ? コレ後で思い出したら恥ずかしさで身悶えするの間違いないぞ。もーう! 恥ずかしさで悶絶するの確定だよ! クソ…… それもこの状態から脱出する事が出来たらって話なんだけど……」
「お前、可愛い可愛い言うな…… 究極だとか、至高だとか…… わらわの事か?・・・」
「そうだよ、クソ! お前本当可愛いよな。何でお前はこんなにも可愛いんだ? コレ…… ロリコンにされただけじゃ無く、もしかして魅了掛けられてないか?」
「わらわ魅了は使えぬぞ」
「そうじゃ無くって。アレクシアじゃ無くって。あの神が掛けたんじゃないか? 人やこの世の理ごときなぞ、俺には耐性があるから効かないが神の力であれば、流石に抗えない。いや、あの、あの神の力には抗えない。他の神であれば多分抗えるはずだ。クソ! 多少は、そう、多少も多少だが抗えているが、アリと人並に違いがあるから、抗いや抵抗になって無い。くっ…… だけど抗えれば、もうアレクシアを抱きしめる事が出来ない。アレクシアを、アレクシアをギュッと出来ない……」
コレ絶対、絶対にあの神、俺がアレクシアに対して魅了される様な事してるだろ? ふざけんなよ、人をロリコンにした上、俺に魅了的なのを掛けて、アレクシアに対してこの様な事を思う何かをしただろ?
「お前、悠莉…… 言っておる事が無茶苦茶じゃぞ。コラ、わらわを更にギュッとするでない、恥ずかしいんじゃぞ……」
ん? 気のせいか、アレクシアの奴も魅了に掛かってないか? 気のせいかな?
それにしても…… 髪からチラッと見える魔王の耳可愛いな…… ん? 俺は何を言おうとしている? 流石にコレはどうなんだ? でも、でも、言いたい、いや、アレクシアに伝えたい……。
「なぁお前聞いておるか? ん?」
「・・・」
「どうした? そんな困った様な、辛そうな顔をして? 何かあるのか?」
いや、言っちゃダメだろ。だが言いたい、どうしてもこの想いを魔王に…… アレクシアに伝え…… たい……。
「なぁアレクシア、お前の可愛いお耳をハムハムしても良いか?」
「なっ……! ダ ダメに決まっておろう、何を言っておるのじゃ? いや、えっ、耳? イカンイカン。耳…… ハムハム禁止じゃ!」
「えっ? それってフリか? ハムハムしろってフリだよな?」
「違うわい! フリの訳無かろう。フリとかじゃ無く、本当にダメだからな、ダメじゃぞ。あっ! そう言うフリとかでも無いからな!」
「そうか…… なら軽くカミカミなら良いよな?」
「ダメに決まっておろう、お前、言葉を変えただけで、内容は、やる事は一緒じゃぞ。フリとかでは無く、やっちゃダメじゃ!」
「くっ…… コイツ、コイツ…… 振り向く姿…… 振り向く顔も可愛いなぁ…… 怒ってる姿や顔すらも可愛い。何で俺はアレクシアの耳をハムハム出来ないんだ? おかしいだろ? こんな世の中間違ってるよ!」
「間違っているのは世の中では無く、お前じゃ! お前本当おかしいぞ、普段そんな事言わんではないか。み 耳をハムハム…… ダメじゃ!」
いーや、違うね。間違ってるのは俺では無く、世の中の方だね。何でアレクシアの耳をハムハム出来ないんだ? そんな世の中間違ってるよ。そんな可愛いお耳をしてたらハムハムしたくなるだろ? この可愛いお耳をハムハムしない何て、神に対する反逆に等しいぞ。
「クソっ、なら耳たぶをペロペロなら良いのか?」
「だからダメに決まってるだろ! お前なぁ、わらわの耳をハムハムもペロペロも禁止じゃ。か 可愛いお耳とか言うなよ…… 絶対にダメじゃからな」
「この世に神は居ないのか? 何でだよ!」
「いや、神はおるから。ただ今のお前の願いを叶える奇特な神がおらんだけじゃ。それとじゃな、わらわを抱きしめる力が強くなっておる。さっきから言っておるが、恥ずかしいんじゃぞ。それとわらわは、何時まで後ろから抱きしめられたままなんじゃ?」
「いや、さっきお前が脱出しなかったからだろ? そのお陰で俺はまだ抱きしめられていられるんだが。なぁ、アレクシア、もう少し緩めた方が良い?」
「別に痛くは無いが、ちと恥ずかしい……。それにしても厄介な事をあの神もしてくれたのう…… まさかわらわも、あの発言がこんな事になるとは思っても居なかったぞ。おい! だからわらわの匂いを嗅ぐな。お前…… 髪の匂いを嗅いでおるだろう?」
「はぁ? 髪じゃ無く、頭の匂いを嗅いでるだけだ。勘違いするなよ!」
「もう! お前元に戻ってくれよ、何なんじゃ? 今のこの状況は? あっ、お腹を揉むな、匂いを嗅ぐな、止めい!」
クッ…… 何で俺は家の中で魔王の名前を。アレクシア呼びしている? それに何故抱きしめたままなんだ? 何故魔王の匂いなんか嗅がなきゃならない? こんな事はしたくない。だが止められないし、止まらない。もっと抱きしめたい、もっともっと魔王を抱きしめ続けたい。何でこんな事に……。
「なぁ、わらわが悪かった。だから、だから、頼むから元のお前に戻ってくれよ。悠莉、お前はロリコンじゃ無く、真逆の大人な女が好きなんじゃろ? 元に戻れよ……」
「そうだよ、クソ! でも俺は今はロリコンだ! いやいや、違う! 何で…… 何で…… 俺はこうなってる? 俺もうロリコンでいい。むしろロリコンだよ。ロリアレクシアが可愛くって仕方ないんだ。ならもう……。いやいや! ダメだろ? 頑張れ俺。負けるな俺。ロリサイドに堕ちるなよ。いや…… ダメだ…… 俺は昔からロリコンだった気がして来た…… だってアレクシアがこんなにも可愛いんだ、ならロリコンでも良いじゃないか」
俺は何を言ってんの? ヤベ…… 強制力が半端ない。コレ、かなりヤバイかも。ダメだ、負けるな俺。抗え、抗うんだ。
「うぉーい、お前息遣いがおかしい。耳元でハァハァ言うなよ…… バッ、バカぁ。耳に吐息が掛かっておるから。なぁ、正気に戻れ悠莉」
「ハッ? 俺は今何を……。くそー、抗えない、ロリ衝動に抗えない。何でこんな事に……。シャレになってないぞ」
「そうじゃ、負けるな。わらわの魅力に負けるな。わらわ今の姿はロリじゃぞ。胸もペッタンコじゃ、お前は胸が大きい女が好きなんじゃろ? だから…… て、おい! 手、手。震えておるぞ。まさかと思うがお腹から上に持って来ようとするなよ。そこで止まれ、手の震えを止めい。おい、フリでは無く本当に、お腹から上に手を持って来ようとするなよ。そこで止まれ 」
「危ない、今、手が勝手に震えた…… イカン、抱きしめるだけで良いのに、何で……。離れろま、ま、アレク、シ、ア…… このままでは……」
「お前、ロリコンはまだ良いが、それは流石にシャレになっておらんぞ。いや、やっぱロリコンもダメじゃ。落ち着け」
このままでは間違いが起こってしまう。もう一度力を、意志を強め抗う。とりあえず離れなければ。
「おい、ま…… アレクシア…… お前を抱きしめるこの手を緩める。だから脱出しろ。さっきみたいに頑張って抱きしめる手をわっか状にするから下から、斜め横下から身体を抜いて脱出してくれ。じゃないとお前を愛おしく感じるこの気持ちが抑えられない。お前が愛おしくて可愛くて仕方ない。このままでは間違いが起きる、だからお前を抱きしめるこの手から脱出し、離れてくれ」
「お前、愛おしいとか言うなよ。わらわを恥ずかし殺すつもりか?」
「お前照れて無いで俺の話をちゃんと聞いてくれよ! 頼むから。本当に間違いが起きてからじゃ遅いんだぞ」
「き、聞いておるわ。脱出じゃろ? なら早く抱きしめる力を緩めてくれ。斜め横下から抜け出るから」
「分かった、行くぞ」
「おーい! 何故抱きしめる力が強くなっておる? お前話が違うぞ? 優しく強く、ギュッとするなよ……」
クソっ。言葉と裏腹に…… 気持ちが、気持ちが許してくれない。いや、気持ちは離れなければって思ってるけど、反面コイツを離したく無い。
コイツを離したく無いし、抱きしめたい。もっとコイツの温もりと存在を直に感じて居たい。
くっ、ふざけるな。負けるか……。気合いを入れろ、今のこの気持ち、感情はまやかしだ。抗え、抵抗しろ、俺は…… 俺はロリコンじゃねー!
「ぐぐぐ…… アレクシア…… 魔王…… 魔王! 早く、早く抜け出してくれ! 今の…… 内…… に…… 早く! お前を抱きしめたい気持ちが強いんだ、お前を愛おしく思う気持ちが強すぎて、キツイんだ、早く、早く抜け出してくれ……」
「お、お前、愛おしいとか言うなよ……」
「本当に早くしてくれないかな? 結構き、きついんだけど~」
照れてる場合かよ、さっさと抜け出ろよな。
あっ…… アレクシアの…… 顔が近くに…… 可愛い唇だ…… しても良いのかな?
「お前顔が近い。顔が、唇が近い。しても良いのか? なぁ? コレしても良いよな?」
「エエ訳無かろう! もう少し頑張れ、抜け出るから」
「なら早く出てくれよ! じ、じゃないと…… お前の、アレクシアの唇を奪いたくなるじゃないか!」
「ならもっと手を広げてくれよ! それとお前、く くちびるを奪うとか言うな」
「なぁ、照れてないで本当に早く抜け出してくれ。本当に、本当に、きついんだよ。お前、ほっぺたが近い。このままじゃ、アレクシア…… 魔王のほっぺたにチュウし、してしまいそうなんだ!」
「止めろ。なぁもう少し手を開いてくれ、わっかが小さいから抜け出し難いんじゃ」
「クソ…… は、早く…… このままではお前の…… そのほっぺたをペロペロしてしまいそうだ……」
「アホか、フリとかでは無く本当に止めろよ、お前は犬か。あーもう、抜け出し難い…… くっ…… 良し! 後は頭を抜いてと…… お前コラ! わらわの髪の匂いを嗅いでおるだろ? 後少しじゃから頑張れ」
くっ…… つい、つい嗅いでしまった…… 何で魔王ごときの匂いを……。だがアレクシアの匂いを嗅ぎたくて仕方ない、仕方ないんだ!
それにしてもコイツ、何をまごついてるんだ? 早くしないと我慢出来なくなるだろ。
「なぁ、早くしてくれよ、まさかわざとか?」
「そんな訳あるか。わっかが小さいからしょうがないじゃろ……。良し抜け出せた! あっ! お前なんでわらわを捕まえておる?」
「はぁ? 何を言ってんだ? 訳の分からない事を言うなよな」
「いや…… ならこの手は何なんじゃ? わらわの左手を捕まえておるよな?」
「はぁ?……。 えっ、何で?」
「とりあえず手を放せ。悠莉、お前目が妖しいし、気のせいかわらわ身の危険を感じるんじゃが?」
ヤベ……。無意識の内に左手を掴んでしまっていたぞ。どうしよう、手を放したく無いんだけど。
何で魔王ごときの手を放したく無いんだ? ダメだ、コイツが凄く魅力的に見えて仕方ない。放したく無いし、離れたく無い。
「なぁ、手、繋ごうか?」
「お前本当しっかりしてくれよ。なぁ、頼むから、頼むから元に戻ってくれよ。おい! 手を繋ごうとするな。おま…… 恋人繋ぎしようとするなよ……」
クッソ~ 自分の意志とは裏腹に、ついやってしまう。ああ…… アレクシアの手、柔らかいなぁ……。
「えーい、放さんか。危なかった…… わらわそのまま引き寄せられるかと思うたわ。油断も隙も無い」
「何で魔王ごときを…… くそっ、離れてもやっぱ可愛いよなぁ……」
「コラ、わらわを舐めるように見るで無い。おい、止めろ、全身を舐めるように見るでない。お前時間が経つ事にわらわを見る目が妖しさを増しておるぞ」
「お前さっきから人を怪しい扱いしやがって…… 俺はただ自分の今の感情に逆らえないだけだ。素直になった? とにかくお前が可愛いのがいけないんだぞ」
「いや、お前は誰が見ても妖しいから。それと自分の欲望に素直になっておるのだ。普段はあまりそんな事を言ったり、したりせぬのに、今のお前は色んな意味で本当に本当に妖しいわい」
人を不審者みたいに言いやがって。自分では分からんが、そんなに俺は今怪しいか? 自分ではいまいち分からん。
それにしても…… ちっさく細い、ぷにぷにの手足、堪らんなぁ……。触ったらダメかな?
「ホラ、又わらわの事を妖しい目つきで見ておる。わらわを舐め回す様に見るのは止めい。妖しいを通り越して、危機感を覚える視線じゃぞ」
「お前なぁ…… 人を危険人物みたいに言いやがって。俺が至高にして究極のロリであるお前を傷つける訳が無いだろ? ロリアレクシアを? それは無いな」
「なぁ、その発言自体が既に危険なんじゃが? お前…… わらわを手籠めにしようとか考え居ないか?」
「はぁ? 手籠め? ふざけんな! 俺はただ、そう、ただお前と子作りしたいなぁって思ってるだけだ」
「おーい! おま、おま、お前…… こ 子作りって、子作りって…… やはり手籠めにするつもりか~?」
「手籠めになんかするか! 俺はお前に俺の子を産んで欲しいだけだ! 勘違いするなよな!」
「もう嫌じゃ……。わらわが悪かったから悠莉を元に戻してくれ…… 神よ、お願いじゃ~」
「何だ? アレクシアは俺の子を産むのは嫌か?」
「だからぁ~……」
ちょっと待て、俺はさっきから何を言ってる? いや、何を抜かしている? ヤバイ、ヤバイ、ヤバイぞ…… 心からそう思って言ってしまったぞ。
心は拒否し、それを否定しても、反面認め肯定してもいる。そして口ではこんな事やあんな事を抜かしてしまって居る。
何が子作りしたいだ? 何が俺の子を産めだ? 相当ヤバイ事を口走ってしまってる。イカン、イカンぞ。だが止まらない。気をしっかり持て、この感情に抗え、抗うんだ。
「くそっ…… 魔王…… アレ……クシ……ア……。俺の子を産むには身体が出来ていないから無理か。だが産める年齢にれば、いや、なってしまったら、アレクシアの神聖が失われてしまう。ロリと言う名の神聖が失われてしまう……。」
「んなぁ!」
「くっ…… 難しい問題だ。産むには神聖が…… 神聖が失われてしまうと言う事だ。由々しき問題だ……」
おい! 俺は何を口走っちゃってんの? えっ? まさか完全にロリコンにされちゃったのか? いや、魅了的な何かの方が強い。
ロリコンって言うより、魔王に対しての魅了的な物が強い。そして変な事を口走ってしまう何かが付与されていないか? 本当に止めて欲しい物だ。面白いからって理由でこんな事するなよ……
「ああ…… わらわが、わらわが本当に悪かったから、元に戻してくれ~ シャレになっておらんぞ……」
シャレなっていないのは俺の方だよ。
元に戻して欲しい……。
22時にも投稿します。