030. プロローグ 口伝02 ──うろ覚えのおとぎ話──
昔、6つの世界を創った1柱の“神さま”がいました。
しかしその“世界たち”はとても弱々しく、とても1人で生きていくことは到底できませんでした。
そこで“神さま“は自分の存在を幾つかに分けることで、6つの“魔法の石”と6柱の“小さな神さま”たちを生み出すことにしました。
“神さま”は“小さな神さま”たちにお願いをします。
「その“魔法の石”を使って、自分の生み出した“世界たち”を守り続けてほしい」──と。
そして“小さな神さま”たちにその石を託し、わずかに残った力を振り絞って6つの世界を1つに繋げました。
そうして、すべての力を使い果たしてしまった“神さま”は、“小さな神さま”たちにすべてを託し消えてしまいました。
それ以来、“小さな神さま”たちはずっと、この世界とそこに生きる魂たちを見守り続けているのです。
桃太郎、ヘンゼルとグレーテル、長靴をはいた猫など──
子どもの頃に聞いたおとぎ話というのは、たくさんあると思います。
今思うと、聞き手である子どもにとって簡単に理解できるものから、伝えたいことが難解なものまで、本当に多種多様だった気がします。
道徳的教育や勧善懲悪、それに歴史。
そういったものを伝えるおとぎ話は種類も多く、非常に出来栄えの良いものに仕上がっています。
逆に、両親や祖父母、そういった人がアドリブで作ったりしたおとぎ話というものは、何を伝えたいのか非常に分かりにくかった記憶があります。
それは自分の経験や、昔聞きかじったおとぎ話をアレンジして、子どもに聞かせようにした結果なのかな、とも思います。
そんなわけで、第二章がはじまりました。
この章は「おとぎ話」からになります。
引き続きのお付き合い、よろしくお願いします。




