第1章-1 攻撃は最大の防御
「攻撃は最大の防御」。
これは攻めの大事さを説いたことわざの一つである。
今は平和な異世界で、タカハシ・ケイという壮年が既に規格外の魔力を手に入れていた。
しかし、初めて来る異世界でどうやって生きていくか困惑している様子。
現在、時刻は夜7時で、すっかり外は暗くなっている上に肌寒い気温である。
持ち物は財布とスマートフォンのみである。
取り敢えず休もうと近くのホテルで一泊しようと中に入った。
「いらっしゃいませ」
ケイより若そうな女性ホテルマンが彼に向かって笑顔でそう言った。
何だか惚れるような気持ちになりながらチェックインを済ます。
部屋はホテルの最上階、つまり十階の一番奥を選んだ。
その後はエレベーターに向かって自分の部屋へと向かう。
カードキーを通しては部屋の中に入り、高級ベッドに飛び込んだ。
ふかふかとした感じがたまらないのか、不安が紛れるように感じていた。
「この快感、気持ちいいー! 異世界にも良いホテルがあるんだね!」
嬉しさのあまり、隣の部屋にも聞こえるようなボリュームで独り言を言った。
入浴と食事を済ませて気持ちがスッキリした所で、布団の中に入った状態でスマートフォンをいじり始めた。
手元にあると気が向いた時にスマートフォンでネットサーフィンしたくなる癖がある。
それから数時間後、疲れてきたら脇にスマートフォンを置いた状態で眠りに就いた。
布団も高級物であり、ケイは癒されるような心地よく眠っている。
気持ち良いあまり、夢の中でもケイはのほほんと過ごしている。
舞台は金色の神殿の中であり、ケイの前には如何にも神々しい女神がいる。
見た目はケイよりも年上で29歳であり、肌が眩しいように輝いて見える。
美しさにすっかり心を奪われたケイはうっとりしていた。
「綺麗ですね!」
「私は異世界で1番美しい女神。あなたには規格外の魔力を秘めていますから、これでも飲んで下さい」
女神はケイに無限魔法の聖水を手渡した。
瓶の中には透明の聖水が入っていて、清らかな感じが強い。
思わぬ幸運によりケイは喜びながらその場で瓶の蓋を開けて飲んだ。
味はしないが、とにかく女神に頭を下げて感謝するケイ。
それを見て女神は嬉しそうな表情をしながらこう告げた。
「異世界でこの聖水を飲めたのはあなたが始めてです。普通の人ならば飲もうとした時に凄まじい苦味で飲めないのですが、あなたは魔力に極振りしたので味なしで普通に飲めたのです。つまり、あなたは神に選ばれし魔法使いとなり、魔法を無限に使えるようになります。攻撃は最大の防御です」
「僕は異世界に来たばかりなのに最初からチート!こんな夢みたい事あるんだね!」
ケイは何とも言えない快感に包まれた。
それから時が経ち、目を覚ました頃に時刻を確認したらまだよる11時だった。