第3章-1 ゼロから始める夢空間生活
――人は誰でも睡眠中に夢を見た事がある。
良い夢を見られれば、悪い夢も見る事があって、そのパターンは様々である。
夢は人々に安らぎを与える物である。
とある日、異世界にある屋敷でケイとユカリは気持ち良く寝ていて、気持ち良く夢を見ていた。
そして翌日、二人とも気持ち良く目覚める事ができた。
ユカリはケイと違って明らかにテンションが高い声でこう言った。
「ヤッホーイ! 私、良い夢見ちゃったー!」
「ユカリったら朝からうるさいよ……夢ごときに大声まで出すかよ」
「夢ごときって何よ。私の人生は睡眠中に夢を見る事が楽しいからって言っても過言じゃないからね!」
と、ケイに向かって口を大きく開けてそう言ったのはユカリ。
余程良い夢が見られたのか、昨日よりも明らかにテンションが高い。
メイドのレムが出してくれた朝食を美味しく平らげて、歯磨きを済ませた後もまだユカリのテンションは高かった。
彼女はケイの気持ちを考えずに何でも口走る傾向があり、突然大声を上げた。
「ねえ! 私、夢の世界に行きたい!」
「夢の世界って、睡眠中に見る夢の中で行けよ。そんな無理な事現実ではできる訳ないだろうが」
「魔法使えば行けるかも? ”マジックゲート”!」
ユカリは魔力を集中させてはマジックゲートを使って紫色の光を生成して門を開けた。
一緒にいるケイもしぶしぶ同行する。
彼等が辿り着いたその先には、レインボーリゾートである。
夜空には綺麗なオーロラが浮いており、床には透き通った水溜りがある。
オーロラが空に浮かび、きらびやかで色鮮やかだが寒冷の気候になっている台地であり、夢の泉はこの場所にある。
そこにはピンクの丸い生き物がいる――よく見たらカービィという何とも可愛いらしいキャラクターである。
彼は訪問者であるケイとユカリに興味深々そうに近づいてきた。
「ぽよぽよ!」
「……未確認生物? でも話は聞きたいからケイもこれ食べて!」
ユカリがケイに手渡したのは翻訳こんにゃくというひみつ道具である。
どこからどうやって調達したのかはユカリの秘密だ。
二人とも翻訳こんにゃくを食べた後はカービィの話を聞いた。
「夢空間へようこそ! ここでは自分の思い通りの生活ができるよ!」
「丸で僕達が本当に夢の世界、いや夢空間にいるみたいだ。さあ、夢空間での生活の始まりだ!」