第2章-5 屋敷と異世界生活
カフェの中でケイとユカリに立ち向かおうとする一人の悪い女性。
その女性は見るからに不気味なオーラが漂っている。
ゲラゲラと癒そうな笑みを浮かべながら右手を前に差し伸べ、魔力で生成した緑色の宝石をミサイルのように飛ばしてきた。
その魔法の名前は”パワージェム”。
魔力で生成した宝石を飛ばす、悪い女性が使える魔法である。
それを見たケイは思わずユカリを盾にするようにユカリの背後に回った。
彼女も魔法で対抗しようと右手を前に差し伸べ、シャイニングアローを放つ。
魔力で生成された魔方陣からは数本の光る矢が悪い女性へ勢い良く飛んで行く。
飛び道具が飛び交うカフェ内にある物の数々は飛散していた。
中には窓ガラスも割れ、更には何本かのグラスも割れてはガラスの破片も散乱していた。
近くにいたカフェの店員は怖がりあまり声を上げる事もできずにカフェの外へと出て行った。
悪い女性は逃がさないと言わんばかりに緑色の宝石を飛ばす――
「危ない! あっ……」
ケイは女性店員をかばおうとした時、背中に緑色の宝石が当たった。
すると背中には凄まじい痛みが走り、痛いあまりその場から動けないレベルだった。
「いたたた!」
「ケイったら何敵の攻撃に当たっているのよ。ここは私に任せて。ケイは外に避難して」
「ほほう、その男の名はケイっていうのね。逃がさないわ……」
悪い女性はそう言った後、魔法を使って瞬間移動してはケイの右腕を無理矢理強くつかんだ。
彼を助けようとユカリは再びシャイニングアローを飛ばして至近距離から悪い女性に攻撃した。
一秒に五本以上の光の矢が悪い女性に当たり、それは与えられたダメージは大きいはず。
悪い女性は痛がっているのか思わずケイを手放した。
その時ケイはユカリの事を心配しながらもひたすら前方へと逃げて行った。
「ユカリ……この私を簡単に魔法で倒せるとは思わない方がいいわよ……本気出そうかしら」
とうとう悪い女性は本気を出し始めたのか、魔法を使って自身の防御力と素早さに極振りし始めた。