第2章-4 屋敷と異世界生活
街を暴れる野犬は、ユカリの魔法によって食い止められた。
その事は世間にも知れ渡り、なんとニュースでも報道されるようになった。
同行しているケイはマスコミに取材される事に対して照れを隠し切れない様子。
自分は恥ずかしがりやなのか、頻繁にユカリにくっつくようになっていた。
ユカリは自分がすっかり有名なのか、と調子に乗るように思っていた。
「私、魔法で世界を救ってみせます! これなら自衛隊や警察官もいらないですね!」
「ユカリ! マスコミに対しても緊張感を持てー!」
――それから数時間後、ユカリは調子に乗りすぎたのか耐え難い疲れが襲い掛かった。
風車の近くにあるカフェの中にケイと一緒に入って行った。
二人ともせっかちなのか、メニューを見たらすぐに店員を呼び出し、自分の食べたい物を頼んだ。
ケイはたまごサンドイッチを頼み、ユカリはチョコレートパフェとビッグチョコレートケーキを頼んだ。
そして、料理が運ばれた所で二人とも食事を進める。
ケイが黙々と食べている所を見て、ユカリは口を開く――
「ねえ、私と一緒にいて気持ち良いでしょ。ほら、あーんして」
ケイは渋々口を開けて、ユカリの差し出すチョコレートパフェを食べた。
口の中には凄まじい甘みが広がった時は甘さに苦しむようになった。
苦しさのあまり水を飲んでその場を凌いだ。
甘い物が苦手なのか、ユカリに甘い物を食べさせられた事により若干苛立つケイ。
そんな彼とは逆に、ユカリは甘さが気にならずに食べ進めて行く。
そして二人とも完食した所で会計を済まし、カフェを出ようとした時、突然一人の女性に呼び止められた。
「ちょっと待ちなケイとユカリ! 私の野犬をよくもやっつけてくれたわね! 魔法でおしおきよ!」
「魔法でおしおきよってセーラームーンか……」