平凡な生活を送るなんて私には出過ぎた望みだったようです…
俺の名前は雅灰徒だ。高校2年生。俺の学校生活は波乱のない平凡なものだと思っていたが、そうでは無いらしい。
時計の目覚ましが鳴り響く。いつも通りにベッドから這い出る。季節が夏だからかクソ暑いうえに朝日が眩しくて仕方ない。イヤイヤながらも制服に着替えて朝食の準備をする。親はいない。従姉の悠里と一緒に二人で暮らしているが悠里は朝が遅いので必然的に俺が朝食を作ることになる。朝食ができたので悠里を起こして朝食をとる。
「どう?学校は楽しい?」
「いや、別に。いつも思うんだが母親みたいな質問ばかりしないでくれ。」
「いいじゃない。私があなたの保護者なんだから。」
「そうは入っても俺と4歳しか変わらないじゃないか。」
「それでもよ。あなたには親と呼べる人がいないんだから年上の私があなたの親代わりなってあげなきゃいけないじゃない。」
「それはそうだが…まあいい、俺はもう学校に行く。」
「行ってらっしゃい。」
家を出て、学校までの少し長い道を歩く。はぁ、今日も学校だ…憂鬱で仕方ない。学校に行っても親友といえる人などいないし好きな人も、ましてや彼女などもいない。ただ毎日授業を受けてバイトして寝るだけなんて憂鬱でしかない。別に友達が一人もいないわけじゃない。それなりに話す相手はいる。だがホントの意味で打ち解けた相手がいない、それだけのことだ。
「毎日毎日なんのために学校に行ってるんだろうな」と思いながら歩いていると、すぐ近くで話し声が聞こえてきた。男と女の声だ。その声は喧嘩をしているように聞こえた。少し興味を持ち顔をのぞかせてみた。見覚えのある制服と顔なので俺と同じ学校の生徒でしかも俺と同じクラスのようだ。様子を見てみるとかなり深刻な問題の様だ。男子生徒のほうが尋常ではない剣幕で掴みかかろうとした。咄嗟に声をかけたら男子生徒は驚いたような顔をして去っていった。
「大丈夫ですか?」
とりあえず話を聞くことにした。
「見ていたんですか?」
と彼女は聞いてきた。声が震えており、とても他人に聞かせられるような話ではなかったのだろう。
「いいえ。何も聞いてはいません。それよりも警察に通 報をしなくていいんですか?」
と尋ねると彼女は
「いえ、警察への通報はしないでください。」
といわれ、少し困惑しながらも了承した。その後、学校へ到着したのは家を出てから30分オーバーで歴代最遅記録を更新するほどの大遅刻となり、こちらもまた歴代最大記録更新の怒られっぷりで、朝からテンションはだだ下がりだ…
昼休みのことだった。朝の一件の女子生徒が声をかけてきた。俺に用事があるとのことだったので、屋上へと一緒に向かった。
女子生徒は、「朝のことは誰にも言わないでください。」
と言った。
「別に同じ学年なんだから敬語じゃなくていい。」
「分かりました…」
「個人的な興味から聞くんだが、あれは何を話していたんだ?」
「その質問には答えたくない。」
「じゃあ君の名前は?」
「蒼井美姫」
「そうか、俺の名前は雅灰徒だ。」
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