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蒼綺月之想詩  作者: 蒼月夜
13/39

第弐章 九話『凶刃と引き金』






圧倒的に不利。




1つ、マガジンに入ってる残弾の数が分からない事。


2つ、直ぐにでも間合いを詰められてしまう程、相手との距離が近い事


3つ、







きっと、私には人は撃てない事。







??「おやおや…。


誰も居ないと思ったんだけどねぇ…。」


本当に音も無く、突然其処に居た。


驚くより先に銃口を向けたのは、そいつの右手に鈍く光る短刀が握られていたから。


『………。』




紫色の忍者。


そいつを一言でいうとそんな感じ。


女の忍者って他に呼び方あったよね…。




あ、くノ一か。


此処が日本ならコスプレだと思ったんだろう。


でも、服装は問題じゃない。


父親から何度も見せられた刃物の煌めき。


アイツはそれを持っている。




つまり、








殺る気だ。








『もう一度聞くよ、アンタ、誰?


何処から入ってきた?』



それを聞いてくノ一は目を細める。



??「おやおや…。


私はアンタを見た事あるのにねぇ。


でも、残念。


今回ばかりは私も余裕がなくてね。




自己紹介の時間はないよ。」




嘘!?




(カッ!カッ!カッ!)




床に刺さる三本のナイフ




(パアァンッ!!)




激しい音を立てて落ちる照明器具




当たらぬ様にと、くノ一が軽やかな動きで距離をとる。




私は咄嗟にナイフを避けて横に飛び、一転した後、片膝を付いた状態で直ぐに銃口を向けた。






まさかの飛び道具。




てっきり持っている短刀で切りつけてくると思った。




【間合いを詰める】




それが銃を無力化するのに最も効果的だから。


寸分狂わぬ精度でも、


全てを貫らぬく威力でも、


銃口を向けられない程近付かれたら全く役に立たない。


だから、この距離で銃に飛び道具で応戦してくるとは思わなかった。



くノ一「ほぅ…。


良い反応するじゃないか。」



それには私も驚いている。


反射神経良かったんだ、私…。


体育は結構サボり気味だったんだけど。


でも、反射神経だけで避けれる程、ナイフは遅くなかった。


私が避けられた本当の理由。


それは、またしても父親だった。



(いいか紗希。


先に銃口を向けて、相手と対峙した時は相手の手の動きをよく見ろ。


特に懐に手を入れたら、迷わず撃て。


チャカでもドスでも大抵懐に忍ばせてるもんだからな。


まあ、お前はカタギだし撃てなくてもいいが、


その場でじっとしてたら倒れてるのはお前の方だぞ。)




そう、くノ一の手が懐に入った瞬間に飛んだんだ。


あと少し遅かったら、体にナイフが刺さって……






……ない。





あのまま飛ばなくてもナイフは体には刺さらなかった。


ナイフが刺さった位置は床。


私の足元からでさえ少し離れてた。


私の体を狙ったなら、私の後ろの壁に刺さる筈。


狙いが逸れた?


いや、それにしては逸れすぎてる。


何?


何を狙ってるの?



くノ一「時間をかけてられないってのに。」



くノ一はイラ立っているみたい。


そういえばさっき、


余裕がないって言ってた気がする。


いきなり現れて余裕がないって何よ…。


くノ一「手荒な真似はしたくなかったんだけどねぇ…。


大人しくしててもらうよ…。」







信じられない程、素早く迫り来る凶刃。












引けない引き金。























最初から























私の負けなのは分かってた。























だって人なんて撃てないもん。























色々教え込まれて来たけどさ























やっぱり






















父親みたいになれないよ…。






















『ごめんね、パパ、ママ。』































(キィィィン!!)



くノ一「くっ!!

冗談だろう?

早すぎないかい!?」




















これは……何……?




青い光の線で描かれた……




……大きな魔方陣の様なもの……が私とくノ一の間に割って入り、


まるで盾の様に私を庇ってくれた。



何故だろう。


得体の知れないものに守られている筈なのに


もう大丈夫なんだって思える。


その証拠に私はもう銃を床に置いて座り込んでしまっている。


所謂、女の子座り。


家でテレビでも見ているかの様に、


魔方陣越しにくノ一を見てた。


くノ一は私とは真逆で、酷く狼狽えている。




これが、


【余裕がない理由】


なのかな?






そんな事を考えていると、


魔方陣の輝きが、より一層強くなり、


眩しくて目を閉じようとした、





その瞬間だった。





魔方陣から何か青いものが高速でくノ一に飛んでいった。



くノ一「なっ!?」



(キィン!)



金属音。



床に刺さる短刀。



くノ一「くっ!」




短刀を弾き落とされた事に一歩遅れて気付く、くノ一。


くノ一も恐ろしく身のこなしは素早い、


でも、そのくノ一が反応出来ない程にその業は早かった。


くノ一「……化け物だねぇ。」


そう言い終わらない内にくノ一は消えた。




と思った。




確かに一瞬消えた筈、


それ位の瞬発力だった。






くノ一「……逃がしてもくれないのかい…。」





そう、消えたのは一瞬だけ。


その瞬発力を上回る早さで、くノ一はその手を捕まれていた。





長い黒髪


青いドレス


真っ白な顔


左頬の青い三日月





そして、その人はくノ一の手を掴みながら言った。





声に温度があるのなら、その声はきっと氷の様に冷たい。



















































《蒼》「私達の御客人に手を出す事は、許しませんよ。」




























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