表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼綺月之想詩  作者: 蒼月夜
12/39

第弐章 八話『鈍く、鋭く』






《白》「んー。」


月界の森の奥。


廃墟まではもう少しの所で《白》が唸りをあげる。


《蒼》「どうかしたのですか?」


その間も3人共走りを止めず、そのまま会話は続いた。


《白》「敵の数といい、蒼武の事といい、



私達3人も要るのかなぁー。」


《蒼》「!」


そこで《蒼》が走るのを止めた。


私も。


《白》「え!何!?

何で止まるの!?」


《白》が慌ててこちらに戻ってくる。


《白》は自分で言っておいて気付いていないの?



《蒼》「……囮。」


《白》「……え?」


《蒼》「囮です。

あの方の狙いは、この廃墟の依頼ではないですね。」


支払っていない衣服の代価としての負い目もあり、その事に気付かなかった。


でも《白》の言うように、私達の内誰か一人いれば済む依頼に、何故か3人でとお願いされた。


依頼の完遂が目的なら、

私達の内1人居れば問題ない筈。


それなのに、だ。




そして、私達3人が居なくなる事で手薄になる場所。



今、其処に居るのは…。



《蒼》「家へ戻ります。」


《白》「え!どゆこと!?」


『廃墟は…どうする…?』


《蒼》「あの方の事ですから、人質が居るというのは本当でしょう。


2人で救出したのち、速やかに戻って来て下さいますか?」


『……分かった…。』


《白》「全然分かんない!」


『……後で…説明するから…廃墟に行こう…。』


《白》「不審者と2人で廃墟かー。」


私は無言で《白》の脇腹をつねる。


《白》「い、痛い!痛いよ!

分かったから!行くから!」


《蒼》「では、また後で…★」


そう言うと《蒼》は空高く跳躍した。


そして、何もない空間に足場を作りながら、恐ろしい程の早さで街まで飛んでいった。


正確には足場を跳躍しながら進んでいるのだけれど。


《白》「此処に来る時もあれ使えば良かったのにねー。」


『……私達に……気を使ったんだと……思う…。』


《白》「私飛べるよ??」


『《白》の白光之翼(はっこうのつばさ)はあれ程早くない…。』


《白》「確かに…。

でも、《黒》はあれくらい早く移動出来るよね??」


『……私は空間に足場は…作れないから……。

…地形を無視…出来ない…。』


《白》「なるほどー!」


納得したように頷く《白》を見ながら、思う。


本当に拐われている方が居るのなら、立ち止まっている訳にはいかない。


『廃墟に…急ぐ。』


《白》「そうだね!」


走り出す2人。


程なくして、《白》が思い出したように私に訪ねる。


《白》「それで、結局《蒼》は何で家に帰っちゃったの??」




《白》は鋭いのか、鈍いのか分からない…。


























『……紫蜂さんに……騙されたから。』












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ