ルイの告白4
私が出会った人。それは私が大好きな木村太郎さんの上司に当たる人。
【中村 幸一本部長】
キャバ嬢の頃から何度も話はした事がある。
彼の印象は仕事は出来るけど、どこか抜けていてドジを踏んだり、あんまり面白くない冗談を言っていたり、まぁ得にも害にもならない人。って印象しか持ってなかった。
その日も多分視察って言う名目で私が働いてるデリヘルの事務所のあるマンションに遊びに来ていた。
会えば世間話ぐらいはする間柄だから、この日も世間話をしていた。
本部長は、私がどこか元気が無い事を感じ取ったのか、気晴らしにデートでもしよう。そう言ってきた。
別に、このままデートに行ってもお店に怒られる事も無い。
必ず決まった時間、お店の事務所で待機してなきゃダメな訳でも無い。
私は何故かこの時、素直に気晴らしに本部長と遊びに行ってみよう。って思った。
ご飯を食べに行って、ゲームセンターでゲームして。って普通に遊んで過ごしてただけだけど、彼はその間もずっと喋り続けていて、私を何とか元気にしようとしてくれていた。
そして、送って貰う帰り道には、私は久しく出来ていなかった、声を出して笑えるまでには、本部長から元気を貰っていた。
そしてそれから、本部長は時々やって来ては、私を遊びに連れ出すようになっていった。ご飯を食べに行ったり、お酒を飲みに行ったりと、何か特別な事をする訳でも無かったけど、いつしか私も本部長と遊びに行くのを、楽しみに待つようになっていってた。
そんないつもの何でも無い恒例になっていた本部長と遊んでいた時。本部長から言われた……
『ルイちゃん、俺の彼女になってくれないかな?』
私は、片想いしている人が居て今も本部長と一緒に居るけど、その人の事を好きなままで……
「あ……あの私は、本部長も知ってる通り……」
『うん、木村部長の事が大好きでずっと想い続けていて、片想いをしているだよね? もちろん知ってる、それでもそんな他の男の人に片想いをしているルイちゃんでも構わないって思ったから』
私は直ぐに返事は出せないと本部長に伝えて、1度ちゃんと本気で考えてみてから、返事をします。と本部長に伝えた。
本部長は、それでいい。それがいいと言って、私が答えを出せるまで待っていてくれると言ってくれた。
何日も何日も本当に真剣に考えてみた。そして、私の中に1つの思いが浮かんできた。このまま今のまま、木村太郎さんに固執したままでいいのか? 私と言う存在がいつか彼の障害にはならないだろうか? そんな存在になってしまう前に、彼の事を忘れる事は出来ないけど、彼と過ごした日々を思い出に変えるには、良いキッカケなんじゃないか? そんな風に。
そして私は本部長に返事をする事にした。
呼び出した本部長に私は話す。私の思いを。
「最初に言っておきます、今から話すことは偽らざる私の本音です」
そう前置きをして、話を始めた。
「本部長の私を彼女にしたいと言う要求に対しての答えは【YES】です、だけどそれは本部長と一緒に居たいから、本部長の事が木村部長よりも好きになったから、そんな理由じゃありません、私はとっても卑怯な答えに辿り着きました、私は今も、こんな話を本部長にしている今でも、彼の事を好きでいます、そしてそんな私はきっといつか彼にとって邪魔な存在になってしまいそうな気がします、そんな彼の為に私は彼の事が大好きだと言う気持ちを、思い出にする為に、本部長の事を利用してしまうかも知れません、いえ……きっとそうしてしまうでしょう、そんな卑怯な私でも良ければ、本部長の彼女にして下さい」
私は本部長から嫌われてしまうかも知れない事を覚悟の上で、正直に私の本音を言った。本部長は、暫くの間、黙って考えを巡らした後に、私に告げた。
『うん、それでもいいよ、そんな事ぐらいは、ルイちゃんに告白する時に考えたし、俺が必ず木村部長との事を、ルイちゃんの中で【楽しかった思い出】に変えさせてみせるから』
その言葉を聞いて、こんな卑怯者の私でもいいって言ってくれた本部長に私は告げた……
「真実です、私の名前はルイじゃなくて、武田 真実それが私の名前です」
こうして、私と本部長は付き合う事になった。
そしてそれは……彼、木村太郎さんとの事に、キチンとケリを付ける。と言う事を意味していた。
私はその後、木村太郎さんの彼女である、ユキさんに事の経緯を全て話した。彼女は私の考えに賛同を示してくれた。
そして、彼、木村太郎さんとの話し合いの場を作ってくれる事になった。




