表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/90

掃除。

 俺は今。店のフロアに配置されているテーブルの下に潜り込んでテーブルの脚を、オシボリで拭いている。


 「ちゃんとテーブルの脚も拭くようにな、意外とこう言う場所の汚れを気にするお客さん多いから」


 一通りテーブルの脚をオシボリで拭いた後、テーブルの下から出て来た。 


 「定期的にプロの掃除屋に頼む予定だが、毎日の掃除も男性スタッフの大事な仕事だからな、掃除が嫌いなら今言えよ~明日から来なくていいって今言ってやるから」


 まぁ掃除が好きな奴なんて、そう多い訳じゃないが、こう言う地味な仕事を嫌がり、手を抜こうと考える奴には、俺の店に居て欲しくは無い。


 「ピカピカに磨き上げろ! なんて無茶な事は言わないが、毎日決まった掃除を、手を抜かずにやってくれるだけでいいからな」


 ちょっとした埃や泥。そんな物を拭いてくれるだけで十分に、店の中をキレイに保つ事が出来る。取れない汚れや目に付かない汚れなんかは、プロに任せたらいいんだから。床のワックス掛けとかな。

俺がそう男性スタッフに説明すると、そこまで細かい掃除や面倒な掃除の質を求められていないと言う事を理解したのか、全員が【そのぐらいの掃除ならやって当たり前だよな】と言う感じの納得顔をしていた。


 「床のモップ掛けとテーブルの脚拭き、テーブルの上を拭く、後は目に付く汚れの拭き取り、このぐらいの事でいいからな」


 そう言いながら、男性スタッフを連れて、俺はトイレに向かった。


 「さて次はトイレなんだが、トイレは出来たらピカピカに磨き上げて欲しい、トイレは【店の顔】だからな、お洒落な店でもトイレ汚ないだけで、次に行く気失せるだろ? お客さんだって同じだ」


 キャバクラとは言え一応は、お酒を飲む人がお客さんだ。

汚ない話になるが、酔ったら狙ったところに当てられないお客さんや、飲み過ぎて吐くお客さんだっている。

飲み屋のトイレは汚れやすい。そんな理由はお客さんには関係ないし、通用もしない。トイレは本当にピカピカにしていて欲しい。


 俺はトイレ掃除の手順を、自らが実践しながら、男性スタッフ達に教えて行く。床のブラシ掛け。水切り。壁の拭き掃除。


 「それで次は、オシボリ使って便器の外側を洗剤付けて拭いてから、新しいオシボリで拭き取る、そして最後に洗面台を新しいオシボリで拭いて完了だ」


 久し振りにやったが、満足行く掃除が出来た。


 「掃除に関して何か質問あるか?」


 『雑巾とかじゃなく、オシボリ使っていいんですか?』


 そう質問してきた男性スタッフが居た。


 「お前、飲食店でバイトした事ないだろ?」


 俺が、質問してきたスタッフにそう言うと、そのスタッフは無いと答える。まぁ経験あるなら、そんな質問自体しないわな。


 「このオシボリな、ほとんどの店がオシボリレンタル会社から借りてるんだよ、汚れてても借りたのと同じ数を返したら、クリーニングして消毒したキレイなオシボリを、持ってきてくれる訳だ、だから飲食店で掃除の為の【雑巾】なんてある店は少ないぞ」


 そうオシボリを雑巾代わりに使えと言っている俺の言葉の意味を理解したようだ。実際に飲食店勤務経験のあるスタッフ達は、常識。当たり前の事。と言う感じで、オシボリ使う事に疑問すら感じてない。


 その後、少し休憩時間とした。休憩時間には、キッチンに置いてある冷蔵庫で冷やされた、お茶やジュース類等を好きに飲む事をOKとしてある。これは男性スタッフへの気遣いでもあるが、この店にどんな種類のソフトドリンクがあるのか? と言う事を実際に自分で飲む為に見て触り覚えて貰う意図も含まれている。


 休憩中に、やっと1人の男が店を訪ねて来た。始めから居る予定だったのに、来ないから実は内心でヒヤヒヤしていた。電話を掛けてみると【ごめんね、寝てた】と言われた……上司じゃ無かったら殴っている。絶対!


 『部長~いや……代表だったか……も~役職さっさと変わりすぎ! 遅くなってごめんね~』


 いや。アンタが部長って変だよね? って言い出したから代表になったんだろ? 何で文句言われなきゃいけないんだよ。


 俺は、ずっとこの本部長様を待ち望んでいた。こんな人を待ち望む自分が少し嫌ではあったが、俺ではなく本部長じゃないと教えられない事を、今から男性スタッフの何人かに、教えるのだ。


 休憩前に告げた休憩時間が過ぎて全員が既に集合している。こう言う時間にキチっとしている人間が集まって良かった。


 「それじゃ、約束の時間にグースカと寝てらした、講師の大先生様がお見えになったから、一部のスタッフは予定していた研修を始めるからな~」


 遠慮無くイヤミを込めて、本部長を紹介した。


 「この寝坊助さんは、残念な事に俺の上司だ、こう見えても、会社のNo.3だから失礼の無いようにな、間違っても蹴ったりするなよ」


 『ぶ……代表が一番失礼だよね……』


 尊敬して欲しいなら言動と行動で示して欲しい。本当に。


 『それじゃキッチン希望でバイトに来た子達は、今から俺と一緒にキッチンの掃除、仕込み、後片付け、後は一通りのメニュー作りをするからな~キッチン担当の子はキッチンに集合な』


 そう。俺が教えられず、本部長に頼るしか無かった事は【キッチン】での仕事だ。本部長はこう見えてもキッチン仕事のプロだ。どこかのホテルの料理人をしていたらしい。料理の腕もかなりの物らしく、鮮やかでキレイなフルーツの盛り合わせなんかも、作ってしまう。1度見た事があったが、本当にキレイなフルーツ盛りだった。


 こうして、本部長が来たおかげで、キッチン組。フロア組。と別れて研修の続きが出来るようになった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ