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求人募集

 カチッ……カチッ……カチッ……


 「う~ん……俺ってここまでアナログ人間だったのか?」


 パソコンでの文字の打ち込みに、悪戦苦闘中の俺。

人差し指1本を使い、頭の中で打ちたい文字を1度、ローマ字に変換してから、視線をキーボードの上で、行ったり来たりとさ迷わせ、1文字1文字を打っていく。


 パソコン……最近の俺の1番の天敵だ。お店と言う名前の現場仕事にだけ集中していた頃は、縁が無かった。昇進を重ね、出世したお陰で、パソコン仕事も増えた。やらざるを得ない。


 こんな物、俺なら直ぐにマスター出来る。そう思っていたのだが、現実は文字入力さえも、人差し指1本だ。


 「本部長~小さい【あいうえお】って、どう打つんでしたっけ?」


 『部長って、本当、パソコン苦手だね、何でも出来る男ってイメージなのに、あっ教えてあげてもいいけど、後で、一緒に【マリオカ○ト】ね』


 くそ……何で今日に限って、専務も社長もユキですら、居ないんだよ……1人だけでも居たら、こんな本部長の条件なんて、聞きもしないんだが。


 「はいはい、早く教えて下さい」


 『小さい【あいうえお】は【x】か【l】を最初に打ってから打つんだよ~』


 「そうなんですね、ありがとうございます」


 俺は、本部長に教えて貰った事を、早速実行に移す。先ずは、xかlがどこにあるのか探す事から。


 その後、人差し指1本で格闘する事、数十分……やっと出来た。これをメールに添えて、相手に送信すれば、終わりだ。


 『あっ書けた~? 求人情報紙に送る、求人広告の内容』


 そう。俺は大嫌いなパソコンを使い、求人広告を求人情報紙に依頼する為に、求人内容を打ち込んでいた。


 メールで送信する前に、不備等が無いか再度確認する。


 【新規スタッフ募集】

【業種】フロアレディー

【資格】18才以上

【学歴】不問

【勤務時間】応相談

【時給】2,500円~ヤル気次第でいくらにでも

【備考】シフト等、働く上で気になる点は、御相談下さい


 【男性スタッフ同時募集】

【年齢】18才~30才ぐらいまで

【時給】1,000円~


 【応募受付先】090-$%#$-@?&!(担当 木村)


 悪戦苦闘した内容に不備は無いな。俺は確認が終わり、これで大丈夫だと思い、メールを送信した。

 

 ビルの改築と、そのビルの1階部分全てを使った、巨大キャバクラの工事も着手された。そろそろ、求人をして人材の確保もして行かなければ、オープンの時に、人が居ない。なんて事態にもなってしまう。


 県内に出回る全ての、求人情報紙に、取り合えず4週分の求人を依頼して、県内に出回る全ての、風俗情報誌にも同じように、求人広告を出した日から、1週間後。応募の方は、そこそこの数の反応があり、俺は毎日を、キャバ嬢になる女の子と男性スタッフになる子の面接を繰り返す日々を過ごしている。


 これは、誰かに任せる事も出来たのだが、どうしても自分の目で確かめてから、雇いたい。と言う思いから、俺が自ら買って出て、面接の為に、県内を車で駆けずり回っている。


 他の細かい打ち合わせ等は、ユキの方に回して、ユキに任せている。そして、どうしても人手不足になる事から、俺の部下で、デリヘル数店舗のエリアマネージャーをしている、藤田にも、頼み込んで、俺やユキが居る必要の無い事、事前に藤田に伝えておけば事足りる事等を、手伝って貰ってもいた。


 オープンして、即戦力。直ぐにでも自分のお客さんを、呼ぶ事が出来る、俺が個別にスカウトしたキャバ嬢達。


 アカネ。エリカ。マミ。マナ。等のキャバクラ時代に一緒に過ごしたキャバ嬢達は、ほぼ全員が、俺の店への移籍に同意してくれた。

これに関しては、キャバ嬢達の多くが、うちの会社の系列の店で働いてたいたからこそ、割りとすんなりと成功させる事が可能だった。社長の方から、各店舗に通達が出ていた為だ。


 そして……ルイだが、俺がルイに話して聞かせた事に対して、自分なりに納得出来るまで考えた末の事だろうが、キャバクラで働くと言う選択肢は、選ばなかった。


 謝りながら、自分の考えを言ってきたルイに、俺は、謝る必要なんか無い、ルイが決めたのなら、それが1番のベストな選択だ。そう伝えた。俺もルイが今更キャバ嬢をやる必要は無いと思っていたしな。


 そうそう、キャバ嬢の面接は、うちの系列のキャバクラで働いている、俺の知らないキャバ嬢。他の会社の店で働くキャバ嬢。まったくの未経験の普通の女の子達。色んな女の子と面接をしている。


 その中には、未経験ながらも、どうしてもキャバ嬢として、働いてみて欲しいと思える子も何人も居た。それと同時に、キャバクラで現在も働いているキャバ嬢なのだが、俺の店には、相応しいとは思えないキャバ嬢も居た。


 そんな風に、人材の確保と取捨選択をしながら、俺の店を華やかに飾ってくれる、キャバ嬢達を集めていった。


 そして、キャバ嬢。男性スタッフ。本社から言われ、俺の店で働く事になる幹部や幹部候補生。オープンするに当たり、必要だと思えるだけの人材を揃え終わった時には、オープンまで1ヶ月を切っていた。


 この後も引き続き、求人は掛け続けるのだが、取り合えず、入れ物の出来上がりの進行に合わせて、入れる物が確保出来た事を、素直に喜んだ。


  

 

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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