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それぞれの15ヶ月

少し時間が飛びます。

 2号店【happy line】を開店させてから、もう1年と6ヶ月あまりの時間が過ぎた。


 俺は、あの後も、会社からの意向に沿って、無店舗型性風俗店。俗に言う【デリバリーヘルス】の新規開店と言う仕事を続けており。1号店のある市内に、更に1店舗。2号店のある市内に更に2店舗のお店を、出店させた。


 全てのお店の名前を、1号店、2号店に習い【line】を含めた英語表記の名前にした。この事により、俺が手掛けたデリヘルは、お客さんは勿論の事、同業者達からも【line】グループ。【line】系列店と、呼ばれ。県内で1番の数を誇る、デリヘルグループとなった。

 

 各店舗の努力により、お客さんの評判は、上々であり。

【line】系に頼めば、変な女の子。ボッタクリ。無用なトラブル等が一切起こらないとまで、口コミサイト等にも、書かれるようになっている。


 俺は、今現在、1号店がある市内に【line】グループのデリヘルとしては、6店舗目のお店を、開店させる為に、日々駆け回っている。


 今も、部下の1人と、待ち合わせをしており、合流後に、事務所として使う、マンションの部屋。デリヘル嬢や男性スタッフが、寮として使用する部屋を、不動産屋に行き、見当を付けに行く予定だ。


 『部長、お待たせしました』


 「あ~大丈夫、大丈夫、俺も今さっき来たから、それじゃ行こうか、藤田」


 そう、待ち合わせをしていた部下とは、1号店を俺から、引き継ぎ、店長として頑張っていた、あの藤田だ。

藤田も、今では、俺が部長を勤める事業部の、エリアマネージャーと言う、店長の1つ上の役職に付いていて、店の直接的な、運営・経営から、各店舗の統括のような仕事をしている。


 藤田を、エリアマネージャーに抜擢したのは、もちろん俺であり、これは気心を知れた相手が欲しかった事と、藤田がエリアマネージャーに足るだけの能力を持っていた事から、藤田の昇進が決定した。


 俺の車を使い、出店予定の区域付近にある、不動産屋へと向かう車中で、藤田がこんな話をしてきた。


 『そう言えば、部長聞いてます? 近藤の奴、サツキちゃんと、来月辺りに結婚するって』


 俺は、藤田の突然の話に驚き、急ブレーキを踏み、車を停車させてしまった。後ろから車が来ていたら、危ないところだった。


 「マ……マジでか? 何にもきいてないぞ? 俺……」


 近藤の野郎……何で、俺より先に藤田に報告するんだよ。

普通、上司が先だろうが。まぁ……藤田も上司なんだが……


 『ほら、俺がエリマネになったからって、1号店を近藤に任せたでしょ? で、1号店には、彼女のサツキちゃんも、デリヘル嬢として、働いてるから、毎日、一緒に居るでしょ、それでサツキちゃん、おめでたなんだそうですよ』


 「え~、サツキに近藤の子供が? そっか~近藤は、子供ができたんだなぁ、それじゃ、サツキはデリヘルを?」


 俺が、停車させた車を走らせながら、藤田に聞くと。


 『はい、今週一杯で、風俗嬢は卒業するって』


 そっか……あの近藤がなぁ……まぁ店長になってそれなりの収入も入るようになったから、普通に暮らす分には、嫁と子供ぐらいは、養って行けるか。


 結局、俺は最初は、近藤を2号店の店長にするつもりだったのだが、藤田の昇進で、1号店の店長に空きが出来た為に、近藤を1号店の店長に。2号店の店長は、山下に任せる事になった。


 それ以降の店舗も、本社所属の幹部や幹部候補生達が、やって来ては、俺と一緒に新店舗の立ち上げから、ある程度軌道に乗せるまでを一緒に働き、それぞれ能力に合ったポストに着かせて来ている。


 そうそう、俺の彼女であるユキだが。ユキにも少し変化が起きてる。まぁ俺と別れた。なんて事は無く、今でも変わらず仲は良いのだが、ユキは、今は風俗嬢を完全に辞めており、本社の社員として、俺の補佐的な仕事に就いている。

今日も一緒に不動産屋に行く予定だったのだが、少し予定が狂い、ユキはユキだけで、別の打ち合わせに行っていた。


 『それで、部長……ルイちゃんって、やっぱり今回も?』


 藤田からの質問に、俺は、心底困った顔を浮かべて。


 「今回もなんだよなぁ……いい加減どこかの店に決めて、そこで頑張ればいいんだけど」


 ルイは、あれからも、2号店に残るでも無く、どこか気に入ったお店に、勤めるでも無く、俺が立ち上げる新店舗、新店舗に、スターターメンバーのデリヘル嬢として、くっ付いて回っていた。


 『もう、ルイちゃんの頑張りを、ユキさんも認めてそうですね』


 藤田は、そうやって笑うんだが。本当に、そんな節が最近のユキからは感じられるんだよなぁ。


 「この前もよ、部屋で寛いでビール飲んでた時に、ユキが突然【太郎ちゃんなら、私とルイちゃん、どっちも幸せにしてくれそうだよね】なんて、言ってきて、飲んでたビールを、思いっきり噴き出しちまったんだよ」


 『なんか……ちょっと本気で言ってそうな感じしますね』


 藤田が、そう言ってきた。そうなんだよなぁ、なんかユキ本気で言ってそうなんだよな。でもなぁ……どこかで1度、3人で、ちゃんと話し合いしなきゃダメだろうなぁ……


 その後、ユキとルイとの事を、考え始めた俺は、助手席に座る藤田には、話しかけずに、黙って車を走らせ続けた。


 藤田も、俺が考え事をしているのに、気付いていて、俺の考え事の邪魔をしないようにと、黙っていた。


 車を、目的の不動産屋の駐車場に停め、エンジンを切った。

そして、ドアを開けながら、藤田に声を掛けた。


「さて、着いたし、気持ちを切り替えて、しっかりと、お仕事しますか、藤田エリアマネージャー」


 『はい、いい部屋見つけましょうね、木村部長』 


  

この話にて、第4章の、デリバリーヘルス編が終わりになります。


この後に、2話程の、外伝と言うか閑話と言うかを挟み、第5章がスタートします。


第5章になっても読者が面白いと思えるような、作品を頑張って書いていきたいと思います。

みなさんも、応援よろしくお願いします。

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
こちらもよろしくお願いします。
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