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撮影

 【happy line】オープンまでいよいよ1日。全ての準備は整った。


 そんな中、今日は、俺とユキ。近藤と山下のマネージャーコンビ。ルイ達デリヘル嬢4人。要するに、happy lineの全メンバー揃って、とある写真スタジオに来ている。

こちらの地元の方だけに向けて、発刊している、地域密着型と言うべき、風俗情報紙の撮影に訪れていた。


 当然、オープンします。と言う広告には間に合う訳は無かったのだが、来月号の広告ページに載せる為の写真撮影だ。


 今回のお店に勤務するデリヘル嬢の中でルイを除く、元々からこちらでヘルス嬢をしていた3人の内、顔出しをしていた女の子が、1人。目隠し、口隠しで顔出しをしていた女の子が2人と。3人全員が撮影OKだった。


 後、俺とユキとルイの3人で、話し合った結果。ルイの強い意向を受けて、ルイの顔出しも決まった。

ルイは、最初から隠しは無しでも。そう言っていたが、少しずつ様子を見てみようと言う、俺の意見に従い、今回の撮影では、目隠しで撮影する事にした。


 女の子全員が、上半身に何も服を着ず、体にバスタオルを巻いただけの状態で、撮影されていく。

これは、上半身裸の写真を使うと言う訳じゃ無く、胸の一部、谷間の辺りを強調した写真にする為、撮影の時だけ、上半身裸になる為だ。


 仕事柄、人に裸を見られると言う事に抵抗感の少ない、風俗嬢達だが、沢山の人に囲まれてる中だと、やはり恥ずかしいらしく、俺達のような、男性スタッフの前で堂々と。そんな感じで無く、何故か俺は、彼女達も女の子なんだなぁ……等と訳の分からない事を、思っていた。


 『はい、それじゃ、腕を使ってギュッと胸を寄せてみましょうか、あっいいですね、そんな感じ、そんな感じ』


 カメラマンからの撮影ポーズの指示に従い、言われた通りにポーズを取っていく。


 全員の撮影が、終了した後に、雑誌のスタッフの手により、パソコンを使って、今回打ち合わせをした、来月号の広告ページの背景に、今撮影したばかりの写真を重ね、レイアウトを決めていく。


 全員が、あ~でも無い、こうでも無いと、好き勝手に言ってるが、決定権は、もちろん俺にある。


 散々、言い合い悩んだ末に。今回は、濃い紫の背景1色にして、そこに顔出しOKのデリヘル嬢の大きめな顔を、光が当たり、浮き出て来たようにも見える感じにセンターよりやや上に置き。

その写真の下に右上がりになるよう、筆記体で店名を白文字で入れ。そのすぐ下に店名の文字より少し小さな文字で、店の電話番号。そして、少し下に下がったところに、横に並ぶように、他の隠しが必要なデリヘル嬢とルイの写真を配置。左下に料金表。右下に、キャンセル料等の注意事項を書いた物を配置する事に決まった。


 お店に電話を掛け、女の子を1度でも派遣した後はキャンセル料の支払いに同意したとみなす。と言う注意書きは、今回のページが雑誌の左側に来ると言う、雑誌側から教えて貰った事から、最初から俺は、右の隅に配置すると決めていた。


 『部長……相変わらず、ズル賢いですよね……悪どいと言うか……』


 近藤が、とっても失礼な事を言う。お前は、どうやら店長には、そんなに成りたく無いんだな?


 「はぁ? 知恵だよ知恵、ちゃんと書いてあるんだから、文句言われる筋合いも無くなるだろ? ちゃんと読めよ! って事だ」


 1号店でも、たまに起きる、キャンセル料に関するちょっとしたモメ事。これらを、極力減らす為の処置として、雑誌に広告を掲載する時には必ず、小さく記載する。と言う事を決めた。


 『太郎ちゃん、これ何で右の隅っこに決めたの? 別に左の隅っこでも良くない?』


 ユキが、俺にそう疑問を投げ掛けて来たので、その疑問に答えてやろうかと思ったら。


 『ユキさん……部長の彼女さんなのに、部長の悪どさに気付かないもんなんですね、俺も、近藤マネージャーが言うまで、真意に気付かなかったんですが、これ……雑誌の左側のページに、うちのお店の広告が載るって事は、右側は当然、雑誌を綴じる、背表紙になる訳ですよ、要するに……雑誌の背表紙に折り目付けるぐらい開かないと、見えにくい訳です、そうですよね? 部長』


 「山下、正解! そして、ページの右側に載る時は、当然、左側に記載するって訳だ」


 その後、全員から、部長、悪どい! 詐欺師みたい! 等と散々言われてしまった。まぁ意図的にやってるから、あながち間違ってはいないが、こんな事、誰でもやってるだろ?


 『部長……キャバクラの時から思ってたけど、絶対、前の仕事で悪い事してたでしょ?』


 そのルイの発言に、新しくお店に来る事になった3人の風俗嬢と山下が、ルイに、俺のキャバクラ時代の話を聞いていた。


 ルイ……そのキャバクラ時代の話、ずっとする気なのか?


 「こんな事、どこのお店もやってますよね?」


 そう言って、雑誌のスタッフに、聞いたが、雑誌のスタッフは、愛想笑いを浮かべるだけだった……やってねぇのか? 常識だと思ったんだが……


 撮影と打ち合わせが全て終わり。事務所に帰る前に、全員で、お昼ご飯を食べて行こう。と言う事になった。


 こちらの方では、割りと名物化している、カレーうどんを、地元出身の3人に誘われ食べる事にした。

大きな店舗を構える、座敷の席等もある、うどん屋に行き、こちら出身では無い俺達は、全員がカレーうどんを。地元出身の3人は、それぞれ好きな物を、注文した。


 その席で、地元出身の3人から【お店を移るのを契機に源氏名を変えたい】と言う話が出たので、了承したのだが。俺に付けて欲しいと言われた。


 5分ほど、色々と考え悩んだ俺は、もう割りと適当でもいいや! と言う思いになり、本当に適当に決めた。


 「決まったぞ、ユウ。セナ。カレン。でどうだ?」


 そう言って名前を呼びながら、右から順に指を差していった。


 『何か意味あるんですか? 昔の彼女の名前とか?』


 たった今、カレンと名付けられたデリヘル嬢が聞いてきた。まぁ正直に答えても、問題無いか……


 「いや、えっとな、百人一首って知ってるだろ? その中に【憂かりける人を初瀬の山おろしよ激しかれとは祈らぬものを】って言う、片想いの歌があってな、まぁ読み方は違うんだが、憂のユウ、初瀬でセナ、激しかれでカレン、まぁそんな訳だ」


 すごい! すごい! とみんなが褒めてくれるのだが、俺は、ただ、店のメニューの隅っこに何故か書かれてた、この和歌を見て決めただけ。とは言えなかった……


 

 


 

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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