2号店マニュアル作成。
あれから、2週間。俺は本社と2号店の為に借りた部屋とを、行ったり来たりする生活を送っている。
1号店の方は、既に新しいマネージャーも決まり店に来ている、後、藤田が店長として、電話番のアルバイトも1人雇ったので、1号店については、もうほとんど全て、藤田に任せっきりにしていた。
2号店の方も部屋が入居可となってから、事務所として使う方の部屋に、電話回線を引き。2部屋分の家具や家電の搬入に立ち会い。
向こうにある系列のお店から、こちらに移ってくれる、3人の風俗嬢との面談も終わらせてある。3人とも、地元に部屋を借りている為に、寮は希望しなかった。後、2号店は、1号店のような、幹部2人にバイト1人と言う形では無く。俺と近藤、そしてもう1人、山下と言う本社勤務の社員が来る事になった。山下も近藤と同じ、アルバイトから幹部になった人間で、幹部になった時期も、山下の方が、1ヶ月ほど早い程度、ほぼ近藤と同期のようなものだった。
既に顔合わせは、済ませてある。
近藤よ、頑張れよ、俺はお前に2号店の店長になって欲しいと思ってるが、山下の方が店長に相応しい仕事を出来るなら、俺は店の事を優先して、山下を店長にするぞ。
そして、俺は今……本社に居て、慣れないパソコンに向かい、悪戦苦闘している。
決まった事。決めた事。これから決める事。それらを、マニュアルとして、形に残す為、必死に、パソコンのキーボード相手に、ポチポチと文字を打ち込んでいく。
そして……俺の敵はパソコンだけじゃない……
『き~む~ら部長、そろそろ休憩して、こっちで一緒に、ゲームしようよ~!』
さっきから、ずっと俺に、一緒に遊べ、遊べと言ってくる、鬱陶しい奴が、1人居るのだ……
『ねぇねぇ、ちょっと休憩しようよ~』
「だぁぁぁ! うるさい! アッチ行ってろ!」
『ぶひゃひゃひゃひゃ! 本部長、部長に怒られてやんの!』
そう、さっきから、本部長が邪魔をしてきていたのだ。
流石にイライラして、怒鳴ったら、社長が大笑いしていた。
しかし……まぁ……良い会社に入ったな。部下が上司を怒鳴り付けても、笑って許してくれる会社なんだから。
さて……そんな事より、マニュアルを作らなくては……
【sweet line2号店】
【料金表】
90分 23,000円
120分 28,000円
150分 33,000円
180分 38,000円
指名料 2,000円
オプション一律 2,000円
【オプション内訳】
オモチャ
パンスト破り
コスプレ衣装
一緒にお風呂(ユキNG)
ゴックン(ユキ・ルイNG)
【交通費】
市内無料
市外距離により変動 2,000円~
【キャンセル料】
一律 10,000円
【チェンジ】
1度だけ可能 交通費倍額 市内交通費2,000円
料金は結局一律で3,000円上げる事にした。これでも、他のお店と比べたら、料金の安いお店と言う括りに入る。
料金を値上げした代わりに、オプション代金と指名料を、相場より安く設定して、市内なら交通費を無料とした。
【給与・待遇】
キャッシュバック率60%
指名料バック率100%
オプションバック率100%
事務所待機時給 3,000円(累計8時間まで)
交通費50%支給(運転手)
寮費基本無料
あちらにある系列のお店にも聞いたのだが、あちらでは、キャッシュバック率が、50%が普通なんだそうだ。まぁ料金が高いからなのかも知れないが、俺の店は、風俗嬢が居てこそ。なので、60%と1号店と同じ率にした。
この事は、向こうの系列から、移籍してくれる予定になってる、3人の風俗嬢が、大いに喜んでくれた。
後、下げると、ユキやルイの収入も減ってしまう為に、下げられなかった事もあるが。
「ふぅ……こんなもんかな」
椅子の背もたれにギシギシと音を鳴らさせながら、俺は大きく背伸びをした。
『部長~終わった? それじゃゲームしよ!』
しないから……本部長
「本部長、ゲームよりも、車ってどうなりました? 俺のと近藤のがあるから、無くてもまぁ何とかはなりますが?」
『うん、ちゃんと今回も、1台は会社から支給するよ、ただね……今回は、1号店と違って新車じゃ無いんだ、ごめんね』
あれ、やっぱり新車だったんだ……最初見た時、ピカピカだったもんな。
『今回の支給する車は、俺が乗ってた車になる、買い替えたんで、丁度良いって事でな』
社長が、そう言ってきた。まぁ車なんて俺は何でもいいとは思ってるが、見栄を張るところは、見栄を張れ! 他の店に、うちは金持ってんだぞ! と見せ付ける事も、後々モメない手段だ! って考えを、TOPが持ってるから、こだわるだけで。
『部長! 部長! こっち、こっち』
本部長が、本社の窓際に立ち、俺を手招きして呼ぶ。
『ここから、見えるよ、今度の車』
あ~あっち側は、駐車場だから見えるのか。そう思い、本部長の手招きに応じて、窓際に行き、窓から顔を出して、下を見る。どれだろ?
『あの黄色いやつ!』
そう言って、俺の横から顔を出し、指を差す本部長。
俺は、指を差してる方向の黄色の車を探した。
見付かった……見付かったが……あのボディラインって、アレだよな? 割りと独特な形だし。
「本部長……あれ社長が前まで乗ってた車なんですよね? 俺にはあの車が……アレに見えるんですが?」
『うん! 社長の買い替える前の車、HUM@ERだよ!』
この人達……俺を驚かす為なら何でもしそうだな……




