普段の日常
日常回はなるべく書かない予定ですが、普段、デリヘルって何して待機してるんだろ?と思う読者に向け『こんな感じに過ごしてます』と言う事を知ってもらう為に、日常回を書きました。
オープン初日の営業は、結果として見れば満足の行く結果に終わった。
藤田とユキが部屋を出てから、10分もしない内に、立て続けに2本の電話が入り、俺が、ミキとマリナを連れて、車を走らせ回った。
そうそう。言ってなかったが、事前に俺は自分の車を購入していた。まぁ会社が用意してくれたような車とはいかなかったが、それなりのワゴンタイプの車を、中古で購入した。
少しだけ、ユキに援助してもらって。まぁ流石は風俗嬢と言うべきか、俺と付き合い同棲を始めてから、ムダ遣い等もしなくなってたユキの、通帳の金額は、すごい事になっており、車も私が一括で払っておこうか? なんて事も言われたが、そこは男のちっぽけなプライドの為に、頭金を少し援助してもらうだけに留めた。
初日は結局、15人のお客さんから電話があった。初日にこれだけの数のお客さんが利用してくれるのなら、十分に満足だ。
ただ、やはり予想していた通りの問題点も、浮き彫りになる結果となった。
その問題点とは、基本的に事務所で待機していてはくれないデリヘル嬢が上手く捕まらなかったり、今の時間は行けない。等の理由で、少しお客さんを待たせたりしてしまった事だ。
全員を事務所待機出来るデリヘル嬢で揃えるのは、理想だが、現実は、自由待機、自由出勤のデリヘル嬢にも頼らなければならない。その辺りの問題を、どうして行くかを、藤田としっかりと話し合い決める必要があるだろう。
色々、想定外の事も起こり、想定内の事も起こったが、概ね大丈夫、やっていける。と俺は感じていた。
オープンから2日目、この日も昼の受け付け開始時間前に、ユキと2人で、マンションの事務所へと来ている。デリヘルをオープンさせてから、2日が経ったが、俺とユキは、昼間から夜は事務所に。自分達で借りた部屋は、寝に帰るだけ。と言う生活を送っている。
まぁそれでも、事務所は普通のマンションの部屋を利用している事から、普通に寛ぐ事も出来ているために、今のところユキから、ストレス等は感じられない。
自分の彼女だから。と言う理由も、もちろんあるのだが、お店の為に働いてくれる風俗嬢としても、ユキの心と身体の心配はして然るべき事だ。
ユキは、事務所に着くと早速、近藤を誘い、ゲームを始めた。
知らなかった事だが、ユキは実際はゲーム大好きっ子だったらしく、事務所に居る時は、よく近藤とゲームをして遊んでいる。
デリヘルと言う風俗の持つ独自性は、お客さんから電話が入って始めて、仕事と言う物が発生する。店舗を構えてる訳では無いので、店舗の維持等の雑務なんかも無い。
寮としても使っている為に掃除なんかも、藤田とミキとマリナの交代で行っているようだ。
だから、事務所で待機。と要っても、事務所兼寮の部屋に居れば基本は何をしてようと、問題にはならない。
近藤なんかも特に、何かやるように言われている訳では無いので、電話が鳴らない限りは、風俗嬢達とゲーム等している。
そして、この楽な環境で、更にそれなりの時給が貰える事から、近藤は、1日の大半を事務所で過ごしている。24時間の中で12時間以上は確実に、バイト中と言う名目で事務所に居るぐらいだ。
ミキやマリナも同じで、電話が鳴り自分が派遣される時までは、部屋に居るようにとは言われて居るが、自由に過ごしている。また、必ずずっと部屋に居なきゃいけない訳では無いので、交代で外に遊びにも行ったりしている。
藤田も、帳簿の整理や車の燃料を入れておく等の、仕事はあるものの、基本マッタリして過ごしている。
「さてと、それじゃ昼のご飯の買い出しにでも行ってくるかな、何かリクエストあるか? ちなみに今日は、牛丼屋にする予定だが」
基本、藤田や近藤は、受け付け時間が来たら、外には出にくいので、買い出し等は、もっぱら俺の役目になっていた。
『あっ店長、俺、大盛りつゆだく、味噌汁でお願いします』
『特盛りつゆ無し、玉子でお願いします』
俺はメモ用紙に、リクエストを書いていく。
「近藤は……大盛りつゆだく味噌汁……藤田は特盛りつゆ無し玉子……っと」
そして、ミキとマリナが普段過ごしている部屋にもリクエストが無いかを聞きに行き、それぞれのリクエストを聞いた後に、ユキに声を掛ける。
「ユキ、牛丼買いに行くけど、一緒に行くか?」
『ん~太郎ちゃん、私、並のつゆだくね』
どうやら、ユキは、俺と一緒に出掛ける事よりも、今はゲームの方が大事らしい。
俺は、ゲームより大事じゃないのかよ……と少しだけ悲しくなりつつ、買い出しへと向かった。




