ユキと……
少し短いですが、キリが良かったので、投稿します。
オープンするまでの、色々な事を書いて投稿する予定でしたが。
この作品のコンセプトである【風俗店の内情】にそぐわないと判断して、日常パートをザックリ切りました。ご了承下さい。
日付がすでに変わってしまっている深夜。
俺は、新店舗オープンに向けての雑務に追われ、ヘトヘトになって部屋へと帰ってきた。
デリヘルの事務所として、会社が借りたマンションに揃えるべき物の購入と手配をして、納品を見届ける。
マンションを、寮としても使用出来るようにする為に、必要な家電や寝具等を購入して、納品してもらう。
それらと同時進行で、求人誌や風俗情報誌、地元発刊の情報誌等に、デリヘル嬢募集の求人広告を出す為の、打ち合わせ。
お店のホームページ作成の依頼。
進展状況の会社への説明と掛かった諸経費の領収書提出決裁。
とにかく、やるべき事が多すぎて、俺はここ数日、駆けずり回って過ごしている。
今日もユキと暮らす部屋に帰って来れたのは、日付が変わってからだった。
とにかく、楽になりたいと、スーツを脱ぎ散らかして、部屋着に着替えて、リビングのソファーに倒れこむ。
そこに、俺が脱ぎ散らかした服を、手に持ったユキがやって来た。
『太郎ちゃん、お疲れ様、お店の進展どう?』
俺は、ユキの声に反応して、気だるげに、上体を起こしてソファーに座り直した。
「う~ん、概ね順調、俺の疲労を除いてだけど、部屋も事務所として、寮として使える状態にはした、後、求人広告も出した、会社でも、系列の性風俗店舗に声を掛けて貰って、女の子で移りたい子の募集もしてもらってる」
『あ~うんうん、私のお店にも、通知来たよ』
「後は……オープンしてから働いてくれる、デリヘル嬢を数人確保したら、お客さんに向けての宣伝をして、何とか開店ってとこかな」
『そう言えば、男性スタッフって、太郎ちゃんだけなの?』
ユキが、俺の来ていたワイシャツとジャケットをハンガーに掛け壁に掛けながら聞いてきた。
「いや、オープンまでに後1人来る予定……まぁ店舗ある訳じゃ無いから、事務所で留守番と女の子の送迎係りの、2人居たら取りあえずはいいだろう、って感じ、後は足らなかったらお店でバイトを雇えってさ」
俺はソファーから立ち上がり、キッチンの冷蔵庫から、缶ビールを2本持ってきて、1本をユキに渡した。
缶ビールを開け、缶のままで口を付けて、喉を鳴らしながらビールを胃の中に流し込む。
『ねぇねぇ……太郎ちゃん、太郎ちゃんのお店に、私も働いたらダメかな?』
突然、話を切り出された俺は、驚いて、飲んでいたビールが、気管支に入り込み、盛大にむせた。
「ユキが? 俺の店で?」
『うん、ダメ?』
「ダメって事は無いけど……」
ユキは、ヘルス嬢だ。その事について、俺にわだかまりは無い。
しかし、一緒の店で働くのか……まぁ助かる事もありそうだが……
『太郎ちゃんのお店、基本的に営業時間って無いって言うか24時間、受け付けはOKなんだよね?』
「そうだな、まぁ実際に受けるかは別として、24時間体制って宣伝はする予定だな」
『そんな時にさ、店長さんのお願いを、文句も言わずに聞いてくれて、夜中でも早朝でも、お客さんの相手出来る、女の子が1人ぐらいは居たら便利じゃない?』
ユキが言った事を、頭の中で反芻してみる。
確かに24時間営業とうたっている店に、そう言う女の子が居たら便利ではあるが……
『太郎ちゃんは、私の事を便利に都合良く使ってくれていいんだよ? 私も太郎ちゃんの役に立って嬉しいし、それにちゃんとお金は貰うんだから』
「まぁメリットしか無いのは事実だな、でもいいのか? 本当にユキに無理言っちゃいそうだけど?」
『いいよ、その分沢山稼げそうなんだもん』
その後、イマイチ煮えきらず決め切れない俺に向けて、ユキが自分を雇うメリットを、言ってきた。
お店のお客さんに向けた広告やホームページに、私なら顔を出して掲載されても構わない、まぁ実際に今の店でも顔出ししてるんだが。等々と。
そして、結局、ユキに言いくるめられて、ユキが俺が新しくオープンさせる、デリヘルで働く風俗嬢の第1号になる事が決まった。
次の日、本部長の方に、一応の連絡と許可を取るために電話をした。
同じ店舗での社内恋愛は禁止。と言うルールが建前上存在しているからだ。
このルール。正確には【店が独自に雇う男性スタッフと風俗嬢の恋愛は禁止】であり、幹部社員と風俗嬢の恋愛は、お店を円滑に回せる部分もある為に、黙認されているのが現状だ。
本部長も、俺の報告を聞いて、二つ返事でOKを出した。
本社からの許可を受けて、本当にユキが、俺の店で働く事が正式に決まった。




