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たまにはこんなトラブルも

 セクキャバでの店長業務も、あっという間に1ヶ月が過ぎた。


 初日は本部長が一緒に居てくれたが、2日目からは、本社の社員は俺1人だった。

まぁ大したトラブルも無く、毎日普通に何事も無く過ぎて行った。

今では、店に在籍している全てのセクキャバ嬢とも顔を1度以上は合わせており、持ち前の記憶力のおかげで、顔と名前も全て把握出来ている。


 今も、セクキャバ嬢の1人、アオイを連れてお客さんの元に向かっている最中だ。


 「御紹介します、アオイさんです」


 そう声を掛けて、なるべくお客さんの視界に入らないように立つ。紹介を受けたセクキャバ嬢は、ボックス席の中へと入って行き、お客さんの隣に先ずは座る。


 その後、お酒なんかを作り、話をしてから、色々とお楽しみに移って行く。

中には、何度も足を運んで貰っている、常連のお客さんも沢山おり、入るとすぐに、セクキャバ嬢に、上半身に着ている服を脱ぐように言い、自分の太ももの上に、セクキャバ嬢を跨がらせて、セクキャバ嬢の体を楽しむようなお客さんも居る。


 それらは、店がそう言う遊び方をしても構わないと決めたルールに沿った物なので、セクキャバ嬢も嫌がったりはしない。


 今、アオイを着けたお客さんも、そんな常連のお客さんの中の1人であり、セクキャバ嬢が口に含んだ、お酒を口移しで飲むのが好きなお客さんだと、着いた事のあるセクキャバ嬢の何人からか聞いていた。


 ヘルスのような【抜く】と言うサービスは無いが、その分、セクキャバ嬢は、ヘルス嬢なんかと比べても、素人っぽさが出ており、それはそれで楽しい遊びなんだろうと、俺も思う。


 1度ぐらいなら、体験しても、面白く遊べるだろう。バレた時のユキが怖いのでやらないが……


 俺は、基本的に、事務室の中に居て、監視カメラが写し出す、それぞれのボックス席の様子に注意する。と言う仕事をメインとしている。たまには、フロアに出て、先程の様に、セクキャバ嬢をお客さんに着けたりもするが、営業時間の大半を、この事務室で過ごす。

今日も、アオイをお客さんに着けた後に、事務室に移動した。


 【業務連絡、7番テーブルで49番です】


 事務室の事務机の椅子に座り、今月の全セクキャバ嬢の指名の本数を数えていた時、ふいにインカムが流れた。


 俺は49番と言う符丁を聞いて、事務室から急いでフロアに出る。

そこには、佐藤兄弟が既に待っており、俺達3人で、問題の起きた7番席へと向かう。


 ボックスの中に入る為の入り口横には、そのお客さんに着いていたセクキャバ嬢が立って待っていた。

俺は、そのセクキャバ嬢の肩を、2~3度優しく叩き、出来るだけ優しい笑顔を見せて、頷いてやる。

 

 「お客様、少し失礼します」


 そうボックス席の外から中のお客さんに、声を掛けてから、俺はボックス席の中へと入っていく。

中では、お客さんが、少し飲み過ぎたのか、赤ら顔でソファーに座っており、入ってきた俺の事を睨み付けるように、見ている。


 「お客様、申し訳ありません、当店では、女の子の下半身への、お触り行為は、お尻や太ももならば構いませんが、下着の上からでも、お触りを禁止としております、申し訳ありませんが、只今を持ちまして、お客様には、料金を御支払して戴き、退店の方をお願いしに参りました」


 要するに、49番と言う符丁は、セクキャバ嬢の触ってはいけない場所を触ったと言う禁止行為を指し示す符丁なのだ。


 お店のルールとしは、そのような行為が発覚した場合は、お店が決めた罰金を、お客さんに払って貰う。と言う風に、メニューにも記載しているのだが、実際に罰金を払って貰う事などは、ほとんど無く、料金を払って貰って、お帰り戴く処置ぐらいに済ませている。


 これは、別に出入り禁止になる訳でも無い為、また遊びに来てもいいですよ。とお客さんの方にも理解して貰う為に、そうしているのだ。セクキャバでは、この禁止行為は、日に1度ぐらいは、必ずあり、全てを、店が決めた通りに罰金を払って貰っていては、お店に来てくれる、お客さんが居なくなってしまう。


 今回のお客さんは、どうやら少しだけタチの悪いお客さんだったようだ。


 『俺が何したってんだよ!』


 そう声を荒げて、俺に食って掛かるお客さんに、俺は努めて冷静に聞こえるように、更に声を掛けていく。


 「お客様、申し訳ありません、他のお客様の御迷惑になりますので、もう少し、お声を落として戴けますか? それと、今回は料金を御支払戴きまして、また改めて次回、当店が決めたルールの中で、楽しく遊んで戴く事が出来る為の、お願いであります、お客様も2度と当店に、足をお運びになられなくなるような事は、不本意であると、私は愚考致しますが? いかがで御座いますか?」


 素直に料金を払って帰るのなら、今回は大目に見て、次回も店に来てもいいぞ。でも、ゴネルなら、やり方を変えて対処するぞ? いいのか?


 まぁ、そんなような事を、バカ丁寧な言葉を使い説明する訳だ。

大概のお客さんは、ここで素直に料金を払いセットの途中でも、大人しく帰ってくれる方が、ほとんどだ。


 お客さんも、どうやら、自分のした事が、ルール違反だったと言う事を理解してくれたようで、素直に帰り支度を始めた。


 俺はその様子を見て、ボックス席から外に顔を出し、佐藤兄弟に向け、笑顔で、サムズアップを送る。

それを見た佐藤兄弟も、どこかホッとした表情で、それぞれ持ち場へと戻って行った。


 俺はボックス席の外で、お客さんが出てくるのを待ち、そのまま、お客さんと一緒に、お店の入り口まで行って、そこで、お客さんに料金を払って貰った。セット料金は1セットが1万円の為に、お釣りなどは存在しないため、その場で払って貰える。


 帰り際にお客さんが俺に向けて声を掛けてきた。


 『店長さん?』


 その言葉に俺が頷くと。


 『店長さんごめんね、ちょっと調子に乗りすぎたみたい、あの子にも俺が謝ってたって伝えといてくれるかな? 後、また遊びに来てもいいかな? 今度はちゃんとルール守るから……』


 そう言うお客さんに俺は、満面の笑顔を見せて。


 「もちろんでございます、お客様のまたの御来店、従業員一同、心よりお待ちしております」


 そう言って、帰ろうとしているお客さんに向けて、深く深く頭を下げた。


 そのまま、お客さんがエレベーターに乗り、エレベーターのドアが閉まるまで、お客さんを見送ってから、店の中へと戻って行く。


 事務室の中に入り、冷蔵庫の中から、冷えた缶コーラを取り出して、プルトップを開けて、中身を一気に喉に流し込んだ。

そこに丁度、触られたセクキャバ嬢がやって来て、テーブルに置かれた、アルコール消毒のウエットティッシュで自分の体を拭き出した。


 「災難だったね、大丈夫?」


 そう声を掛け、労うと、セクキャバ嬢は。


 『大丈夫ですよ、慣れてますし、それにしても、店長さん怖いんだね、顔笑ってたけど、目が怖かったよ』


 そう言ってきた。


 「まぁ、俺がお店に居る理由って、お客さんがルールを守り楽しく遊んで貰う為ってのもあるけど、お店の為に働いてくれる、女の子を守る為でもあるからね、ルールを守れない人は、許せないから本当は心の中で、ずっと殴ってやりたいの我慢してたから」


 そう言って、俺は苦笑いを浮かべた。対称的に女の子は、屈託の無い笑顔で俺の事を見ていた。

 

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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