セクシーキャバクラ開店
その後、本部長と二人、キャッシャーボックスの横に陣取り、仕事の話や世間話等をしていると、じょじょにセクキャバ嬢が、お店に出勤してきた。
セクキャバ嬢が来る都度、本部長はセクキャバ嬢を呼び止めて、一言労った後に、新しい店長だと紹介していく。
俺も、その紹介に合わせて1人1人、挨拶を交わし、これからよろしく頼むと言っていった。
そして、今日出勤するセクキャバ嬢が全て揃った後、開店時間の前に、軽いミーティングと言うか、俺の紹介が行われた。
『はい、もうみんなさっき軽く挨拶したと思うけど、今日からこの店の店長として入る事になった、木村店長さんね、前は、うちの系列のキャバクラで一番大きな店で、マネージャーしてました、付け回しを、たったの10分で覚えた【天才】から、1日の全キャバ嬢がどこの席に着いて、どこの席に移動したか、1日に何本の指名を取ったか、全て記憶出来る事が発覚してからは【変態】の名を欲しいままにしてきた人です、みんなも、気軽に【変態店長】って呼んであげてね』
本部長が、訳の分からない事を言い出した。本当にこの人には、困ったもんだ……
セクキャバ嬢の中には、何人かキャバクラ出身の子も居るのか、俺の逸話を本部長から聞いて、少しざわついている。
付け回しを10分? 全員の指名の数を覚えられるの? 変態……
等々、頼むから、変態だけは勘弁して欲しいところだ。
「え~本部長の言った事は前半は真実ですが、決して俺は変態ではありません、変態店長なんて呼ばれたら、きっと泣いちゃうので、普通に店長か木村店長って呼んで下さいね、お願いします」
一同は、俺の自己紹介を聞いて、笑ってくれた。この分なら大きなトラブルも無く、上手く付き合っていけそうだ。
自己紹介が済んだ後は、セクキャバ嬢達は、それぞれ更衣室に戻る者、キャッシャーボックスの横に設置された、待機席に座る者など、各々好きな場所に移動した。
この店では、基本、キャバクラよりもヘルス等の店に似せ、お客さんに着いてない子は、お客さんに見える場所で待機をする必要は無いとの事であり、店の外等に勝手に出ないなら、比較的自由に過ごせるとの事だった。
そして迎えた開店時間。開店して少し経った時に、二人連れのお客さんが来店してきた。
すぐに、男性スタッフがお客さんの元に行き、人数と指名の有無を確認する。この辺の流れは、キャバクラと何ら変わる事は無い。
【2名様、御来店、フリーです】
佐藤健くんから、そうインカムが入ると、すかさず本部長が。
【1番と5番テーブルにご案内】
と指示を飛ばす。ここで、普通のキャバクラなら、2人同じテーブルに案内するのだが、セクキャバの場合は、1人で1つのテーブルに案内をしていく。
この理由は、簡単で、いくら一緒に来たと言っても、セクキャバ嬢を相手に、店が許可してる範囲内に限るが、自分の持つ欲望を、セクキャバ嬢にぶつけるのだ。そんな姿を見られたくは無いだろう。
ひたすら、セクキャバ嬢の胸を触り続ける姿。
ひたすら、セクキャバ嬢の胸を舐め続ける姿。
ひたすら、セクキャバ嬢と舌を絡めたキスをする姿。
そんな姿を、知り合いに見せたがる人は、そうそう居ないはずだ。
よって、セクキャバでは、複数のお客さんでも、1人ずつに分ける。
指示を出し終えた本部長は、キャッシャーボックスの中の壁に貼られた、ボックス席の数と同じ数だけの数字が書かれた、ホワイトボードの1番と5番に、マグネットを2つ置き、伝票に入店時刻のかかれた物を2枚用意した。
そして、2人のセクキャバ嬢を連れて、お客さんの待つボックス席へと向かう。
この間に、男性スタッフは、ボックス席の中に居るお客さんに、オシボリを渡し、ハウスボトルのお酒を飲む為に必要な、ボトル、氷、水、チャーム等をセットする。
セットの準備が終わった席から順に、セクキャバ嬢をお客さんに紹介して、座らせていった。
俺は、キャッシャーボックスの横に立ち、本部長の動きや男性スタッフの動き等を、つぶさに目で追い観察をしていく。
なるほど、基本はキャバクラと同じな訳だ。ただ、1人ずつに分けるのが、大きな違いだな。
本部長が、セクキャバ嬢2人を紹介して、席に座らせ終え、こちらに向かってきた。
『後は基本、お客さんから指名が入るか、延長が入るまでは、付け回しもしないで、このままね、そして、セクキャバ嬢もお客さんも基本見えないでしょ? だから、何か欲しいなんて、時はセクキャバ嬢だけ立って顔を出すから、そこに注意してるぐらいだね、まぁ木村店長が動く必要は、ほとんど無いけどね』
そう言って、お客さんが来た時の一連の流れと、注意点を教えてくれた。
『どう? ほとんどキャバクラと変わらないでしょ?』
「そうですね、キャバクラでの経験を応用すれば、充分に対処出来そうです」
本部長にそう答えると、本部長は、木村店長なら楽勝だよ。そう言って笑いかけてきた。




