表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/90

例えばこんな接客方法

 あれから、アカネが長を勤める派閥を相手に、週に2日程度の頻度で、講習会と言うか勉強会と言うか、まぁ、集まって、俺の指導を受けている。


 その、おかげか、キャバ嬢達のヤル気の賜物か、最初に相談を受けた日から、3ヶ月程経った今。


 派閥の全員が、元居たキャバ嬢としてのランクから、個人差はあれ、全員ランクを上げていた。特に目覚ましいのが、やはり元々から、本人は【何も考えて無かったよ】と無意識だったらしいが、お客さんへの営業と接客の上手かったアカネが、何とNo.3にまで、のしあがって来ており、No.2のルイの背中に、手が届きそうな位置に居る。


 他にも、マミとアヤ。そして、3ヶ月前までは、ヤル気の全く感じられなかった、店にとってもただの【ヘルプ要員】でしか無かった、マナの3人が、TOP10の中に、名前を連ねるまでに成長していた。


 その目覚ましい効果の良い意味での影響か、今までは、どこの派閥にも属さずに、中立的だった、ヤル気のあるキャバ嬢も、アカネの派閥入りを果たしている。俺の開く講習会にも、顔を出すようになっていた。


 『ねぇねぇ、マネージャー』


 何時ものように、仕事終わりのタバコを吸いながら、コーラを呑んでいた時に、アカネから声を掛けられた。


 『今日、私とマナちゃんの二人に、接客方法を教えてくれるって約束してたよね?』


 「あぁ、お前達、もう着替えとか全部終わってるなら、始めるか?」


 最近は、実際にお客さんに着いてからの接客等のアドバイスが多い為に、場所を、外では無く、実際に店の中で行う事が多くなっていた。


 『今日ね、営業中に、ルイちゃんから声掛けられて、今日の講習に私も出ちゃダメかな? って聞かれたから、いいよって返事しちゃったけど、良かったかな?』


 「あぁ、そんな事か、アカネが良いなら誰でも連れてきたらいい、ルイだってこの店で働いてくれてる、キャバ嬢なんだから、俺は何の問題も無いから」


 アカネは、明らかにホッとした表情を浮かべていた。

別に受けたいなら、聞きたいなら、この店で働いてる人間、全員に聞かせてやるに決まってるんだがな。


 「それじゃ、スタッフの掃除の邪魔にならないように、隅っこの1番で、やるからな」


 そう言って俺は、先に席を立つ。


 1番テーブルで待っていると、少ししてから、アカネとマナとルイが、テーブルへと、やって来た。


 『えへへっ、マネージャー私も仲間に入れてくれてありがと』


 ルイは少しだけ、照れ臭そうに、俺に言ってくるが……


 「ルイだって、俺には、アカネ達と同じ、お店で働いてくれてる子なんだから、俺に異存なんてある訳無いだろ? それじゃ、アカネは俺の横に、他の2人は、ヘルプ席に座れよ、始めるから」


 こうして、全員が座ってから、講習会が始まった……

その後、俺の言うアドバイスをメモしたり、質問をしてきりと、中身の濃い講習会が続いていく……


 「マナは、もっとお客さんと色んな話をしろ、何の仕事をしているのか、どんな役職なのか、結婚してるのか、子供は居るのか、休みの日に何をしてるのか、兎に角、お客さんがどんな人なのか徹底的に調べろ」


 『調べるのは、分かったけど、どうやって活かすんです?』


 「そうだな、例えば……調べたお客さんが、サラリーマンで、事務職で、役職も無い人だとするよな? 20代なら、大体貰ってる給料はどのぐらいか分かるだろ? その給料の中でいくらを、マナに会いに来るのに使えるのか、1回会いに来ていくらぐらいまでなら、使えるのか、それを知れ」


 「そうしたら、財布の中身も見えてくる、今日は給料を貰ったばかりなはずだから、いつもよりも少しだけ、オネダリをしても聞いてくれそうだ、いつもはドリンクだけだけど、フードを頼んでくれるかも、これだけでマナの売り上げが2,000円アップしたな」


 『そっか! お客さんの立場が違えば、使えるお金も変わるのは、当たり前だもんね、沢山使えるお客さんなら、オネダリの質も上げれるし、お給料前に来てるなら、オネダリを控える事も出来るよね、そう言う事でしょ?』


 アカネよ、マナより先に答えを言ってやるなよ……


 「そうだ、そして給料前で財布の中が少ない事を理解して、いつも頼むドリンクを、わざと頼まないとするだろ? そうしたら、お客さんは当然【今日は、何でドリンクのオネダリをしないんだ?】そう思う、聞いてきたりするかもな、そんな時に【お給料日前でしょ? だから会いに来てくれただけで、いいの】なんて答えたりしたら、もっと好きになってくれるだろうな、そしてもっと会いたいと思ってくれる」


 ふと、ルイの方を見ると、ルイも知らなかった事だったのか、知っててなのかは、分からないが、一生懸命にメモを取っている。

俺は、ルイやアカネやマナがメモを、書き終わるのを待ってから。


 「後は、ギャップなんかも使える手だな」


 『『『ギャップ?』』』


 「そう、ギャップ、いつもと違う自分を見せる、そうだなぁ……簡単なのは、怒るだな、でも怒ってる対象は、お客さんにするなよ、嫌われたと思われるからな、まぁ……誰でもいいが……キャバクラなら、男性スタッフ、それもお客さんでも分かるぐらい店での立場が上の人、例えば俺とかな」


 『マネージャー相手に怒る事なんて有り得ないよ~』


 アカネが、そう言ってくれた。とても嬉しく思うが実際に怒れと言ってる訳ではない。


 「怒ってるフリだよ、本当に俺に対して怒る必要なんか無いんだから」


 「お客さんの元に最初に行って席に着いた時に、いつもの笑顔を出さずに、少し悲しそうな顔か、少しふて腐れてる顔をしながら座るんだ、そしてお客さんの方から【どうしたの? 機嫌悪そうだね】とか【何かあったの? 悲しそうな顔してるけど】なんて事を聞かれるまで黙ってろ、好きな女の子が悲しそうな顔したり、怒ってたりするんだ、絶対に何があったのか聞く」


 「その後に、お客さんに少し甘えるような感じでこう言うんだ【さっき、木村マネージャーに叱られたから……】ってな、そうしたら、お客さんは、慰めてくれる、何とかいつも見せてくれている笑顔に戻って欲しい、そう思う、そんな時に、いつもは絶対に頼まない、フルーツ盛りなんかを頼んでくれたりするかもな、アカネ! 今、お前の売り上げが1万円増えたぞ!」


 1日に10人や20人の客の横に座るんだ、ドリンクを1杯ずつ頼んで貰えただけで、1万円から2万円の売り上げ。バックが5,000円から1万円貰えるんだ。それを、週に店に来る回数、月に来る回数で、掛けたら、バカに出来ない金額になるんだ。そう言う事を知ってなきゃダメだ。


 『マネージャーって……キャバに来る前に何してたの? 詐欺師とか?』


 ルイが、やたら失礼な事を言っている。


 「詐欺師って何だよ? 前は工場で、金属の加工してたんだよ」


 絶対に何か悪い事とかしてるかと思った~。等と3人が、キャイキャイと騒いでいた。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ