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不名誉なアダ名が付くかも知れない……

 更衣室どころか、フロアにまで届きそうなぐらいの、大きな声を上げたアカネ。


 俺はそのあまりに大きな声に、驚いて、アカネの顔をマジマジと見詰めると、アカネは自分のした事を思い出して、恥ずかしそうにしていた。


 「うん? 何? 何か間違ってた?」


 俺は開店1組目のお客さんが、アカネの事を本指名してきたと思って口に出したのだが、何か間違っていたのだろうか?


 『マネージャーごめん、大きな声出して、違うの、違うんだって、合ってるからビックリしたの』


 合ってて何でビックリするんだ? 心底不思議に思っていると。


 『あっ続きお願いします』


 アカネの言葉を合図に、俺は今日、自分の行った、付け回しを反芻していく。


 「2組目は、お客さん1名で、1番テーブル……エリカ本指名……」


 ボードにマグネットを、来店したお客さんの順に、指名したキャバ嬢の名前を読み上げながら、アカネ達にも聞こえるようにして、マグネットを動かし続ける。


 『うわぁ、何か聞いてるだけなのに、面倒くさそう……こんな事してたんだ……』


 アカネ以外のキャバ嬢が、付け回しの時に、何をどんなタイミングで、キャバ嬢達の配置、移動先、お客さんの座る場所を、付け回しが決めているのか、その実態を、初めて目の当たりにしたのか、やたらと。すごいすごいと感心していた。


 簡単そうに見えてるんだな~そんな感想を俺は、キャバ嬢達の感想の声で、そう思った。


 ただアカネだけは、違い、何か真剣な表情で、ボードを見つめていた。


 「うん? アカネ~大丈夫か? なんか固まってないか?」


 俺が、冗談まじりにそう声を掛けると、アカネは、体をビクっと震わせてから、俺の事を凝視した。


 『マネージャー……質問、これマネージャー開店から閉店までの、付け回しとしてのマネージャーの動きなんだよね? 間違いなく』


 「そうだけど、それがどうかした?」


 『マネージャー、今日の私の本指名の数と場内指名の数って分かる?』


 アカネにそう訪ねられたので、俺は少しだけ考えて、アカネに教えてあげた。


 「今日のアカネは、4本の本指名と2本の場内指名だよ」 


 俺の言葉を聞いて、アカネは、自分の持っているバッグから、可愛らしいキャラクターが書いてある、女の子らしい手帳を取り出すと、ペラペラとページを捲り、何かを確認した後に、呟いた…… 


 『合ってる……』


 「いやいや、合ってるに決まってるだろ」


 何を当たり前の事で、驚いてるんだ? こいつは。


 『それじゃ、サキの指名の数は?』


 そう言ってアカネは、自分の左側に居るキャバ嬢の事を指で指した。


 「サキは……本指名0の場内が3……頑張って本指名が取れるようになろうな」


 『サキ、合ってる?』


 アカネが今度はサキに訪ねた。


 『うん、合ってるよ』


 こいつは、さっきから何がしたいのだろう? 俺にはサッパリ分からず、逆に困ってしまっていた。


 突然、アカネが何か慌てたように、更衣室から飛び出して、フロアの方に走って行った。


 そして、フロアから、アカネがきっと大きな声で叫んでいるのであろう。


 『ちょっと、大変! 大変! みんな来て! 店長と大村マネージャーも早く!』


 と言う声が更衣室にまで届いた。


 そして、アカネを先頭に、手の空いていた男性スタッフ数人と、送りの車を待っていた、キャバ嬢数人に加えて、店長や大村マネージャーまでもが、更衣室へと入ってきた。


 『木村マネージャーが! 木村マネージャー!』


 アカネが俺の名前を連呼する。


 『何? 何? 木村マネージャーに何かされたの? 着替えでも覗かれた?』


 大村マネージャーが、そんな事を言った。そんな着替えなんて覗くか! と思い慌てて、大村マネージャーにそんな事する訳ないでしょ! と言い返した。


 『あっ! ルイちゃん、ルイちゃんの指名の数は?』


 アカネが、後から更衣室に入ってきた、ルイの事を指差しながら、俺に聞いてくる。俺は、普通に、ルイの今日の指名の数を言った。


 「ルイは、今日は本指名が11本に場内が4本、さすがうちのNo.2だよな」


 俺が、そうルイに言った途端に、アカネに加えて、ルイに店長に大村マネージャー、男性スタッフの1人が、物凄い顔で、俺を見てくる。


 突然、店長が俺に……


 『木村マネ、エリカは?』


 と聞いてきたので、エリカの指名の数を店長に告げる。

その後も、店長から次から次に、今日、店に来ていたキャバ嬢の名前が読み上げられ、それに答えるように、俺は、店長の後に続き、指名数を言っていった。


 アカネが俺の肩をいきなり掴んできて。


 『それだけじゃないの、やって! やって! ほら、最初からやってよ! マネージャー!』


 何を? とキョトンと首をかしげると、アカネが……


 『さっきやってたように、開店から付け回しやって』


 どこか鬼気迫ると言うか、何と言うか、アカネの迫力に、ビビりながらも、今日の付け回しの反芻を行っていった。


 10組目のお客さんの辺りまで、ボードの上で、黄色と赤のマグネットを移動させていたら、大村マネージャーが突然、大声を上げた。


 『変態だ!! 変態がいる! やだ! 何か怖い!』


 その大村マネージャーの叫びを合図に、数人キャバ嬢を残し。

店長、大村マネージャー、男性スタッフ、アカネ、ルイ等数人のキャバ嬢が、好き勝手に、思い思いの言葉を、大きな声で上げている。


 俺には、本当に何が今起きているのか、自分でも分からずに、少しオロオロしてしまっていた。


 その後、店長が落ち着いたのか、静かな声で俺に、こう言ってきた。


 『木村マネ、ちょっと聞くけど、今日の付け回しの内容と、出勤してたキャバ嬢の指名の数って、覚えて把握してるの?』


 「はい、今日は忙しく、全てのキャバ嬢を使い、付け回しをしたので、覚えてますね」


 そう答えた。店長は、俺の答えを聞いた後に、大村マネージャーの方を見る、大村マネージャーは、静かに首を左右に振った。

次に店長が、男性スタッフに目を向けると、男性スタッフは、激しく首を左右に振る。最後に、店長がルイの方を見ると、ルイは、顔の前で自分の両手をクロスさせて、バツ印を作った。


 『木村マネって実は、ロボットでした、何て事無いよね?』


 「ある訳ないじゃないですか、何言ってるんです? 店長」


 『1日の開店から閉店まで、何組のお客さんが、何人で来店して、誰を指名したのか……出勤したキャバ嬢が、どこの席に着いて、どこに移動したのか、指名が何本貰えたのか……そんな事、記憶してるって人を、僕……初めて見たんだけど?……』


 『私達もそうだよ、ちゃんと合間、合間に手帳に記入はするけど、手帳も見ないで、今日みたいな忙しい日に、何本の指名貰えたか何て、きっと誰も覚えてないよ……』


 店長に続きNo.2のルイがそう言った。


 俺は、みんな普通に覚えてる物だと、本気で思っていた……


 その後、迎えの車が来ても、フロアの掃除が終わった後も、俺は更衣室の椅子に座り、回りを囲まれて。


 変態! 怖い! すごい! 変態! 怖い! すごい!


 と、30分ぐらい言われ続けていた……


 帰りの車中で、携帯が鳴ったので、車を路肩に停車させ、ハザードランプのスイッチを入れてから、携帯に出ると、相手は本部長だった。そして、一言……


 『変態……』


 と言われ電話が切れた……


 


 


 

 

 

 

よく聞かれるのですが……ストックはゼロです、無いです。

書こうと思ったら書いて、書き終わったらすぐ投稿。書こう思い書いて、すぐ投稿。

と言うアホ丸出しの投稿スタイルの作者です(笑)


と言う訳で、明日5月4日は少しお出かけする為に、投稿がいつもより少なくなると思います。

ゼロでは無いとおもいますが、楽しみに待ってる読者のみなさん、お待たせしちゃったら、ごめんなさい。

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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