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大村マネージャーからのアドバイス

今回は少し短めです。

 店長と一緒に閉店後に、ご飯を食べに行き、付け回しをする上で、もっとも重要な事、そして俺に足りてない物を、まざまざと気付かされた、あの日。


 あの日から、俺は、店長と大村マネに頭を下げ頼み込み、ずっと、付け回しだけをして、自分に足りてない部分を、埋めようと自分なりに、頑張っている。


 今日も閉店後直ぐから、今日の分の伝票を全て店長から借り受け、男性スタッフによる閉店後の店の掃除の邪魔にならないよう、隅の席に座り、店長手作りのボードとマグネットをテーブルの上に置いて、実際に今日のお客さんの流れを、再現して何か不備は無かったか、何か足らない物が無かったかを、反芻していた。


 『今日も、反省会?』


 そう言って声を掛けながら、手に俺が営業中に好んで飲んでいるコーラを、両手に1つずつ持ちながら、大村マネージャーが、やって来た。


 「そうですね、みんなは、初日に比べたら格段に良くなっているって言ってくれるんですが……」


 『うん、そうだね、俺もこの業界が長いって言える程、長くないけど、他の系列店に比べたら、うちはキャパもお客さんの入りも、一番大きい店だから、そこで普通に付け回し出来てる、木村マネなら、どこの系列店に行っても大丈夫だと思うレベルにはなってるけどね』


 そう言って、俺に手に持ったコーラの1つを手渡し、残ったコーラを、グラス半分程まで、一気に飲み干していた。


 俺は、1口コーラを口に含み飲み込み、唇を湿らせたてから。


 「チェック入る10分から15分前に、指名キャバ嬢を席に着かせる事は、自分でも出来てると思うんですが……」


 『指名かぶりのお客さん同士の距離が、いまいち納得出来てない?』


 「そうなんですよね、今日も気を付けていたんですが、2組か3組ぐらい、テーブルを間に1つ挟むぐらいしか離せなかった事があったので……」


 大村マネは、残ったコーラを飲み干して、一息付いた後に。


 『あ~あの23時頃の事?』


 俺は、やはり大村マネには気付かれていたかと思った。大村マネが気付いているなら、店長は当然の事、チーフ達の中にも気付いている人が何人かは居るだろうなと。自分の至らなさに、自然と苦笑いを浮かべてしまう。


 『あれはね、何が正解なのか、教えてあげようか?』


 そう言われて、俺は、何度も首を縦に振って、教えて欲しいと、大村マネに訴え掛ける。


 『あの場合は……木村マネのやった通りで正解だよ』


 うん? まさかアレで正解だと言われるとは、予想すらしてなかった俺は、キョトンとしてしまう。


 『あはははっ、木村マネのその顔、意外と可愛いね』


 『あの時は、店内が満席だったよね、そして、お客さんが満席の状態で入ってきた』


 「そうですね、そして、大きめのテーブルに座っていた、お客さんに断りを入れ、テーブルを移動させて、席を無理やり作り、来店したお客さんの席を作りました」


 『そうだね、そして、そのお客さんは、すぐ近くのテーブルに座って居たお客さんと同じキャバ嬢を指名していた』


 俺は、タバコを1本取り出し、火を点けて、肺の中を煙で満たし、一気に吐き出して、大村マネの言葉を、頷く事で肯定した。


 『あんな、不可抗力しか無い状況じゃ、もう仕方ないって、隣同士なってても不思議じゃないし、俺ならもう諦めて、キャバ嬢が上手く取り成してくれよ~って願うしか出来ないって』


 「う~ん……まぁ確かに、無い席を無理やり作った訳ですから、仕方ないのかもなぁ……」


 イマイチ納得が出来ないが、大村マネですら、不可抗力だと思えるような状況だったんだなぁ……それなら仕方ないのかも。


 『あんなの、お客さんが来るずっと前から、お客さんが誰を指名するのか、理解してなきゃ無理! 無理!』


 そう言って、笑っていた。


 『俺はね、木村マネの頑張ってる姿を見て、何か俺で役に立つかな? って今日からインカムでアドバイスでもしてみようかな? そう思ってたんだよ、そして、店長にも相談したら』


 『それいいね! 僕も何か気付いた事があったら、インカムで木村マネに言ってみるよ、って、で、そんな二人ともが、あの場面で何も言わなかったって事は、あれはあれで正解だったんだよ』


 そう言って、大村マネは、俺に笑いかけてくれた。


 「そうですね、どうにもならない事だってありますよね」


 そう言って俺は、氷がすっかりと溶けきって、薄くなったコーラを一気に飲み干した。


 気持ちを切り替えて明日も頑張ろう。



    

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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