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応募~面接~採用~初日

 求む)幹部候補生

【職種】総合レジャー店舗の運営。その他。

【年齢】18才~

【学歴】不問

【給与】最低保証25万円~

【時間】9時~24時(内8時間勤務)

【休日】週に1日~2日

【備考】各種保険あり。

※何でも気軽にご相談下さい。

【応募先】$*)%>=@

株式会社△△


 俺が見付けたのは、こんな感じの何処にでもある求人情報だった。前の仕事を辞めて、実家でダラダラしていた頃。そろそろ働かないと、実家に居辛い。


 そんな時、某リクル○ト社が発行している、求人情報誌を買ってきて。ペラペラとページを捲っていた時に、この求人を見付けた。


 レジャー店舗って何だろ? ボウリング場とかゲーセンとかかな? 俺はこの時にそう思い、割りと楽しそうな仕事かもな?

と、求人に書かれていた番号に電話をしてみた。


 リクル○ト社の求人雑誌で求人公告を見付けた事を話し、求人担当者に電話を変わって貰うように言うと、そのまま電話に出た人が担当者だったらしく、面接の日取りが決まった。


 面接の約束をした日に、地下鉄に揺られ最寄りの駅まで行き、○番出口の階段を昇ると、目の前に、目的の会社の事務所が入るビルがあった。


 「ほえ~地下鉄入り口の真ん前か、通勤に便利だなぁ~」


 この時の俺は、今と比べて色んな事の経験が圧倒的に足らない。

本社に勤める方には、便利だが、店舗は、どうなんだ? そう言う事に直ぐに頭が回らない。


 事務所を訪ねて、面接をすると、その場で採用と言われた。

この時も俺は素直に喜んだが、こう言う会社は。

【取り敢えず雇え、後からふるいに掛けろ】

を大体モットーにしており、面接すれば、よっぽどじゃない限り不採用にはならない。そんな事も知らなかった。


 あれよあれよと、雇用に関する契約なんかも済んで。

今日から1週間、研修と言う名の、店舗廻り。

色んな種類のお店を経営してる会社だったので、各種類のお店を見て廻る。夕方の18時に、事務所に出社。因みに服装は、何でもいい。と言われた。せっかく気持ちも新たにとスーツを買ったのに。


 先輩に連れられ、先輩の車に乗って、店舗廻り。

最初に連れて来られた店舗。

これって……ヘルスだよな?


 そう一番始めに訪ねたのは、風俗店ファッションヘルス

ちょっとビックリして、突っ立ってると先輩から声を掛けられる。


 『お~い、何してんの? 入るよ』


 「あっはい、すみません」


 『あれ? うちの会社がどんなお店経営してるのか聞いてなかったの?』


 「あっいや……総合レジャー施設の経営と運営とは聞いたんですが」


 『そっか、ここは、男が遊ぶレジャー施設だよね? 後は、まぁ呼び方が違うだけで、イメクラとかキャンパブとか、こう言う風俗店が10軒、県内の色んな場所にあるから』


 俺は、この時に初めて、自分が就職した会社の実態を知ったのだ。


 『後は、キャバクラね、こっちの方がメインだから、県内に30店舗ぐらいかな、あっセクシー系も入れたら、もう少しあるかも』


 すげ~めっちゃ資本金ある会社なんじゃねぇか? 風俗店とキャバクラ合わせて50軒以上って……


 すごい所に就職しちゃったな。そんな思いですっかりと萎縮してしまった俺。


 先輩の後に付いて行き、店内に入るとそのまま、裏に回った。

裏側は、事務所兼待機場所になっているようで、男性のスタッフと数人の風俗嬢の女性が居た。


 『おはようございま~す』


 先輩が、そう声を掛ける、テレビか何かで見た記憶があったが、本当に、こう言う店の場合は、時間に関係なく挨拶は【おはようございます】なんだなと、変な所で感心してしまった。


 先輩に視線で促された俺は、最初の印象が大事だろうと思い、大きな声で。


 『おはようございます! 今日からこの会社に入った、木村太郎です、よろしくお願いします!』


 そう挨拶した途端に、先輩が苦笑しながら。


 『表のお客さんに聞こえちゃうでしょ? もっと小声で話そうね』


 初日で早速怒られしまったが、周りは、そんな俺の事を微笑ましそうに見ていた。そんな中、1人の風俗嬢の人が。


 『中村さん、この子、このお店に来るの?』


 『あ~まだ不明、取り敢えずは、ヘルスとキャバを回って、どちらにするか決める感じかな~、店もどこの店舗になるかも不明』


 俺はその後、この店の店長さんに、どんな業務があるのか。どんな流れでお客さんが来て、遊んで帰るのか、そんな事を聞いた。


 その後も、細々とした裏側の話を聞いた。風俗嬢のお給料なんかの事も、この日初めて知った。

稼いでいるんだろうなぁ……そんな漠然としたイメージは元々から持っていた。風俗嬢の給料は、店の設定した金額の70%が、風俗嬢の取り分になるらしい。1万円のコースのお客さんに着けば、7,000円が、風俗嬢の取り分となり、取っ払いなのだそうだ。


 その後、3時間ほど店に居て、他の男性従業員に付いて、実際にどんな業務があるのかを見学させて貰った。

店を出たら、中村さんから次は、近くにあるキャバクラに見学に行こう。そう言われた。ここから歩いて行ける距離に店舗があるそうだ。


 『あっそう言えばさ、車持ってる?』


 「免許はありますが、車は持ってないです」


 中村さんに聞かれた俺が、そう答えると。


 『それじゃ、本社に帰ったら、社用車の貸し出し書類も書かないとね、まぁ、軽自動車だけど、会社の車を借りられるから、燃料代は自己負担だけど』


 確かに風俗店で働くなら、自然と夕方から夜とかになるから、車が無いと通う事も出来なさそうだな。


 その後、10分ぐらいネオン街を二人で歩き、会社が経営しているキャバクラに着いた。

ここでも同じように【おはようございます】の挨拶をした。


 キャバクラでも同じように、業務内容や、流れ等の説明を聞いた。この後は同じように見学なのかな? 俺はそう思っていたのだが、実際にお客さんが入っていて、邪魔になっちゃうから。と言う理由で、店の隅っこに立ち、お店の様子を見ているだけだった。

時折、お客さんが、俺の前を通ったりしたので、軽く頭を下げたりしていた。


 2時間ほど見学と言うか店内の様子を観察してから、キャバクラを出た。出た所で、中村さんから。


 『さっきは、お客さんが通った時に頭を下げてたね、こういう接客業の経験があるのかな?』


 そう聞かれた。


 「あっいえ、無いです、ただ相手はお客さんだし、この人達が払うお金が、俺……あっいや、私のお給料になるって思ったので」


 そう言うと、偉いね。偉いね。と、しきりに褒めてくれた。


 『後、こう言う会社だし、言葉遣いは、そこまでうるさくないから、まぁお客さんには敬語でだけどね【俺】で全然大丈夫だよ』


 なるほど。普通の会社とは、確かにちょっと違うし、そこまで厳しい訳じゃ無いんだな。これなら苦手な敬語も、お客さんにだけ使えば良さそうだ、上司って言うよりかは、先輩って感じで接すれば大丈夫そうだな。


 そして、俺は中村さんの車に乗り本社に戻ってきた。

そこで、社用車の貸し出し書類を書き、今日体験してみた事を、中村さんに話した。


 少し複雑なのだが、この会社は、俺や中村さんのように、本社に雇われている、幹部や幹部候補生。これは、本社勤務や店舗の店長さんとかもそうらしい。

それとは別に、各店舗で雇っている社員の人も居て、その社員の人は、店舗の移動や本社勤務等は無いらしい。

そして、後は店舗毎に雇ったアルバイトの人。

こんな雇用体制をしている。と教えて貰った。


 中村さんに、連れられ、駐車場に行き、俺が借りる事になる軽自動車に案内してもらい、今日は、このまま退社していいと言われた。

明日も今日と同じ時間に本社に来るように。と言われ、俺は初めての風俗店での仕事を終わらせ、家路に着いた。


 なんだか楽しそうだし、頑張れそうな気がする。

どこまでやれるか、通用するか、まだまだ分からないが、少し本気で、この仕事をしてみよう。そう決意をした。

平成最後の投稿になります。

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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