32.守る理由
※ 文章の終わりにイメージイラストがあります。
「リックのヤツ、もう少し手加減しろよな……」
そんなことをボヤいたのは、暗い森の中をランプ片手に走るルイス。肌を刺すような冷たい空気に、彼の吐く息は白く色づいていた。そんな彼は僅かに息を乱しながらも、周囲を注意深く見回しつつ、木々の間を駆け抜けた。
そうして、幾ばくもしないうちに辿り着いたのは聖湖の畔。その隅に設けられている石造りの東屋の長椅子には小さな人影が一つ。膝を抱えて蹲っている探し人の姿を見つけると、彼はホッと息をついた。そして、小さく丸めた背を嗚咽と共に震わせる彼女に、そっと近付いて言った。
「お前、結構足早かったんだな」
ルイスが努めていつもどおりに声をかければ、彼女の小さな肩がビクッと大きく跳ねる。だが振り返る気配のない彼女の様子に、ルイスは眉尻を下げつつ、彼女の背中側に座りながら言った。
「しかし、さっきも思ったけど、なんで裸足なんだ? 途中で怪我したりしなかったか?」
そんな問いかけ――特に後半の言葉に、リオンはギクリと体を強張らせた。彼女のその反応にルイスは嘆息すると、彼女の方に体を向けて言った。
「ちょっとこっち向いて見せてみろ」
「……やだ。今、会わせる顔、ないし……」
「オレの顔見たくないなら外でも、天窓の星でも見てて構わないから、とにかく怪我したところ見せろ。放置すると後が辛いぞ?」
呆れ声でルイスが促せば、リオンは渋々といった様子でそっと足を地に下ろして振り返った。しかし、その顔は逸らされ、俯いたままだ。そんな彼女に苦笑しながら、ルイスはしゃがみ込んで問いかけた。
「どっちの足だ?」
「……左」
その答えにルイスがリオンの左足をそっと持ち上げれば、足の裏を横に擦れたような裂傷とそこから滲み出る血。ランプの灯りを頼りにそれを見たルイスは、彼女の足首を自分の肩に置くと、ゴソゴソと懐を漁りだした。しかし、それに慌てたのはリオンの方だった。ロングスカートの中が見えそうになるのを、両手ですかさず押さえれば、思わずと言った様子で彼を振り返り見て言った。
「いい、いきなり何するの?!」
「何って、このまま地面に足をつけてたら怪我が悪化するだろ。それに、こうしてた方が出血しにくいか、ら……」
そこまで言って、ルイスが顔をあげれば、真っ赤な顔をして睨むリオンの目と視線がかち合う。そんな彼女の顔を見て、ようやく彼女が何を訴えたいのかに気付くと、ルイスは慌てて肩に乗せていた足を自分の太ももの上に乗せ直した。そして、微かに頬を染めれば、動揺を露わに言った。
「わ、悪い」
「……悪気があったわけじゃないのはわかったけど、ルイスってそういうところの配慮足りないことあるよね」
「うっ、面目ない……」
返す言葉もないのか、気まずそうに唸るルイスに、リオンは浮かべていた呆れ顔を一転、微苦笑を浮かべて言った。
「嘘。そこまで怒ってないよ。恥ずかしかったけど、意味のないことしないことくらい知ってるもん」
リオンの目元は涙に濡れ、泣き腫らした目も真っ赤に色づいている。しかし、彼女の言葉とその表情に、ルイスもまた『そうか』と微苦笑を浮かべると、再び捜し物を始めた。そうして、僅かの間を置いて彼が取り出したのは、リックから受け取った竹筒とまっさらなハンカチ。
「ルイス、それ何?」
「ただの携帯用の水。少し傷口洗うから染みるぞ」
そう言ってルイスが彼女の傷口に竹筒の水をかければ、リオンは痛みに顔を顰め、足を微かに揺らした。そんな彼女を気遣うように見上げてルイスは尋ねた。
「大丈夫か?」
「確かに染みるけど、へ、平気!」
「すぐ終わるからもう少しだけ我慢してくれ」
リオンが頷くのを確認すると、ルイスはハンカチを中央で二枚に引き裂いた。そして、うち片方で濡れた彼女の足の水気を拭う。その後、残っているもう半分を互い違いに途中まで裂き、細長い包帯のようにすると、それを彼女の足に手際よく巻き付けていった。
「きつくないか?」
「痛くもないし、大丈夫」
その言葉に、ルイスはホッとした様子で笑みを浮かべた。そして、彼女の足を軽く持ち上げると、持ってきていた彼女の靴を履かせ、地に下ろした。怪我をしていない右足も、先ほどのハンカチで軽く土を落として履かせ終えると、彼は再度リオンの隣に腰かけた。
そんな彼にリオンは目を伏せて言った。
「ハンカチ、ダメにさせてごめんなさい」
「気にするな。道具は必要なときに使ってこそ、だ。けど、もう裸足で外を走るなんてことするなよ?」
「しないよ! 今日はたまたま……くしゅっ!」
屋根を除き、ほぼ吹きさらしになっている東屋で、冷たい通り風に体が冷えたのか、リオンは言葉途中で小さくくしゃみをした。そんな彼女にルイスは小さくため息をつくと、肩の留め具からマントを外し、彼女の膝にかけて言った。
「だいぶ足も冷えてたし、戻るまでかけとけ」
「ありがと……」
「それにしても、たまたまで、どうして裸足になる必要があったんだ?」
心底呆れかえった様子で見つめるルイスに、リオンは気まずそうにそっと視線を逸らして言った。
「最初は履いてたけど、履いたままだと音を立てずに急げなかったから……」
彼女の回答は非常に端的なものではあったが、それでもルイスは合点がいった様子で苦笑しながら言った。
「それだけエマのことが心配だったんだな」
「うん」
そう言って顔を俯かせたリオンに、ルイスもまた押し黙り、視線を落とした。僅かながら、いつも通りに戻ったはずの空気が、重苦しいものへ戻っていく。そんな沈痛な空気の中、ルイスはリオンの方へ体ごと振り返るや、頭を深く下げて静かに言った。
「悪かった」
「……何が?」
「聞かせずに済むようにできなかったことと、答えられなかったこと、大事なことをずっと黙ってたこと、全部だ」
そんなルイスの言葉に、リオンは膝の太ももの上に置いた両手をギュッと握りしめた。その手には一つ二つと滴が零れ落ち、はじける。そんな彼女の様子に、ルイスは顔を伏せたまま、眉を寄せ口元を引き締めて続けた。
「黙っていたことについては、制約だったとは言え、罪悪感がなかったわけじゃない。責められて当然だと思ってるし、今更許しを請うつもりはない。他もオレの落ち度だ。だから、文句でも何でも聞く。けど……」
そこでルイスは一旦言葉を切ると顔を上げ、リオンの顔を真っ直ぐ見つめて言った。
「エマのことは責めないでやってくれ。少なくても、お前にいろいろ教えたとき、エマは知らなかったんだ」
「え……?」
ルイスの告げた言葉に、リオンは思わずと言った様子で、掠れ声と共に顔を上げ振り返った。驚きに瞠目している彼女の頬を流れる涙を、そっと袖口で拭いながらルイスは言った。
「エマはエマで、さっき自分の記憶に混乱してたんだ。そして、そうなった原因を作ったのもオレだ。だからオレのことは恨んでくれたって構わない。だけど、エマのことは信じてやってくれ」
「でも、ルイスたちが知ってるのに、エマが知らなかったなんてこと、あり得るの……?」
訝しげな様子で眉根を寄せ、鼻をすすりつつ問いかけるリオンに、ルイスはしばし視線を彷徨わせて言った。
「正しく言えば、知らなかったんじゃなくて、忘れてたんだ」
「それこそあり得る気がしないんだけど……」
「……これ以上は、証拠も確証もない憶測だから、オレとしては話したくない」
「どうしても……?」
リオンが赤く充血した目でじっと見つめ問いかければ、ルイスは真っ直ぐ見返して言った。
「黙っていることがリオンのためにならないと判断したら、そのときは話す。が、今は話してもお前のためになるとは思えない」
「……話さないのは、私のためなの……?」
「月神と剣に誓ってそれ以外に隠す理由はない」
「そっか……」
ルイスのキッパリとした返事に、リオンは視線を彷徨わせ、東屋の天窓越しに見える星を見あげた。そして、しばし間を置くと、見上げていた顔をルイスに戻し、苦笑しながら言った。
「ごめん、ルイス。それでも私はやっぱりちゃんと知っておきたいし、聞きたいよ」
「リオン……」
「困らせてるのはわかってる。だけどルイス、あのときと同じ目してるから……」
「あのとき?」
リオンの言葉にルイスはキョトンとした様子で目を瞬かせた。そんな彼に、リオンは小さく頷くと真剣な表情で言った。
「祝祭で私を庇ったときと同じ目してる。私、あのときと同じ思いはもうしたくないの。だからお願い、教えて」
縋るように軍服の袖を掴むリオンに、ルイスは瞠目してしばし押し黙った。しかし、一向に諦める気配のない彼女の様子に、彼は眉根を寄せて言った。
「今まで信じてきたものが崩れかねない話だぞ? さっきの話の非じゃないことだって十分あり得るぞ?」
「もしかしたら、知らないままの方がよかったって、また思うかもしれない。それでも、守られてばかりはもう嫌だよ。何もできないかもしれないけど、それでも私はルイスの後ろじゃなくて、隣に立っていたいの」
彼女の目に宿る真っ直ぐな光に、ルイスは僅かの間を置くと嘆息し、諦めた様子で了解の意を示した。そして、一つ深呼吸すると、ぽつりぽつりと彼の知りうることをかいつまんで語り出した。
騎士や侍女であるルイス達四人に課せられている聖典の制約、そして、忘却水が大量に使用された可能性があること。制約についてはただ眉根を寄せて押し黙っていたリオンだったが、忘却水が使用された可能性については唖然とした様子で呟いた。
「私も、ってこと……?」
「オレの前任だったライル=フローレスの名前や顔が思い出せないなら、恐らくな」
そんな彼の言葉に、リオンは目を閉じてしばし考え込んだ。そして再び目を開けた彼女は、戸惑った様子で言った。
「聞き覚えはない、かな……。どんな方だったの?」
「言っただろ、神殿と騎士団の人間に使われた可能性があるって。当然オレもそのうちの一人だ」
「え、だって、名前覚えてるじゃない」
納得いかない様子のリオンに、ルイスは小さく息をついて言った。
「騎士団で保管してる報告書を読んで名前だけは知ってる、それだけだ。エマは聖典をきっかけに思い出したようだけど、オレ自身はまだ何一つ思い出せてない」
「そう、なの? でも、そんなにたくさんの人に特級指定の薬を誰かが使ったのなら、管理を任されてる副神官長様が異変に気付いてもいいはず……。って、まさか、ルイスが疑ってる相手って……」
「クリフ=モルガンとアルバート=ロウ。現神官長と副神官長だ」
静かに告げられた二人の名前に、リオンの目が驚きに大きく見開かれる。受けた衝撃の大きさに、彼女は戸惑いに目を揺らし、微かに震える声で問いかけた。
「神官長様と副神官長様が、そんな、まさか……。理由は?」
「証拠もないし、理由なんてさっぱりわからない。それに関連してるはずのライル=フローレスの記憶がないからな。ただ、さっきエマが気になることを言ってたんだ」
「なんて?」
「ライル=フローレスは、お前を浚おうとした罪で投獄されていたらしい」
ルイスの告げた内容に、リオンは目を瞬かせると、訝しげな顔で言った。
「護衛騎士だった人が、私を浚おうとしたの?」
「詳しくはまだ聞いてないから、経緯とかはよくわからない。少なくてもオレはそんな記録を見た覚えはない。けどエマの反応から察するに、当時のオレすら知っていて当然なほどの事件だったのは確かだと思う」
「そう、なんだ……」
自分を守るはずの護衛騎士が浚おうとした。その事実に、リオンは視線を彷徨わせて沈思黙考した。そんな彼女の顔を気遣わしげに覗き込みながら、ルイスは問いかけた。
「大丈夫か?」
「ちょっと混乱はしてるけど、平気」
「……明日以降も今までどおりにできそうか?」
そんなルイスの言葉に、リオンの柳眉が片方ピクリと跳ね上がる。そして、眉を寄せて半眼でルイスを振り返れば、睨め付けるように見つめて言った。
「ルイス、私のこと見くびってない? 今までだって色々あったけど、これでもちゃんと月巫女としてはやってきたんだよ。やれるに決まってるじゃない」
「だが、神官長様はお前にとって、親に近い存在だろ?」
「それはまぁ……。私にお爺様がいたら、神官長様みたいな感じだったのかな、とは思ってるけど。でも、それとこれとは別だよ」
「そうか。ならもう言わない」
鼻息荒くキッパリと言い切るリオンに、ルイスは微苦笑を浮かべた。そうして、一旦そこで会話は途切れ、視線を逸らした二人の間には、しばし沈黙の帳が降りた。そうして、長いようで短い沈黙が過ぎ去れば、それを破ったのは、意を決したように口を開いたリオンだった。
「ねぇ、ルイス。この際だから、もう一つだけ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ルイスはどうして、そこまでして私を守ってくれるの?」
そう真っ直ぐ見上げて問いかけたリオンの顔は、緊張で強張っていた。そんな彼女の雰囲気と言葉にルイスは呆気に取られたように目を瞬かせた。そして、微かに頬を赤く染めると、彼は視線を逸らしながら言った。
「なんでってそれはごえ……」
「『護衛騎士だから当然だろ』とかならやめて。そんな建前が聞きたいんじゃない。私はルイスの本心が知りたいの」
図星だったのか、ルイスは小さく唸ると、眉尻を下げてリオンを振り返った。そうして、真っ直ぐ見上げてくる瑠璃に、嘆息すると頭を掻きながら言った。
「そんなの知ったところで、何も変わらないぞ?」
「そんなの聞いてみなきゃわからないよ」
「……辛くなるだけかもしれない」
「それでも構わないから」
僅かに身を乗り出してきた彼女に、ルイスは体を仰け反らせつつ顔を逸らした。しかし、頑として譲る気配がないことに気付くと、長嘆息をついて彼女を振り返り問いかけた。
「後悔、しないんだな?」
「うん」
即答で頷くリオンに、ルイスは再び一度大きく深呼吸をした。
「オレがお前を守りたいと思うのは……」
そこまで言ったところでルイスの口が重くなり、リオンの眼差しが先を促すように強くなる。そんな視線を受けたルイスは、一度目を閉じると、意を決した様子で顔を真っ赤にさせていった。
「その、月が綺麗だか、ら……」
「え……? って、ちょっと、ルイス? え、何どうしたの? って、熱?!」
告げ終えた途端、突如リオンにのしかかるようにルイスは倒れ込んだ。それにリオンは最初、戸惑った様子を見せていたが、彼の顔に触れた瞬間、彼の異常な体温に気付き慌てふためいた。しかし、そこは聖湖の傍にある東屋。しかも多くの人が寝静まり、上弦の月もまもなく沈もうとしている深夜。二人の他に人がそこに来る訳もなく、リオンはルイスをどうにか支えつつ途方に暮れた。
しかし、本来誰も来るはずのないそこへ、草や枝を踏む音が僅かに響く。その音にリオンはビクッと肩を跳ねさせると、恐る恐る足音の方を振り返った。だが、相手は灯りを持っていないのか、音は近付いて来るのにその姿は見えない。
その状況にリオンは不安げな顔で、ルイスの軍服を掴み、その身を寄せた。その感触に、僅かながら意識を取り戻したルイスは、リオンに何かを伝えようと口を開いた。しかし、それが言葉となる前に、緊迫した空気に似合わない暢気な声が響いた。
「やっぱりというか何というか……。ぶっ倒れたか」
ルイスが脇に置いていたランプが照らし出したのは、二人がよく知る金髪の騎士、リックだった。正体不明の人物が彼だとわかった途端に、リオンの全身から力が抜ける。その瞬間、リオンに支えられていたルイスの体がぐらりと傾くも、一瞬で距離を詰めたリックが、危なげなくそれを支えた。
「リオン、どんなに安心しても急に力抜いちゃダメだよ」
「ご、ごめん。リック、どうしてここに? じゃなかった、ルイスが……!」
「大丈夫だから落ち着いて。ルイスは単にまだ体の調子戻ってない中、体が冷えて少し悪化しただけだから」
狼狽し涙ぐむリオンに、リックが苦笑しながらそう告げれば、彼女は眉を顰めて言った。
「悪化って……。ルイス、体調良くなったんじゃなかったの?」
「口止めされてたから言わなかったけど、気配を気取れないくらいにはまだ本調子じゃないんだよ、このバカ」
そう言って、リックがルイスの脇の下から背中にかけて腕を回せば、僅かに目を開けたルイスがボソリと言った。
「集中しないと、気取れないだけだ……」
「あ、意識はまだ残ってたんだね。歩けそう? 無理ならおぶってくけど」
「肩だけ貸してくれ……」
「了解」
ルイスを支えながら立ち上がったリックは、呆気に取られた様子で見ているリオンに、苦笑しながら問いかけた。
「とりあえず、このバカをパチル様に診せないとなんだけど……。リオン、もう戻っても平気かな?」
「え? あ、うん、大丈夫」
「なら、少し遠回りにはなるけど、人のいないとこ通ってエマの病室に戻ろう。あ、あと、悪いんだけど、そのマントとランプ、頼んでも平気?」
「もちろん」
そう言うと、リオンはマントを腕に、ランプを片手に立ち上がった。そして、リックの肩でぐったりしているルイスの顔を不安げに見つめながら、問いかけた。
「ルイス、本当に大丈夫なの……?」
「平気平気。毒の後遺症とかじゃなくて、しっかり一日二日休みさえすれば治る類いのものだから。それなのに、仕事仕事って言って聞かなかったんだよ……」
ぼやきつつも、心持ちゆっくり歩き出したリックに合わせて、ルイスの足も動く。しかし、返事をする気力はないのか、荒い呼吸以外その口から返事が返ることはなかった。そんな相棒の様子に、リックは再度ため息をつくと、彼をしっかり抱え直した。
そんなリックの隣でランプを片手に歩きつつ、リオンは言った。
「リック、来てくれてありがとう。助かったよ」
「ん、どういたしまして。少しは話せた……んだよね?」
「うん。全部ではないと思うけど、ある程度は……」
「そっか。ならよかった」
リオンの返事にリックはホッとしたように微笑みを浮かべた。そんな彼に、リオンはしばし間を置くと、気まずそうな様子で言った。
「でね、リック。一つお願いしたいことがあるんだけど……」
「……。なんかちょっと聞くの怖いけど、何?」
「私、聖典を読みたいんだけど、どうにかならないかな?」
そんなリオンの言葉に、リックは思わずルイスを支え損ねそうになりつつ、碧眼を目一杯に見開いたのだった。




