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31.定められた未来

※ 文章の終わりにイメージイラストがあります。

 夜の帳が下り、上弦の月と無数の星がその光を増す頃。シンと静まり返った神殿の廊下を、足早に行く足音二つと衣擦れの音が響く。


「リオン、いくら周囲に人の気配がないとはいえ、走るのは危ないからちょっと落ち着いて」


 そう小声で告げたのはリックだ。そして、そんな彼に肩を掴まれたリオンは、その手を振り払う勢いで振り返り言った。


「リックは心配じゃないの?!」

「リオン、それだと声響くから、もう少しだけ落として」


 リックの指摘に、リオンは慌てた様子で口元を両手で覆うと、改めて彼を睨むように見上げて見つめた。そんな彼女に、リックは困ったように頭を掻きながら言った。


「もちろん、オレも心配はしてるよ。だけど、ルイスもついてるから大丈夫だって。それよりも、こんな夜更けに足音立てて走って、人が集まってくる方が、リオンにとっては都合悪いと思うよ?」

「それは……。そう、だけど……」

「気持ちはわかるよ。だから、急ぐなとは言わない。ただ、できるだけ足音は小さめに、それでなるたけ早めに歩いて行こう?」


 そんな彼の言葉に、リオンは不満げに逸らしていた視線を戻すと、口を結んでしっかりと頷き返した。すると彼女は突如、履いていたローヒールの靴を脱ぎ始め、その様子にリックは目を剥いた。


「リオン、何を……」

「何って、この靴だとどうしても音立っちゃうから、脱いだ方が急げるかなって。って、そんなこと言ってる場合じゃないよ、リック。早く行こ!」

「え、ちょ……?!」


 戸惑う様子のリックに構わず、リオンは彼の手を取り裸足でずんずんと歩き出した。焦燥感漂う顔で先を行く彼女の顔を見たリックは、小さく息をつき彼女の歩調に合わせ、足を速めた。


 そうして、二人が向かったのはとある病室。その扉の前に辿り着いたときには、リオンの息はかなり乱れていた。そして、ノックすらも忘れ、彼女が急く気持ちに任せドアを開こうとした矢先だった。


「そんなの私の方が知りたいわよ!」


 聞こえてきたのは二人がよく知る声。しかし、滅多に声を荒げることをしないその声の主の感情的な言葉に二人は顔を見合わせつつ、ドアを開けた。が、その瞬間に耳朶を打った内容に、リオンの手から靴が音を立てて床に落ちた。


***


 時を遡ること数刻前。それは日が沈み、薄暗くなってきた頃のこと。自室にいたリオンは読んでいた本から顔を上げると、部屋の灯りを順に灯していくリックに言った。


「リック、エマまだ来なさそう?」

「んー……」


 リオンの問いかけにリックは、火を灯す手を止めて目を閉じた。僅かの間を置いて目を開けたリックは、再び作業をしつつ言った。


「一人近付いてくる人はいるけど、エマではない感じだね」

「そっか……。エマ、どうしたんだろう。もうすぐ夕食の時間なのに、この時間になっても来ないなんて」

「確かに。いつも時間はしっかり守るのに珍しいね」


 そう言って、暖炉の上に置かれた時計を二人が見やったときだった。二回控えめなノックの音が響き、リックが返事をすれば入ってきたのは中年の巫女。彼女は(はしばみ)色のショートヘアの髪を揺らしながら、優雅に一礼して言った。


「失礼いたします、月巫女様。本日はこの後、エマに代わりまして私が御身のお世話をさせていただくため参りました」

「巫女長様、エマはどうしたんですか?」


 投げかけられた問いに、中年の巫女――巫女長は伏せていた茜色の瞳を、真っ直ぐリオンに向けて言った。


「エマは先ほど図書館で倒れているのを巡回の騎士様が見つけて、今は医務室で休んでおります」

「えっ?!」


 巫女長の言葉に、リオンは思わずガタッと音を立てて椅子から立ち上がり、リックは微かに目を見開いた。顔色を失ったリオンを見た巫女長は、慌てる様子もなく静かに続けた。


「パチル様が仰るには、少々疲れが出ただけで、休めば問題ないとのことです」


 その言葉に、リオンとリックは同時にホッと息をついた。が、それもつかの間、リオンが駆け出しそうな勢いでドアに向かうのを見たリックは、すかさずその腕を取って言った。


「月巫女様、お待ちください。どちらへ?」

「エマの様子を見に行きます」

「お言葉ですが、月巫女様。この後、あなたには夜のお務めが……」

「でも! リックはエマのことが心配じゃないんですか?!」

「決してそんなことは……」


 焦りが色濃く表れているリオンの瑠璃色の目を見たリックが、困った様子で言葉を失ったときだった。新たなノックの音が響く。その音に反応したリックが返事をすれば、入ってきたのは胡桃(くるみ)色の髪の騎士――グレッグだった。


「失礼いたします。……何かあったんですか?」


 焦燥感溢れる様子のリオンに、彼女の腕を掴んでいるリック。そして、エマの代わりにいる巫女長を見てグレッグはキョトンとした様子で首を傾げた。そんな彼に、リックは指を鳴らして言った。


「グレッグ、いいところに」

「はい?」

「少しだけ待っててくれるか?」

「ええ、それはもちろん構いませんが……」


 訝しむグレッグをそのままに、リックは不安げに目を揺らすリオンを真っ直ぐ見て言った。


「月巫女様。私が休憩がてら彼女の様子を見て参ります。どうかそれで一旦ご容赦願えないでしょうか?」

「……わかりました。くれぐれもお願いします、リック」


 リックの言葉にリオンは反射的に口を開こうとした。が、傍にいる巫女長とグレッグを見ると、一度その口を(つぐ)み、絞り出すように告げれば、小さく息をついたのだった。


 そうして、リオンの部屋を後にしたリックは、医務室へ立ち寄った後、ある病室の前にやってきた。ノックをすれば、返ってきたのは彼がよく知る声。それに呆れた様子で息をつきながらドアを開ければ、そこには彼が想像した人の姿があった。


「付き添ってるとは聞いてたけど……。お前、何してんの?」

「何って、見ればわかるだろ」


 病室に居たのは、背もたれつきの椅子に腰かけているルイス。彼の傍のベッドには眠るエマの姿もあった。そんな彼女の横で、不満げな様子で本を捲る彼を、リックはじと目で見つめつつ言った。


「そうじゃなくて。熱下がりきってない病人が倒れた人の付き添いとか、一体何してんのって聞いてるんだよ」

「微熱だって言ってるのに、お前が団長にばらした結果だ。おかげで付き添いついでに休んでこいって追い出されるし。パチル様にはベッドが二台ある部屋にするか、とまで言われるし。散々だったんだからな?」

「いつまでたっても、自主的に休もうとしなかったお前が悪いんだろ。オレは副官として最終手段に踏み切ったまでだし、文句言われる筋合いはないね。……で、エマの容態は?」


 じろりと睨むようなルイスの視線に飄々とした態度で返しつつも、リックはその顔を一転、真顔で問いかけた。そんな彼の様子に、ルイスも不満げな表情を引っ込ませると、穏やかな表情で眠るエマを見て言った。


「パチル様が言うには、過労だろうからそのうち目を覚ますだろう、と。ただ…」

「ただ?」

「いや。これはオレの憶測の域を出ないし、目が覚めたらわかることだから、今はやめておく」

「憶測、ね。まぁ、いいけどさ。なんかあったら教えてよ?」

「もちろん。というか、お前こそ、休憩時間にどうしたんだ?」


 僅かに納得がいかない様子を見せたリックに、ルイスは二つ返事を返すと、気遣わしげな様子で相棒を振り返った。そんな彼に、リックは小さく肩を竦めて見せながら言った。


「リオンが夜の務めすら放り出して行きかねなかったから、オレが交代ついでに様子を見に、ね」

「なるほど。オレたちと出会うより前から一緒にいたわけだしな。そりゃ心配で駆けつけたがるよな、リオンの性格的に」


 困ったように苦笑を浮かべるルイスに、リックは朗らかに笑って言った。


「ま、お前がついてるって知ったら少しは落ち着くんじゃないかな? 団長に追い出されたって言うけど、オレとしては正直、お前がついてくれてて助かったよ」

「だといいんだけどな」

「じゃ、オレは休憩行くから、あとよろしく」

「ああ、お疲れ」


 そう言ってリックは病室を後にし、そこにはルイスとエマだけが残された。


 そうして、時はゆっくりと流れ、窓から見える空は青から赤へ、そして宵闇へと変わっていく。闇が深まり、半月が南西の空へ差し掛かる頃。ランプの灯りを頼りに本を読んでいたルイスが、ふと窓の外を見上げたそのときだった。


 微かにくぐもった声が病室内に響き、彼はハッとした様子でエマを振り返った。すると、ボンヤリとした様子の琥珀色の瞳とパチリと視線がかち合い、ルイスはホッとしたように息をついた。そんな彼にエマは掠れ声で不思議そうに問いかけた。


「ルイス様……? どうして……、ここは……?」

「無理に起きなくていい。今居るのは病室で、オレは倒れたお前の付き添いでここにいるだけなんだが、調子はどうだ?」

「少しだけ頭が痛い程、度……」


 そこまで呟いたところで、エマは大きく目を見開くと勢いよく飛び起きた。そんな彼女の反応にルイスは焦った様子で彼女の肩を掴んで言った。


「エマ、急に起き上がったら……」

「ルイス様っ、彼はあれからどうなったんですか?!」

「彼……? あれからって、なんの事だ?」


 エマの言葉の意味を図りかねたのか、ルイスが訝しげな顔で問い返せば、彼女は勢いをそのままに言った。


「ライル様です! リオンを浚おうとした罪で投獄されたのでしょう?」

「なん、だって?」


 ルイスがエマの言葉に唖然とした様子で目を見開けば、エマは苛立たしげに声を荒げて言った。


「とぼけないでください! ルイス様だってよくご存じのはずでしょう?!」

「とぼけてない。とりあえず、ちょっと落ち着け。深呼吸をするんだ」


 その言葉にエマは尚も言い募ろうとしたものの、両肩を掴むルイスの大真面目な顔を見ると、拗ねるように口を尖らせた。そうして不承不承ながら、彼の言うとおり深呼吸を数回繰り返すと、彼女の乱れた呼吸もその目に宿る光も多少落ち着きを取り戻した。


 そんな彼女にルイスは、静かに問いかけた。


「落ち着いたか?」

「少しは……。取り乱してごめんなさい」


 そう言って、気まずげそうな様子でエマは視線を横に逸らした。そんな彼女に、ルイスは首を横に振って言った。


「いや、構わない。ちなみに、確認なんだが、聖典を読んだんだよな?」

「読んだわ」

「それで、思い出したのか?」

「……ええ、思い出したわ。なんでこの一年思い出さなかったのか、不思議なくらい色々と。まるで噂に聞く忘却水でも飲んだかのよう……。って、まさか……」


 エマは自分の言葉にハッとした様子で、一瞬凍り付いた。そして、恐る恐るといった様子でルイスを振り返れば、彼は小さいながらもしっかりと頷いて言った。


「恐らく、そのまさか、だ」

「え、嘘でしょう? だって、あれは心が壊れかけた人のために使うものじゃない。リオンならまだわかるわ。あのとき相当ショックを受けてたもの。だけど、私は……」

「だが実際、お前は忘れてた。そして、オレは今もまだ彼のことを、ライル=フローレスの顔すら思い出せてないんだ」

「そん、な……」


 真顔で告げられたルイスの言葉に、エマの琥珀色の瞳が戸惑いに揺れる。そして、そのまま視線を、シーツをギュッと握りめた両手に落とすと、エマは震える声で呟いた。


「私、自分がしてしまったことすら、どうしたらいいのかわからないのに……。何が一体どうなっているのよ……」

「……やっぱり、リオンに恋愛について話をしたんだな?」

「したわ……。聖典の九巻までにはそれを規制する文言(もんごん)書いてなかったもの」


 ルイスが確信を持って尋ねれば、エマは力なく頷いて項垂れたまま返した。しかし、そんな彼女の返事に、ルイスは訝しげな様子で重ねて問いかけた。


「侍女になる前に聖典を全巻読まなかったのか?」

「ちゃんと読んだわ。ただ最初に聞いていた聖典の全巻は九巻。十巻は去年初めて見せられたの。ライル様の事件が起きるほんの少し前に……」

「去年だって? 聖典は昔から語られてるもののはずなのに、一体どういうことだ?」

「そんなの私が知りたいわよ!」


 顔を上げつつ声を荒げたエマに、ルイスは瞠目して息をのんだ。そんな彼の様子に、エマはハッとした様子で口を覆うと視線を落として言った。


「ごめんなさい。だけど、私だって去年読んで驚いたし、今回はその比じゃなかったのよ……」

「エマ……」

「だって、あんなのあんまりじゃない……。生まれたときから月神様の花嫁になることが決まっていた、なんて……」


 ギュッと握りしめたエマの手の甲に、一つ二つと滴が零れ落ちて伝い、シーツへと滲んでいく。ルイスが慰めるように彼女の肩に手を置けば、彼女は涙に濡れた顔を上げて言った。


「リオンは祈りの力が強いって言っても、どこにでもいる普通の女の子なのよ? なのに、あの子には恋をする自由も、神殿を出る自由も一生ないなんて、そんなの……」


 そこまでエマが言ったところで、彼女の声を遮るように、何かが床に落ちる音とドアの軋む音が病室に響く。その音に、ルイスとエマが驚きを露わに部屋の出入り口を振り返れば、そこには慣性で開くドア。そして、開いたその向こうにいた人物の姿が灯りで露わになれば、二人は体を強張らせた。


 二人も、そして相手も無言の沈黙を貫き、気まずい空気が流れる。そんな中、ルイスは声を震わせるように口を開いて言った。


「リオン、お前、まさか今の話聞いて、たのか……?」

「夜の務めが終わったから、エマが心配で様子を見に来たんだけど……。珍しくエマの怒鳴る声が聞こえたから、どうしたんだろうって思って……」


 気まずそうにへらっとした笑みを浮かべたリオンの返事は肯定。そして、それは彼女の背後で、額と腰に手を当てて項垂れているリックの態度からも明らかだった。それに対し、ルイスとエマが緊張に身を固くする中、リオンは笑みを浮かべつつ、微かに声を震わせながら問いかけた。


「ねぇ、エマ。今の話、どういうこと…?」

「それは、その……」

「私、神殿から出られないの……?」

「リオ……」

「誰かを好きになっちゃ、いけないの?」


 名を呼ぶ声に重ねられた問いに、エマは唇を噛みしめて視線を逸らした。事実であるが故の彼女の反応に対し、リオンの瞳が大きく揺れる。その目尻からは今にも零れ落ちんばかりの涙が滲んでいた。そんな彼女は視線をエマからルイスに向け、口元だけ笑みを浮かべて問いかけた。


「ルイスも、知ってたの?」

「それは……」

「そっか、知ってたんだね……」

「リオン……」


 顔を伏せたリオンに、ルイスは歩み寄り、彼女の肩に手を伸ばそうとした。しかし、その手は彼女自身の手で振り払われ、ルイスはそのまま凍り付いた。そんな彼をリオンは悲しみと憤りの混ざった色を映した目で見つめて言った。


「知ってたなら……、なんで優しくなんかしたの? 同情?」

「オレは……」


 視線を揺らし、惑い揺れる翠緑色の瞳に、リオンは両手を握り絞め、大粒の涙をポロポロ溢しながら俯き言った。


「理由すらなかったのなら、最初から優しくなんてしないでほしかった! こんな気持ちになるくらいなら、何も知らないままの方がよかったよ!」

「リオン、待っ……」


 悲しみに満ちた慟哭の直後、踵を返し駆け出す彼女に、ルイスはその手を伸ばそうとした。しかし、その手には一瞬の躊躇いが生じ、僅かに動きが止まる。その結果、彼女は彼の手をすり抜け、病室を出て行ってしまった。


 そして、悄然とした様子で立ち尽くすルイスに、リオンが落とした彼女の靴を拾いあげたリックが言った。


「だから無理するなって言ったんだ、バカ」

「そう、だな……」

「……オレが行っていいの?」

「……頼む」


 血が滲むほどに唇を噛みしめて俯くルイスの、覇気が全くこもっていない返事に、リックは小さく息をついた。そして、ツカツカと彼に歩み寄ると、靴を持っていない方の手で、彼の頭に躊躇うことなく手刀を落とした。それと同時に病室に鈍い音が鳴り響く。


「いてっ! ちょ、リック! 今はそんなことしてる場合じゃ……!」

「そうだね。こんなことしてる場合じゃないよね」

「だったら……!」

「お前さ、本っ当にオレに任せて後悔しないの?」


 じろっと睨むように向けられた碧眼に、ルイスは一瞬たじろいだ。そんな彼にリックは再度、一発二発と手刀を落としながら言った。


「お前、どんだけバカなわけ? 好きな女の子泣かせたまま、他の男に任せるとかバカにも程があるだろ」

「だが、オレはリオンに何も言ってやれない。言っても余計傷つけるだけだ」

「それがバカだって言ってんだよ、この唐変木」


 エマが目を白黒させる中、今までで一番力の籠もった手刀が落とされれば、ルイスは思わず唸り声を上げて、リックを睨んだ。が、そんな彼とは対照的にリックは凪いだ目で真っ直ぐルイスを見て言った。


「今、リオンが誰に一番傍に居て欲しいと思ってるか、わからないお前じゃないだろ?」

「それは……」

「オレじゃダメなんだって。代わってやりたいとこだけど、こればっかりはオレじゃ力不足なんだよ。いい加減わかれよ」


 そんなリックの言葉に、ルイスの目が大きく揺れる。リックの言葉を受けてもなお、躊躇うルイスの背にもう一つ控えめな声が投げかけられた。


「ルイス様、私からもお願いします。あの子に必要なのは今も()()ルイス様なんです。だから、リオンを少しでも想ってるなら行ってください。お願いします」


 切実な目でそう訴えかけたエマを振り返ったルイスは、僅かに逡巡した。が、一つ深呼吸をすると、真っ直ぐリックを見て言った。


「悪い、リック」

「ホントだよ。今度何か埋め合わせしてよね。っと、待って。今、リオン裸足だから一応これも持ってって」


 そう言って、差し出されたリオンの靴と小さな竹筒に、ルイスは一瞬何か言いたげに眉を顰めた。しかし、それが言葉になることはなく、代わりに紡がれたのは別の単語。


「二人ともありがとな」


 そんな感謝の言葉を二人に伝えると、彼は竹筒を懐にしまい、部屋にあった手持ちランプを片手に駆け出したのだった。



挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] しっかり者のエマさんが取り乱すなんて、と思ってみれば…… リオンちゃんの一番近くに一番長くいるエマさんだからこそ、衝撃が強かったのでしょうね。 忘却水が騎士団だけでなく、エマさんにも使われ…
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