妻とパン
夕方の4時頃の話。
会社から支給されている携帯電話に仕事中に一本の電話が。
表示を見てみると「妻」の文字。
「はいはい、どした?」
「あのさ、いきなりパンの音が聞こえたんだけど……」
「…………ん? パンの音?」
「そうそう。 そしたら給湯器が動かなくなっちゃったんだけど、どうすればいいの?」
えっと、パンの音ってあのパン?
マフっ、とか、モフっ、とかって音ですか?
それとも、焼きたてのカリって音ですか?
………なんかよくわからない。
「………ん~、よくわからんけどもうチョイしたら帰るわ」
「わかった。 私何かしたのかなぁ」
何だろう……給湯器にパンでも投げつけたんかな……
*****1時間と数分後――*****
「ただいま~。 で、パンの音がしたとこってどこ?」
「あそこ」
妻が指をさす先は天井の隅。
給湯器は真逆の壁。
「あそこにパンでもぶつけたん?」
「え? パンなんかぶつけるわけないじゃん」
いよいよ話がこじれてきた。
*****数分の事情聴取の結果――*****
話を聞いてわかったのは、雷の影響で給湯器がお逝きになったと言うこと。
妻曰く、「パンの音」というのは、「雷が鳴ったと思ったら、電線から家に電気引き込んでる場所からパンッていう音が聞こえた」っていう意味だったらしいです。
伝わらねぇ~。