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中華まん

 8年前の凍えるような冬の午後の話。



 車でお出かけ中にとあるコンビニ立ち寄った妻と私。

 妻がどうしてもコンビニのおでんを食べたいと言うので寄ったのだ。

 特に私は用事もなかったので、車で待っていることにした。


「おでん何食べたい?リクエストあれば買ってくるけど?」


「じゃあ、ウインナーと昆布でお願いします」


「りょうか~い。他にはある?」


「ん~……」


 と、悩む私の目にコンビニの入り口に掛けてあるのぼりが目に入る。

 そこに書かれていたのは「中華まん」の文字と、暖かそうなピザまんの写真だった。


「……いいねぇ。じゃあ中華まんで!」


「オッケー! じゃあ買ってくるね」


 あれ? 何味か言ってなかったんだけど……

 ま、いっか。

 何でも食べるし、なんでも旨いから。




 それから5分……




「ただいま~買ってきたよ」


「あぁ、ありがとね。じゃあさっそく中華まんを……」


 買い物袋をまさぐる俺を見て、妻が申し訳なさそうに口を開く。


「それがさ、中華まん無かったんだよ」


「マジか~。売り切れとか準備中とか?」


「うん、そうみたい」


 残念な気持ちをそっと胸の中にしまい、シフトをドライブに入れた時だった。


「ピザまんとかあんまんはあったんだけどね」


 入れたギアを再びパーキングに戻す。


「なぬ?今なんと?」


「え?だからさ、ピザまんとかならあったよって言ったの。中華まんはなかったの!」


「ピザまんもあんまんもひっくるめて中華まんっちゅうんじゃー!!」


 狭い車内に私の悲しげな声だけが響きました。


 聞き取りの結果、妻は中華まんという種類のものがあると今までずっと思っていたそうです。

 で、私は懇切丁寧に教えてあげたのですが、妻は納得せず。


 ならばと、いままで中華まんなるものを見たことがあるのかと聞いてみると。


「いや、ないけど。いつも売り切れるてたよ」


 …………

 売り切れてたんじゃなくて、そもそも売ってないから!!


 この後、納得してくれるまで中華まんとのぼりの立っている各所のコンビニを回り続けました。

 その数およそ20件ほど……








 あの頃は若かったなぁ……


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