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ドメスティック

 妻はなんでかいつも体中アザだらけ。

 いつも一緒に風呂に入っているのだが、日に日に増えていくアザが非常に気になる。


「なぁ、その足の甲とふともものその辺と右のわき腹のとこと二の腕のアザはどうしたん?」


「あ、これ? 二の腕のとこは今日仕事でぶつけたっぽくて、あとのは記憶にないかな」


「まぁ痛くないならいいんだけど、もうちょっと気を付けてな。母親の前に女の子なんだからさ」


「わかってるよ。できるだけ気を付けるよ」



 で、次の日。



「おぃコラ。昨日俺の言ったこと忘れてるだろ」


「ん?何が?」


「アザだよアザ! 背中とか首筋とかにまでできてんぞ」


「えっ? ホントに?…………あ、ホントだ」



 そんなことが続いたある日のこと。


 落雷の影響で家の給湯器が天に召されてしまい、仕方なく近くのスーパー銭湯に行くことに。

 そこで偶然にも同じ状況になった妻の友人と出会う。


 世間話に花を咲かせつつ、それもほどほどに私は子どもを引き連れて、妻は友人と一緒に、各自別れて湯に入りに行った。



 それから30分後――



 子どもらに振り回されて疲れ切って出てきた私を出迎えたのは、妻ではなく友人の方だった。


「子ども連れてのお風呂疲れ様です……それはいいお父さんを装ってるんですか?」


「……はい?」


 ん?いきなり失礼なこと言ってきたなこの友人様は。

 ってことなので――


「あの、装うって何のことですか? いつも銭湯に来たときは私が子ども達と入ってるのですが……」


「そうなんですかね? 私には信じられません」


「……あの、お言葉ですが、別にあなたに信じてもらわなくともいいんですけど…… それよりも私に何か言いたいことでもあるんですか?若干遠まわしに攻められてると感じるのですが」


 で、いいでしょうと妻の友人はため息交じりにこう続けた。


「あなた、妻さん(実際は名前で呼んでました)に暴力振るってるでしょ!」


「What's?」 (あまりに唐突な言葉にマジでこう答えました)


「しらばくれないで! 妻さんの体見ましたけど、あんなになるまで殴らなくてもいいじゃないですか! あなたはいい旦那さんだと思ったのにひどいっ!ひどすぎるっ!」


 殴る? はぃ?



 ……………



 …………



 ………



 ……



 …




 あぁ~……


 あのアザ達のことか~……


 そこから妻が来るまでの10分の間、DV旦那と罵られながら泣きじゃくる妻の友人に攻め続けられた私は、エントランスで無駄に注目を集め続けました。



 あの時の惨状は言葉では言い表せません。

 仮に一言だけ言うのであれば、「辛かった……」とだけ言っておきます。




 おしまい



























 あ、その後ですが、妻の友人には妻がちゃんと説明してわかってもらえましたので一安心です。


 まぁ、私のいろんなものが失われたのは間違いないですけどね……


 ふふっ……


 当分、銭湯には行きたくない…………

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