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天才魔法使いは自由気ままに旅をする  作者: 背伸びした猫
~5章~ メノード島
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天才魔法使い、人間と魔族の仲を取り持つ

「お主、身の回りに災いを引き寄せる体質でも持っておるのか? いや、お主にとっては災いとは言い難いかもしれんが」



 これは、ストビー王国に戻って報告した時の、デルガンダ王国のギルドマスターの言葉である。いつかルカが僕と話すときは常識を捨てるとか言っていた気がするが、それ関係なしに普通に失礼な言葉であった。



「魔族の方で色々調べてくれているみたいなのでそれが分かり次第また報告しに来ます」


「いつもすまないな」


「リクには助けられてばかりですね」


「いえ、別に成り行きなので」



 こういうと謙遜みたいに聞こえるが、本当に成り行きなのだ。たまたま行く先々で黒い霧を纏った魔物と遭遇し、たまたま魔族とつながりがあったのでメノード島に行き、メノード島でのんびりしていたらたまたまその元凶らしき者たちを見つけたのだ。



「じゃあ、デルガンダ王国に送っていきますね」


「あぁ、頼む。ラエル王女、この先のことは各々で考えをまとめてからまた話そう」


「そうですね。今回を教訓としましょう」



 今回って……。もしかして結構グダグダの話し合いだったりしたのだろうか。まぁ、興味ないからこれ以上聞かないけれども。



「そういえばマルクス王子はどこですか?」


「それなら、妹と一緒にそこらへん散歩していると思いますよ」



 何それ。え、割と大事な話をしていたんじゃなかったっけ?



「いや、リエル殿がいる方が皆が集中出来んというかな……」


「真面目な話の最中に、話そっちのけで頬を赤らめてますからね。姉としてすごく心配です」



 なるほど納得。



「そうだ、リク殿。魔王殿に話し合いの時間で儂とラエル王女の日程が合う日も含めて書状を書いたので届けてくれんか。……今更じゃが儂らと使っている文字は一緒なのか?」


「一緒ですよ。何なら街の景色もそう変わりませんよ。地域の特色か食べ物に多少の違いはありますけど」


「砂糖などが異常に高値でしたね。あの国には糖分が足りていません」



 他にも香辛料的な物も高すぎるとアイラが言っていたっけな。

 そんな話を聞いて、そこにいた者が一様に驚きの表情を浮かべる。人間の街で聞ける魔族に関する話だけ聞いていれば、その反応も無理はない。



「こちらへ招待するとは言ったが、リク殿が付いていてくれるのなら行ってみるのもいいかもしれんな」


「そうですね。リクがいるのなら行ってみたいですね」



 中々に厚い信頼である。まぁ、人間と魔族が和解できるかもしれないのならそれぐらい面倒なんて思わない。寧ろ進んで行動するまである。リリィに人間の街を案内する、みたいな話もしてたし。本当に実現するといいなぁ。

 それから程無くしてマルクス王子とリエル様が兵士に連れられてやってくる。



「リク、思ったより遅かったな」


「少し色々ありまして……。その辺は後で陛下に聞いてもらえると助かります」


「我々としても色々と考えることがあるからな。その時に話そう」


「じゃあ私はお姉ちゃんから聞きます」


「そうですね。次はちゃんと話を聞いてくださいね」


「わ、私はいつでもちゃんと話を聞いています!」



 初めて会った時は姉を注意するしっかり者の妹といったイメージだったが、今となってはただの恋する乙女である。

 マルクス王子も来たので、話もそこそこにデルガンダ王国へと陛下たちを送って、僕は再びメノード島へと戻った。





 メノード島へと戻るとすぐに、皆と一緒に夕食を食べることになった。どうやら僕が来るのを待っていてくれたらしい。

 だが、魔王様はいない。簡単に理由をまとめると、街がかなりの惨状になっていたのでその後始末で忙しい。細かいところをルカが説明してくれているが、僕が読み取れたのはそこだけだ。込み入った話は苦手だから仕方ない。



「と、言う訳で魔王様はここにはいないの!」


「わざわざ説明してくれてありがとう、ルカ」


「どういたしまして!」


「それでリク様、明日はどうするの?」


「う~ん、リリィ、魔法どうする?」


「あしたやる! わたしもりくみたいにみんなをまもれるようになりたい!」



 リリィのやる気は素晴らし意思尊重したいけれど、魔王様忙しいんじゃ……。そう思って聞いてみると、今から連絡しておけば絶対に急いで終わらしてくるという返答がサリィさんから返ってきた。これでいいのだろうか。



「リリィが明日がいいと言っているので文句はないはずです。それに、あの人ならさっきのリリィの言葉を聞いたら涙を流して喜びますよ」



 親として子供の成長は喜ばしいものなのだろう。娘大好きの魔王様なら尚更だ。



「私は少し疲れました。アイラに甘味を所望します」



 そういえばエリンに関しては、エリンにしか出来なことが多いので暫く頼りっぱなしだった気がする。



「アイラ、お願いできる?」


「任せて。エリン、何がいい?」


「そうですね……。まずは――」



 そこからこれでもかと言うほど羅列されたのは、アイスからフルーツまで多種多様の物である。これだけの量を食べようと思えるエリンも凄いが、これだけのレパートリーを持っているアイラも凄い。



「ほとんど聞いたことないですね……。作るのを見学してもいいですか?」


「構わない。でも多分、見てもこの辺で採れないものがほとんどだから真似できないかもしれない」


「そこは私の腕でどうにか工夫しますよ」


「りりぃもたべたーい!」


「じゃあリリィの分はお母さんが作ってあげる」


「やったー!」



 元気いいなぁ。さて、そろそろ止めないと。



「シエラ、ストップ」


「な、何をじゃ?」


「食事」



 シエラのことを知ってか、多めに用意してはくれているようだが、シエラの胃袋の大きさに合わせていたら消費に生産が追い付かない。

 そういえばアイテムボックスの中、一番最初に倒したドラゴンの肉とか、シエラに連れられて行った場所にいた冗談みたいなサイズの魚とかいろいろ入ってるんだよね。暫く食べきれない量が。



「それは勿体ないから妾が食べればいいのじゃな?」


「いや、僕も食べたいから明日ね」


「じゃあ今日はお代わりしてもよいのか? まだ腹八分目じゃぞ」


「いや、八分目ならそれで終わりだから」



 シエラがしまった、みたいな顔をしている。シエラがこの程度で腹八分目になっているのは、昼食を満腹になるまで食べてあまり動いていないせいだろう。シエラは腹八分目で食べるのをやめると言う話を聞いたことがないのだろうか。



「じゃ、じゃが妾は十二分目まで食べられるのじゃぞ?」


「いや、十二分目って胃に入り切らない量だから」



 十分目の意味が分かっていないのか、分かっていた上で言ったのかはシエラのために聞かないでおこう。



「それぐらいは分かったおるのじゃ! ルカと一緒にするでない!」


「ねぇ、何で今私の名前出したの? 絶対悪い意味で出したよね」


「い、いや、そんなことはないのじゃ。ほ、ほれ、ルカと違って妾は頭が良……悪いと謙遜しただけじゃ」


「私、シエラさんが思ってるほど頭悪くないもん。私だって――」



 頑張ってルカを宥めようとするシエラを眺めながら、僕らは夕食を続けた。

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