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天才魔法使いは自由気ままに旅をする  作者: 背伸びした猫
~4章~ ストビー王国
54/120

天才魔法使い、侵入する

皆様のお陰で総合評価500pt突破いたしました!

これからもよろしくお願いします!

 その後、夕食を城で済ました僕らは、アイラとアイナから何があったのかを軽く聞いた。ラエル王女とリエル様も一緒だ。



「すみません、私たちが不甲斐ないばかりに……」


「王女様が謝るようなことじゃない」


「それで、その人たちはどういう人たちなんですか?」



 僕の質問にラエル王女は素直に答えてくれた。



「恐らくアイラたちにそんなことをしたのは狐、鼠、ハイエナの獣人の3人組でしょう。悪いうわさは度々聞くものの、何の証拠も見せないので私たちも手を拱いているのです」


「それで、その3人の家ってどこにあるんですか?」


「……お兄ちゃん? 何する気?」


「何もしないよ? ちょっと聞いてみたかっただけ」


「へ、へぇ」



 なんでちょっと引き気味なんだよ。本当に何もしないよ? 多分。

 ……シエラには手伝ってもらおうかな。どこに人がいるのか分かった方が便利だし。



『任せるのじゃ。一人残らず消し炭にしてやるのじゃ』



 シエラが僕にだけ聞こえるように参戦の意思を伝えてくれる。なんだかんだ言ってシエラも頭にきているのかもしれない。でも、そこまではしなくていい。



「あ、あの……、私はここに居てもいいんでしょうか?」


「いいんじゃない? あそこにいるお兄ちゃんだって当たり前みたいにお城に出入りしてるけど普通の旅人だし」


「旅人さんだったんだ……」



 ルカに遠回しにあの人はおかしいみたいなことを言われた気がする。

 その後、ラエル王女から場所を聞いて解散することになった。分かれ間際、王女に呼び止められた。



「リク、あれらの貴族についている護衛は私たち王族とそう変わりません。変なことは考えない方がいいと思います」


「そうなんですか。ご忠告ありがとうございます」


「……リクさん、本当に分かってる?」



 リエル様にも心配されてしまった。

 僕は大丈夫だという意思を伝え、ラエル王女が用意してくれた部屋へとみんなで向かった。アイラはアイナと同じ部屋だ。



「リク様、私たちのために無理しなくても――」


「アイラ、多分無駄だと思うよ。お兄ちゃん多分何言われてもやめる気ないから」


「?」



 アイナだけが頭に「?」を浮かべている。まあ、ルカの言う通りやめる気なんてないのだが。



「それなら私も――」


「アイラはアイナと一緒にいてあげて?」


「……分かった」


「お兄ちゃん、お兄ちゃん! 私は行ってもいい?」



 なんでちょっと楽しそうなんだよ。



「面白そうだから?」



 ナチュラルに僕の心の声に反応するのは止めて欲しい。



「ルカは普通にダメ。なんか面倒なことになりそうだし」


「なにその理由!?」



 その後、うだうだと駄々をこねられたが、アイラとアイナの面倒を見るという大人にしそうな言い方で頼んでみたら素直に諦めてくれた。アイラは僕の意思をくみ取ったのか何も言わなかった。



「私も行っていいですか? いろいろ手伝えると思うのですが……」


「お願いするよ」



 エリンは満足そうに微笑んだ。



「それでシエラさんはどうするの?」


「行くぞ? さっき話している時にそういうことになったのじゃ」



 アイナの頭の上のはてなマークが一つ増えた。



「じゃ、ちょっと僕ら散歩してくるから」


「なんか3人とも楽しそうじゃない?」


「そんなことないよ」ニコッ


「主様の言う通りじゃ」ニコッ


「別に人間の屑に罰を下すのが楽しいとか思ってませんよ?」ニコッ



 アイラとルカがちょっと怖がっていたのは気のせいか。





 僕らはとある屋敷を上空から見下ろしていた。同じ敷地の中にいくつかの建物があり、周りを武器を持ったものが徘徊している。

 ちなみに、シエラは僕がおんぶしている。



「あの家か。……でかいな」



 貴族3人が住んでいるという話だったが、明らかに大きすぎる。貴族というのは見栄を張らないと生きていけない生き物なのだろうか。



「主様、これ燃やしていいのかや?」



 そういえば何も考えてなかったな。取り敢えず燃やすのは却下だ。出来れば悪さをしている証拠を回収したい。僕は腕を組んで少し考える。

 が、ふと思う。なぜこんな奴らのために頭を悩まさなければならないのか。



「もう正面からでいいんじゃない?」


「適当じゃなあ。ま、妾はその方が好きじゃが」


「リクがそう言うのなら私は賛成です。姿は変えておきますか?」


「いや、いいよ。エリンは僕の魔法を人が気絶する程度に弱めてくれる?」


「分かりました」


「人は一通り回収するからシエラは見つけたら教えてくれる?」


「分かったのじゃ! なんかワクワクするのじゃ!」



 全く、緊張感のないやつだ。まあ、僕も人の事は言えないのだが。



「じゃ、端っこの建物から行こうか」


了解です(じゃ)」





「主様、地下に人がおるぞ」



 家の中を一通り周ってそこら辺にあるものを全部アイテムボックスに突っ込み、そこにいた人は有無を言わさず気絶させて転移魔法で城で僕が借りている部屋に移動させたのだが、地下につながりそうな部屋はなかった気がする。



「どこかに隠し通路があるのでしょう」



 どこだろう……。もういいや。なんか自分でも投げやりになっている気がするが気にしないでおこう。



「シエラ、どの辺?」


「この真下じゃ」



 僕は地面に手を向け、穴をあけた。



「凄いですね。リクの魔法は。こんなことされたら隠し通路何て作る意味がないです」


「主様じゃからなあ」



 あれ、この二人なんか大人しいな。状況を察して静かにしてくれているのかな? 正直凄く助かる。



「お、下につながった」



 シエラをおんぶして足場を作りながらトンットンッと降りていく。

 暗いな。とりあえず魔法で照らすか。そう思って辺りを照らすと、そこには20人程の子供がいた。



「ねぇ、君たちここで何してるの?」


「」ビクッ



 随分やせ細ってるな。そういえばアイナも随分と細かったような……。



「ねぇ、誰かこの家の道分かる人いない?」


「お、俺が教えてやる。だ、だからみんなには手を出すな」



 犬の耳を持った少年が他の皆の前に立ちそう言う。が、その足はがくがくと震えている。



「いや、別に何もする気ないから。寧ろ場合によっては助けるまである。エリン、頼む」


「気絶させなくていいんですか?」



 ……考えてなかったな。エリンに防音の結界は作ってもらっているものの、部屋から出れば一発でバレる。というかエリンの発言に全員が震えている。



「今から転移魔法で他の場所に送るからさ、その場所に着いたら大人しくしててくれない? 後僕の事は誰にも言わないでね。それが約束できるなら何もしないよ」


「も、もし約束を破ったら?」



 兎耳の女の子が震え声で聞いてくる。僕は誘拐犯か。



「えっと……、僕が怒られる、かな?」



 城の中に外部の人間を放り込んでいるのだ。どう考えても怒られるに決まっている。なんともみっともない答えだが、そのお陰で何人かが笑ってくれた。



「どの道俺らは断るようなことできないし、皆、この兄ちゃんの言う通りにするんだ」



 最初から従うつもりではいたのか。



「エリン、今度こそ頼む」


「分かりました」



 一人の少年を残して皆を見送る。



「じゃ、案内よろしくね」


「兄ちゃんたちは盗賊なのか?」


「違う……と思う」



 なんかここにきてやっていることを思い出したら違うと言いきれなかった。

 さてと、残りもちゃっちゃと終わらせますか。

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