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天才魔法使いは自由気ままに旅をする  作者: 背伸びした猫
~3章~ ガノード島
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天才魔法使い、痕跡を見つける

「……」


「うん、これは後にしようか」



 地面に出来た穴を魔法でふさいだ。匂いが結構きつかったので、多分腐っているのもあるんだと思う。それに伴って中々にグロッキーな状態だったのであまり見たくない。夕食の前に確認したのは失敗だったか。



「リク様?」


「主様? 今、物凄く嫌なにおいがしたのじゃが」


「ご飯食べてから話すよ」


「なんか私、食欲が……」


「妾が代わりに食べてやってもよいぞ」


「……私も食べる」



 アイラがシエラのことも考えて作ったから結構な量あるのだが、これを見て人の分まで食べようとするとは。

 アイラが味付けしてシエラが焼いたかば焼きは凄くおいしかった。いつかの村で大量に貰った美味しいお米も十二分に役割を発揮してくれていた。





「それで先程のにおいは何だったのじゃ?」


「……」


「ルカ?」



 ルカが先程の光景を思い出してすごく嫌そうな表情をする。それを心配してアイラが声をかける。いつもよりも食欲がなかったのも気にしているのだろう。



「さっきテント作ろうとしたときにこんなの見つけてさ」



 そう言って僕はさっき塞いだ穴を魔法で開き、魔法で照らす。

 地面にぽっかりと開いた穴からはドラゴンの腐敗臭と、山のように積み上げられたドラゴンの死体が見えていた。



「……これ調べるの?」


「調べるよ。出来れば入りたくないけど」


「地面にこんなものを作っておったとは。随分と舐めた真似をしてくれたものじゃ」


「シエラは気付かなかった?」


「いろんな所から魔力感じるから魔法で隠してたんじゃないかな」



 僕は3人を抱きかかえて穴の奥へと向かって行った。



「シエラって人型になったら飛べないんだな」


「寧ろなぜ飛べると思ったのか不思議なのじゃが」


「そうだよ。お兄ちゃんじゃないんだから」


「そんなことできそうなのリク様ぐらい」


「まぁ、やろうと思えばできるけど、結構疲れるんだよね。集中しないといけないから、主に精神的に」


「「「……」」」


「え? 何?」



 皆が呆れ顔をこちらに向けてくる。何か変なことを言っただろうか。





「リク様、このドラゴンたち魔石だけ抜き取られてる」


「おぉ、確かに。全然気付かなかった」



 みんなで鼻をつまみながらドラゴンを観察していた中、アイラが気が付く。



「魔石なんて集めてどうするのじゃ?」


「お兄ちゃんは全部お金にしてたよね」



 魔石の利用方法なんてギルドで換金するか魔道具を作る素材にするぐらいのものだ。お金のためにこんな危険を冒すとは思えないし、魔道具の線が濃厚かな。



「魔道具とはなんじゃ?」


「魔石を入れると光るランプとかがある」


「お兄ちゃんは魔法で何でもできるから持ってないみたいだけどね」


「無駄にお金使う必要ないかなってさ」



 魔道具って意外と高いんだよね。今の所持金考えたらそうでもないけど。

 ちなみに、中に入るとあちこちに魔道具が置いてあった。光で照らすものから、デルガンダの城でちらりと見た魔道具まで。



「ルカ。あれ何か分かる?」


「確かお城にもあった」


「なんかお城の中での出来事を外から除かれないようにするためのものって聞いたことある」


「妾でも気付かなかったのはその魔道具のせいか」



 まだ少し魔石が残っている。使い切る前にここから抜け出したのだろう。



「それにしても凄い資料の山だな」



 周りにある机の上には大量の紙が積み上げられていた。



「主様はこれを見て何か分かるのかや?」


「いや、全く分からない」



 実際に魔法を使った所を見れば何か分かるかもしれないが、こんな資料だけ見せられても僕には何も分からない。

 それに、ただでさえ文字を読むのがしんどいというのに、こんな量読む気になれない。ちなみに、文字の読み書きは村長がこっそり教えてくれた。



「まぁ、全部ギルドに持っていけば何か分かるんじゃない?」


「お兄ちゃん、人任せにしすぎじゃない?」


「そんなこと言われてもなぁ」


「お役所仕事?」


「それは違うと思う」


「「?」」



 ルカとシエラはお役所仕事という言葉の意味がよく分かっていないご様子。

 その後はそこから続いているいろいろな場所に行ってみた。ある場所は食堂のようになっていたり、ある場所は研究室のようになっていたりといろいろあった。そのうち一つに、島の端で洞窟のようになっている船着き場があったので、島への出入りはそこからしていたのだろう。



「取り敢えずこんなもんかな」



 目に付くものはすべてアイテムボックスに収納した。後はギルドの人たちに任せようと思う。



「なんかやってることが盗賊みたいだね」


「英雄は多少の粗相も――」


「許されないから」


「それよりも眠いのじゃ」



 アイラはその言い文句気に入ったのだろうか。夕飯食べてから動きっぱなしだったから、シエラだけじゃなく僕も眠い。

 3人を抱えて地上へと戻った。



「っ!」


「あつっ! ちょっとお兄ちゃん!」


「……シエラ、結界」


「う、うむ」


「奇麗な炎……」



 そこら辺の虫を殲滅してから僕はいつも通りテントを作って横になった。ベッドを土で4つ作ってその上に布団を敷く。

 テントはかなり頑丈に作ってあるつもりだが、一応シエラにも結界を張ってもらった。多分、多少の襲撃なら問題ないはず。



「主様レベルの化け物が来なければな」


「え? 何の話?」


「リク様と同等以上の生き物何て存在しない」



 アイラの僕に対する信頼が重すぎる。そこまで言い切りますか。



「もう! 私の分からない会話しないでよ!」



 これ以上会話を続けるとルカがぐずってしまいそうなので話をすぐに切り上げて寝ることにした。





「お兄ちゃん?」


「なに?」


「なんでアイラが同じ布団にいるの?」


「いや、そんなこと言われても。ここ僕の布団だし」


「ちょっと寝相に失敗した」



 寝ぼけているせいか、アイラの言葉がおかしい。

 二度寝しようとして、アイラと一緒に布団にばたりと倒れこんだ時、いつかのように上から衝撃が来た。



「とうっ!」


「「ぐうぇ」」


「朝から騒がしいのじゃ」



 ルカの奇怪な掛け声はさておき、もう少し起こし方を考えて欲しいものだ。

 その後、朝食を食べ、シエラに乗ってガノード島を散策していた。



「ドラゴンたち襲ってこないな」


「シエラさんがいるからじゃない?」


『主様の実力は皆が見とるからな。妾がいなくても大丈夫だと思うぞ』


「避竜針?」



 アイラがおかしな言葉を作っている。それはいいのだがいい加減僕を併記扱いするのは止めて欲しい。

 そんなことを考えながら飛んでいると、あるものが僕の目に留まる。



「あの建物は?」



 僕の目線の先にドーム状の建物がある。ドラゴンが入れる大きさじゃないので多分、というか十中八九人が作ったものだろう。



『あれは少し前に人が建てたものじゃ。大きい魚とかを呼び寄せてくれる魔法陣が描かれておるのじゃ』


「お兄ちゃん以外にもこんなところに来るもの好きがいたんだね」


「どんな人だったの?」


『賢者と名乗っておったのじゃ』


「賢者?」


「え? お兄ちゃん知らないの?」



 ぐっ。何かルカに言われるとなぜか心が痛い。

 ルカの話では先代の魔王を倒したと言われている大賢者の末裔のことらしい。勇者の聖剣を作ったのもその人たちだとか。数十年前に魔物に襲われて滅んだらしいけど。



「要は魔法が凄い人ってこと?」


「魔法というより精霊術が凄かったって伝わってるよ」


「精霊術?」


「羽虫の力を借りて力を使うのじゃ」



 羽虫って……。精霊のことだよね? いや、確かに背中に羽が生えているとは聞いたことあるけども。



「精霊のこと嫌い?」


「何かに頼らんと何も出来ん有象無象のことなど気にしたこともないのじゃ」



 アイラの質問にそう答えるシエラ。もう嫌いだって言ってるようなもんじゃん。なに? ドラゴンと精霊って仲悪いの?



「ふんっ」



 まぁいいや。一応あの建物調べてみようかな。



「シエラ、お願いできる?」


「了解じゃ」



 シエラから降り、シエラが人型に変身したのを確認してから僕らは中に入った。

 建物の中に入ると、地面に大きな魔方陣が描かれていた。

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