カクレビトになる。
私が私で居られる場所なんて、何処にもない。
そう悟ったのは、去年の初夏だった。
自分の世界に閉じこもってしまうことが、単なる悪事として処理されてしまう世界。
涙なんて、とっくに枯れ果てた。流しきってしまった。
そんな私が見つけた“聖地”。
それは、誰にも邪魔されることなく、自分らしく生きられる場所であった。
社会からも隔離され、自分の理想をただ只管に追いかけられる“海のない島”。
現実世界から持っていったものは、セーラー服とお気に入りのシャープペンシルだけ。
なぜかって?
それは、私が一瞬だけでも経験する事の出来た“青春”を忘れないようにするため。
この“海のない島”の話をする前に、今の私が置かれている境遇を少しだけ話しておこう。
わかりやすく、簡潔に纏めるね。
孤独、以上。
自ら望んだものだから、本当は仕方がないこと。でも、やっぱり淋しい。
誰も話しかけてくれないんだよ、そんなの耐えられますか?
友達、欲しい。一人でいいから、こっちに来てほしい。
風に話しかけるなんて、もう嫌だ。
でも、こんなことより、私には一つだけ死ぬまでに叶えたい夢があるの。
もう一度、心から泣きたい。
胸が張り裂けるくらいに純粋な恋とともに。
枯れ果てた涙さえも、また潤してくれるくらいの恋がほしい。
誰か、聞いてるかな?
もし聞いてるなら、返事をください。
あなたに、
“カクレビト”になった私さえも、包み込んでくれる優しさがあるなら...