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変態、それ以外の言葉が見つからないような見た目をしたその(多分)男は攻撃力999の俺でもかすり傷一つつかない天使を素手で引き裂いた。そう、素手で引き裂いたのだ。
∞以外に表現のしようのないほど高いパラメーターが設定された天使を素手で引き裂いた彼、鑑定してみよう。
個体名 アルレッキーノ
職業 役者
スキル:騙し騙し
は?
パラメーターが記載されていない?
おかしい、パラメーターが鑑定できない事は何度かはあった、だがそれでも鑑定に失敗しましたや、???と隠蔽されているとわかる表示は出ていた。だがそもそも記載されていない?これはどういうことだ?
「さて、久々に暴れるとするかな。転移、桃太郎、シンデレラ、マックス、アリ・ババ、カーレン、死神。」
アルレッキーノの周りに6つの魔法陣が出現する。恐らく召喚魔法のものだろう。
現に魔法陣の中から6名の男女が出現した。念のため彼らも鑑定してみよう。
個体名 桃太郎
職業 役者
スキル:日本一の桃太郎
個体名 シンデレラ
職業 役者
スキル:抉り鳥
個体名 マックス
職業 役者
スキル:絶四の魔弾
個体名 アリ・ババ
職業 役者
スキル:オープン・セサミ
個体名 カーレン
職業 役者
スキル:暴走機関
個体名 死神
職業 役者
スキル:二分の一
うん、やはり謎だ。
いや、桃太郎にシンデレラはわかる、アリ・ババは多分アリババだろうしカーレンは確か赤い靴の主人公の名前だったはずだ。
アルレッキーノとマックスは知らないし死神は分からない。
まあ死神は名前からして相当強いのだろう、マックスとカーレンもスキルが強そうだし桃太郎は明らかに侍といった風貌をしている。だがシンデレラやアリ・ババ、アルレッキーノはどう戦うのだろう?そもそもこいつらは俺の味方か?天使たちの敵ではありそうなのだが………
「ふむ、桃太郎とアリ・ババ、シンデレラは天使の数を減らせ、ただし10体ほどは生け捕りにしろ、死神とマックスはこの人間を護れ。ああ、カーレンは自由にしていただいて結構だ。」
「わかりました、アルレッキーノは?」
「私は尋問だ、この人間に少し聞きたいことができてな。」
「了解、では久々に暴れますか!」
そう言って桃太郎達は天使たちの方に向かっていく。死神とマックスは俺の近くで待機しており時折マックスが矢を放つぐらいだ。カーレンは近くに飛んでいた蝶を追いかけている。一人だけほのぼのとしている。ここは戦場なんだがなぁ……
「さて、では尋問、いえ質問タイムといこうか。お前、そのスキルをどこで手に入れた?」
アルレッキーノが俺に話しかけてくる。しかしスキル?どれの話だ?
杜撰な模倣犯か【逃%$)!】かだとは思うが……
「なんの事だ?」
「惚けるな、杜撰な模倣犯は幾らかなり劣化しているとはいえ俺の世界のコピーだぞ!」
「このスキルはシエルデとかいう神にもらったんだ、詳しくは知らない。」
「ッ!シエルデ、貴様!シエルデといったか!?」
「あ、ああ。」
「そうか、シエルデか……なら職業がウィルスなのもOUTSIDE SKILLがあるのも納得だ。」
そう言ってアルレッキーノは姿を消した。
終盤何を言っていたのかは分からないがひとまず天使と桃太郎達の戦闘でも見るとしよう。
と思ったのだがもう戦闘は終わっていたらしい、四肢切断され達磨となった天使が10体ほど生きている以外はみんな死んでいた。無数の切り傷が付いた死体に肉が抉り取られた死体、縦に真っ二つになった死体、俺には到底無理な芸当だった。
「おい、マックス、アルレッキーノはどうした。」
「ああ、桃太郎、アルレッキーノは御主人様に会いに行ったよ。そんな事より聞いてくれないかい?今回もまた七発目が外れたんだ。」
「ああそうかい、なら七発目を当てる努力をするんだな、名役者。」
先程の戦闘が無かったかのように振る舞う二人、シンデレラはカーレンと一緒に花を摘んでいた。あたりを警戒しているのはアリ・ババと死神くらいだ。
「O Freunde, nicht diese Töne!」
いきなり達磨天使が大声で歌いだした。
「まずい!アリ・ババやれ!」
「はいよっ!オープン・セサミ!っと。」
アリ・ババが指を鳴らす。それと同時に真っ二つになっていく達磨天使たち、だが間に合わなかったらしい。空に巨大な魔法陣が浮かび上がりそこから無数の天使と一人の巨大な天使が出現する。四つの顔に二対の翼、炎に燃える剣を持ったその姿は神の御使いというよりは悪魔だった。
個体名 ケルビム
職業 智天使
スキル:神の玉座
まーたステータスのない輩ですか。