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~Side雲英英亮~
俺の名前は雲英英亮、いたって平凡な男子高校生だ。
いや、だった、というのが正確だろう。なぜなら俺は今、23歳だからだ。
言っておくがこれは留年だとか浪人だとかそういうもんじゃない、まぁそっちの方が信じられるだろうがな。
俺が何で23歳なのかっていうとなんと俺は異世界転移をしてしまったのだ。
そう、あの異世界転移だ。ネットの中でありふれているあの異世界転移。
その異世界転移が俺の身に起きてしまったのだ。
あまりにもありきたりだが俺はトラックに撥ねられ、女神さまに会い、それなりにチートなスキル【模倣犯の模倣犯】を授かり、まあ色々あって結婚したり貴族になったり魔王を殺したりしたんだがまあ話し出すと三日はかかるから今は置いておくとして、今現在俺は天使と戦っている。
神の使いとされるあの天使様だ。だが天使様と言っても人の姿はしていない。奴らは皆マネキン人形みたいな感じなのだ。
そしてなぜ俺が一人で天使と戦っているのか、それを知りたい方も多いだろう。俺が今こんなことになったのは俺が魔王に止めを刺した時だ。あたりが光に包まれた。
『おめでとうございます。勇者様方。』
目の前には女神様が現れる。確か名前は……
『シエルデ様ッ!?』
そうそう、確かシエルデとかいう名前だった。ちなみに今叫んだ彼は俺のパーティーメンバーの僧侶の■■■■君だ。
『ええ、確かに私の名はシエルデです。ですが―――』
この瞬間に戻れたら、と何度思ったことか。この瞬間に今の状態で行けたらいいか、と何度思ったことか。だけど時間は戻らない、前にしか進まない。幾ら嘆いても神がそう決めたのだから仕方ない、と思えたらどれだけいいものか。
『実験生物、いえ、生きていない、という点では実験生物以下である存在が神の名を呼ぶのは不敬ですね、ゴミ箱行きです。』
パチン
そのシエルデの指の音が当たりに鳴り響く。それと同時に消え去った■■■■。
『■■君ッ!?』
そう叫ぶ■■■■の彼女の◆◆、だが彼女もすぐに、
『煩いですね、貴女もゴミ箱行きです。』
パチン
また鳴り響く指の音。■■■■と同じように消え去った◆◆。
『ヒッ!?』
怯えた声を出す●●●●、そして彼女を庇おうとする俺、だがしかし。
「糞がああああああああ!」
俺の怒りが、俺自身への怒りと神への怒りを込めた拳が目の前の天使に炸裂する。
「なんで!なんで!なんであいつの名前を思い出せないんだよ!あいつ等の作ったスキルじゃ!データ上のスキルじゃ無理なのかよ!」
俺は、嘆く、だがそれを笑うかのように歌う天使。
「O Freunde, nicht diese Töne!」
やはり一切効いていない、ここで再度奴らのステータスを鑑定してみる。
個体名 天使 Lv99
職業 御使い
HP:∞
MP:∞
攻撃力:∞
防御力:∞
素早さ:∞
命中率:∞
魔法攻撃力:∞
魔法防御力:∞
スキル:なし
はは、勝てるわけがない。ちなみに俺のステータスはこれだ。
個体名 雲英英亮 Lv99
職業 ウィルス
HP:999
MP:999
攻撃力:999
防御力:999
素早さ:999
魔法攻撃力:999
魔法防御力:999
スキル:言語翻訳
鑑定
【逃%$)!】
杜撰な模倣犯
十鬼逢魔行 杜撰な模倣元 百鬼夜行
|過去視 杜撰な模倣元 全視
切札 杜撰な模倣元 53人の道化師達
こんな感じだ。
これでも十分チートなんだがそれでもステータス∞には勝てない。
糞が
「Weinend sich aus diesem Bund!」
そんなことを考えている間に天使の切先が目の前に伸びる。これはもうどうしようもないだろう、できればあいつ等と一緒の死に方がよかったけどこれもまあ仕方ないか、どうあがいても地球もここも0と1には変わりないんだ。どんな死に方も0と1から外れれることには違いないんだ、それは喜びだろう。ああ、そういえば結局最後まで謎だったな、【逃%$)!】は、まあ気になりはするけどまあいいか。
死を覚悟した、だけどまだ天は俺が死ぬことを許してくれなかったらしい。
「そんなに死に急ぐな、若人よ。」
そう言って天使の体を引き千切っていたのは変態だった。
天使のステータスの∞ですが実際に∞な訳ではなく鑑定によって分かりやすく表現されているだけです。