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「さて、ここはどんな世界かな?」
平原に一つ佇む屋敷、そこ扉から一人の人間が出てきた。
見た目からも声からも判別できない性別の人間、その名前はディスカイン、世界最強の召喚士だ。
「うーん、見える範囲では極めて平穏な世界なんだけどねぇ」
そんなことを言っているがディスカインの視力は0.1、さらに仮面を付けているため視界は狭かった。
「それにしても………少し静かすぎかねぇ。」
確かに周りは静かだった、鳥の鳴き声すら聞こえない、聞こえるのはディスカインの独り言と風の吹く音ぐらいだった。
「ちょっと調べてみますか、召喚大根役者達。」
ディスカインの目の前に魔法陣が広がりそこから十ほどの奇抜な衣装をした人と思われる存在が出てきた。
ある者はひし形の模様がついた衣装で身を包み仮面をかぶっていた。
ある者は鉢巻きを額に巻き侍とでもいうべき恰好をしていた。
ある者はみすぼらしい恰好をしており灰でまみれていた。
ある者はどこか不安げな表情をし弓矢を背負っていた。
他の人物の説明は割愛させてもらうが皆が皆一般人とはかけ離れた姿をしていた。
「およびですか?主よ。」
侍姿の男が一歩前に出、そう発言する。
「ああ、呼んだよ。君たちには周囲の探索をしてもらおうと思ってね。知的生命体や何らかの建造物を発見したら伝えてくれ。」
「畏まりました。」
そう言って彼らは辺りに散っていった。
「さて、待っている間はティータイムと洒落込もうかな。召喚、セバスチャン。」
魔法陣から執事姿の老紳士が出現する。彼はディスカインに何も聞かずにただ淡々と何処からかティーセットやテーブルに椅子を取り出し用意する。
「さすがはセバスチャンだ、完璧だよ。」
セバスチャンと呼ばれた執事は何も言わずその場に立っていた。
~一時間後~
「アルレッキーノから連絡が、大多数の人間と思わしき知的生命体と謎の飛行生物が交戦している模様、いかがなさいますか?」
今の今まで一度もしゃべらなかったセバスチャンがディスカインにそう告げた。
「へぇ、謎の飛行生物ねぇ。ドラゴンとかじゃないんだね?」
「ええ、アルレッキーノからの連絡では天使か悪魔のようだと。」
「天使に悪魔、か。セバス、私の召喚魔にそれらはいたかい?」
「今現在ディスカイン様が発動可能な術式は大根役者達、セバスチャン、民に願われるもの、死んだ英雄、蝗の軍勢です。この中に悪魔、若しくは天使はいません。」
「じゃあ試してみようか、アルレッキーノたちに伝えといてくれ、飛行生物を10ほど生け捕りにしてあとはすべて滅ぼせ、と。」
「畏まりました。」