1話
作者は、乙女ゲームをしたことがないのでいろいろ間違ってるかもしれません。
帰らずの森と呼ばれる森がある。
由来は単純で、その森に入った者は二度と帰って来ない事からその名で呼ばれるようになった。
森は深く、ランク上位の魔物達が横行しているという。
しかし、それだけならば、「誰も帰ってこない」などという事にはならないはずである。
人であっても、強者と呼ばれるような者達であれば、SSランクやXランクの魔物が生息している場所であっても無傷ではないにしろ、生きて戻ってくる事は出来る。
だが、この森は違う。
森が深い事や魔物が強い事以外に何かあるとしか思えない。
と言っても、帰ってくる者がいない為、森の中が実際のところ、どうなのかは分からない。
そうであるにも関わらず、帰らずの森へ入る者は後を絶たなかった。
毎年のように行方不明者が出るのである。
そして、その殆どが余所者で、地元の者は子供の頃から帰らずの森が如何に恐ろしいのか聞かされてきたため近寄ることはなかった。
しかし、そんな帰らずの森へ向かう幌なしの荷馬車が一台。
御者台に居るのは、近くの村に住む初老の男だ。
男は、森の手前まで来ると馬に指示を出し、荷馬車を停めた。
何故、森を避けるはずの地元の村人がここまで来たのか。
答えは荷台にあった。
干し草が大量に乗った荷台には、埋もれるようにして一人の少年が乗っていた。
十七、八くらいの少年で、赤い髪を後ろで一つに編んで細い黒のリボンで結んでいる。
黒を基調とした服装は、長旅の所為か少々草臥れているが、よく見れば仕立ての良いものだと分かる。
男がその少年に会ったのは、村から少し離れた所にある街へ出発しようとした時だった。
男の村は、貧しいまでは行かないが、特産等もなく、野菜や小麦、時には干し草を近隣の街で売って細々と生計を立てていた。
男は、この日も干し草を大量に積んで街へと向かうはずだった。
そこへ声をかけてきた者がいたのである。
声がした方へと視線を向ければ、一人の少年が立っていた。
黒と赤。
最初の印象はそれだった。
次に、白、緑。
そのどれもが、男の目には色鮮やかに映った。
長く艶やかな癖のない赤い髪、新緑を思わせる生き生きとした緑の目、透き通るような白い肌。
その全てが黒い服に映えて、少年によく似合っていた。
生まれてこの方、これ程まで美しい者を見たことがなかった。
周囲の雑踏が遠退き、時が止まったかのように感じた。
近隣の村や街以外の世界を知らない男には、この少年よりも美しい者はこの世に存在しないのではないかとさえ思えた。
そもそも人なのか?
精霊ではないか?
男の頭の中で、そのような疑問が浮かんだ。
上位の精霊は人の姿を取るという。
それらの精霊は、普段は見えない常人にも見え、極希に、人に紛れて生活している変わり者の精霊がいると、男は聞いたことがあった。
この少年は、そんな精霊のひとりなのではないだろうか。
そうして、暫し少年の美貌に見とれていたが、少年が発した一言で男は我に返る事になる。
「おっちゃん、帰らずの森へ連れてってくれない?」
耳に心地好い声だった。
けれど、言っている事はとんでもない事だった。
主人公の名前出すの忘れた…
次回、主人公の名前出ます。




