神話①
その戦いは千日間続いた。神と神の争い……誰もが終わりを望んだが、戦いは長引く一方であった。
数多の命が消え、神々も数を減らしていった。各々が正義を掲げ、神のために死ぬ。もはやどちらが正しいのか……それは誰にも分からない。
しかし、その戦いにも終わりの時が近づく。争いを始めた神と神とがぶつかり合う。
空が割れ、大地は消える。海は一瞬のうちに蒸発するほどの激しい戦いだった。
「アステアァ! 父を封印し、他の神々をも巻き込むとは……何を考えているのだ!」
「ハハハ! その顔だよ、その顔が見たいだけだよ、俺には何も無い、お前と私は紙一重なのに、お前ばかりが皆に好かれる。不公平だと思わないか?」
アステアが狂ってしまったのは私のせいなのか? 私達は二人で一人だと思ってきた、それはただの独り善がりだったのか……。
もはや目の前にいる神には慈悲など無い、ただ自分の欲望に忠実な狂った神だ。
「お前をまだ殺すことができない、手加減をしながら無力化するのは大変だったよ。まぁそれはお前にも言えることかもしれないがな。安心して眠るが良い、お前の愛した世界は破壊しない、極限まで苦しめて自分たちから死を選びたくなるような世界にしてやるよ」
無慈悲な言葉を紡いでいる。おそらく本気なのだろう、この世界を心底憎む神が統治する世界。一刻も早く救いが訪れることを祈るばかりだ……。
「ははっ、神が誰に祈るのだろうか」
自分で言って、自分を嘲笑う。肉体を失い、精神のみの存在となった、せめて亡くなった我が友の統治する国で眠ろう……最後の力を振り絞り不可侵の結界を張る。
私と適合する者があらわれるのは何百年先になるか分からない。
しかし、待ち続ける。私がこの世界に眠る限り、アステアも気まぐれに破壊することは出来ないはずだ。
「ミトラス、カグラ、ゼオン、テリーズ、ラクシス……私を信じてくれたのに、本当にすまなかった。必ず復活させるから待っていてくれ」
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「勝った! 俺は勝ったんだ! だが、まだ足りない。俺が受けた屈辱はこんなものではない。同じ位? いや、倍以上の苦しみが必要だ……あいつが眠った場所はミトラニアか? ふふふ、面白い事を思いついたぞ」
アステアは言って、神殿の奥へと消えていった。




