満たせじの路
「君を
貴方を
愛している
愛しているのです」
そう告げた言の葉はあの人も君も全く同じ言の葉だった。
くすくすと二人笑いあう。今から死ににいくのにとても幸せだった。
そして眼差しを絡ませ二人は唇をあわせた。深く深くそしてあまく……。
愛しい愛しい。貴方が君が何よりも愛しい。
だけれどこんな結末しか選べなくてごめん。ごめんなさい。
今は互いの温もりが只管に哀しかった。
そしてあたりは焔に包まれた。
焼け焦げた跡に佇む人物がいた。
哀しそうに微笑み。花を手向けていた。
そしてしばらくの間佇むと
振り返ることなく去っていた。
そして其処に訪れるものは誰独りとしていなかった。
そして其れは森の奥深くへと消えた。
其れは満たせじの路の悲しい結末。