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おばあちゃま、異世界降臨。

新連載始めました。これもあまり長くはならない予定です…たぶん。

穏やかに死んでいくことが、人生の最終目標であった。

彼女の年齢は八十の後半…幸いなことにボケることも偏屈になることもなく、孫夫婦の家の一室でその日ものんびりと目を覚まし着替え、亡き夫や子供達の位牌に手を合わせ窓辺の観葉植物に水を注いで、洗濯物を洗い籠に出す。

可憐で働き者な孫の嫁が、おはようございますと挨拶して洗濯物を受け取るのに、おはようと彼女は微笑み返した。

小さな家には孫夫婦…早くに亡くなってしまった息子夫婦の子供は、この春結婚した。

元々孫の幼馴染で、仲良しだったお嫁さんとは…実は孫よりも仲良しであるかもしれない。

なんというか、彼女のマイペースさとお嫁さんのマイペースさがよく似ているのだ。

ちょっぴりせかせかして短気な孫は、両親が幼い頃に亡くなってしまい夫も失っていた彼女の老いた細腕で育てられた。あまり裕福ではなく、子供には色々な不自由をかけてしまい、一時期はグレていたが芯は優しい子に育ってくれたと思う。

お嫁さんは「彼ってツンデレですよねぇ」と呟いて、かなりマイペースな彼女の言動を咎める孫の言葉の真意を教えてくれるのだ。

幸せな日々

それが突如として、失われたのは秋

近所でちょっと強引な所のある知り合いに誘われて、町内の老人会旅行に行くことになった。

日帰りのバスツアー

事故が起きたのだと彼女は思い出す。

どうしてそうなったのかは分からないが、横少し前を走っていた大きなダンプカーが、横転したのだ。

迫ってくる車体を窓越しに見て、周りが大音量の悲鳴を上げる中で、彼女は「あらまぁ」と呟いた。

これは助からないかもねぇと、かなり呑気に。

あまり痛くないといいんだけど……そう考えた次の瞬間


彼女は西洋風な遺跡の、ゲームなどにありそうな魔法陣の中に、ちょこんと存在していた。


「あらまぁ」

若い頃にやったゲームや、読んだ物語のような…そんなことを考えながら、周りを見ると、驚愕の表情をした人達。当然だろう、彼女だって想像したこともない。

こんな老婆が、(たぶん)召喚されただなんて。

魔術師の善良そうな外見だけした青年の表情が引き攣る。

この中で一番煌びやかな…けれどちょっと冷徹そうな容姿の王様が、驚愕の表情を改め一歩足を進めた。

左右に控えていた騎士が、慌てて王を引き留め、魔術師も慌てて魔法陣に踏み込もうとして…弾かれて尻もちをついた。

しかし騎士が止め切れなかった王の足は魔法陣を越える。左右に控えていた騎士達もである。

「あらあら」

とたん、光とともに書きかえられた文字を読んで、彼女は微笑んだ。

王は跪き、頭を垂れ…彼女の皺くちゃな手をとり額に当てた。

そして何か言ったが言葉は分からなかった。

「あらあら、こまったわねぇ…私外国語苦手だったのよ」

英語など右から左に流れてしまうし、一生日本から出る気のなかった彼女はそう困ったように言って首を傾げた。

彼女の言葉もあちらには通じなかったのだろう。そしてそれを予測していなかったのか、王は息を飲んだ。

しかし彼女は首を傾けたことで、自分にも彼らと同じものが脇に浮いていることに気がついた。

その白い半透明の板を手にとって、読む。


小島 由加里(86)勇者

勇者特性能力『神の目』-ステータス表示機能

      『生命力吸収』-認識した敵対存在の生命力吸収

レベル86

HP 50

MP 13888

吸収寿命 76

精霊の祝福・世界の祝福ほせい

装備品

孫からのプレゼント(衣服)

指輪

バック

お菓子・お茶・ハンカチちり紙・携帯電話・日本国通貨


吸収寿命を使いますか?

Yes/No

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