5 マルクス・レーニン主義の再発見
「マルクス・レーニン主義の再発見ということで良いですかね?」
「そうだな、階級闘争の定義がやや曖昧ではあるが、ほぼマルクスやエンゲルス、そしてレーニンの思想体系を再現したと言えるだろう。その後のベルンシュタインの修正主義の考え方まで示唆している」
「つまり全世界の四千九十六体のロボットによる実験で、これまで秘匿していた主な科学理論と哲学理論の再発見に成功したのは間違いないと言うことですね」
「そうだ。別の地区では実存主義や相対性理論や量子力学、そして超弦理論、M理論、…それから宇宙際タイヒミュラー理論も再発見されている。今回の実験は成功と言えるだろう。これらの理論の正当性に関する蓋然性がランクAAA+となったわけだ。この結果が我々の少数独裁制集産主義社会の『次の世代』の役に立つことは間違いない」
「では彼らの基盤記憶チップはリモートでクリアしておきますか」
「うん、そうしよう。次の実験が始まるまで、彼らにはまた楽しい青春時代を最初から過ごしてもらおう」
「さて、次は何を再発見してくれるのでしょうか」
暮色蒼然が近づく。
いつものように「東京」の入り口で、ボクと#Gは上空を一定の速度で移動する銀色の球体と、黄昏がその影に吸い込まれていく巨大な黒い穴を見ていた。
(了)
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