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第5話日常(非日常)

次の日私は白い壁を前に目を覚ました


壁ではなく天井だった。憲兵学校の医務室だろう


私は「目が覚めた?」という穏やかな声とともに目を覚ました


私は彼女の方へ目をやる


その容姿端麗なダイナマイトボディ


その容姿は同性である私すら"おっふ"とさせる


「アテレス先生…」


「お礼なら転校生の子に言ってちょうだい」


「転校生?」


「クロウ・ベアトリスさんよ。名前みたいな名字よねベアトリス………ベアトリス……ベア名前みたいね」




教室に戻ると私のとなりの席にはクロウが座っており学年中の女性が集まっていた


クロウは学校指定のものではなく振り袖のような服装を

している


ハーピィのような腕をしている彼にはぴったりの偽装だ


中性的な顔にもよく似合っている



「あれが噂のクロウ様!?」

「ガチイケメンじゃない?!!」

「キャーサインちょうだい!!!」


彼は私から見ても容姿端麗


転校生属性もそれを加速させ女性達からは黄色い声援を集めていた


(助けてマリヤ)


彼は私にアイコンタクトで助けを求めてくる



たまには痛い思いをさせてやろう



産まれてこの方母と兄弟以外まともに会話をしたことがない

彼は女性限定の恥ずかしがりや、いわゆる童貞であった



(すごいなあクロウさんは俺なんて入学してから誰ともまともに

会話できてないってのに)


リラは体長2.5m体重170kgという大柄な体格に対し

とても臆病な性格をしていた


(昨日車の中でクロウさんにずっこけるツッコミいれたら二人とも黙っちゃったし)



「ちょっとリラがめっちゃ私達のことみてるんだけど」

「あんた達が騒ぐからでしょ」


うるさくしたことでリラの気に触ったと勘違いした女子の

こそこそ話をきっかけにクロウに集まっていた女子は各自席について大人しくし始めた




「ふぅー助かったよリラ。転校したばかりでこれは困っちゃうよね」


クロウは本心からそう言ったのだかリラは勘違いをした


(楽しい雰囲気を僕が壊したことに対する皮肉なのか?!)


リラは被害妄想が激しかった


小さい時に初めて読んだ本のフレーズ


"ろくでもない人間がいる。お前である。くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。"


彼の心にはこの言葉が突き刺さっていた


からというもの彼はできるだけ誰とも関わらない、迷惑をかけない


これをモットーに生きていた


今ではそれを拗らし


彼はただの被害妄想星人にになっていた



(もういいやとりあえず飯食おう)


リラは立ち上がり購買へと向かう


いつものことだ僕は人に嫌われ逃げられる


でもそんな僕から逃げないし嫌わない物がこの学校にはある


それはこのバナナサンドだ


誰にも邪魔されない校舎裏で




このバナナサンドはバナナをクリームとサンドしただけではない熟したバナナをすり潰してシナモン、ザラメ、生クリーム、メロン果汁、レモン汁をまぜたクリームサンドなのだ


深みのある生クリームにザラメのガジッガジッという食感と力強い甘さが堪らなく上手い

メロン果汁の主張しすぎない甘酸っぱさ、シナモンとレモン汁がサンドに華を咲かせている


あぁ上手い。今僕の胃袋にはバナナサンドのオーケストラが美しいハーモニーを響かせている。

後味いや………食べた後の余韻まで美しいなんて………




「おいてめえ兄弟とか抜かしてクロウ様に近づきやがって。クロウ様は皆の物だぞ分かってんだろうなァ」


リラの存在は気づかれることなく校舎裏ではヤンキー達がマリヤを囲んで喧嘩を始めていた


「知らないよそんなことーホントに兄弟だもん!」


「名字が違うじゃねーかよ」


ヤンキー達は何かマリヤに不服があったようだ


しかし女性一人に4人もの男性というのは受け取りようによってはいじめになる


(どうしよう)


「あっリラ!」


ヤンキー達はその言葉に反応してリラの方へと視線を移した


「なんだてめぇ?」


僕はヤンキー達に睨まれ声が出なかった


いじめはだめだ


止めないといけない


だけど………怖い


けれど勇気を振り絞ってヤンキー達に伝えた


「これは良くない行為です」そう伝えたはずだった


ゴモゴモとした喋り方はヤンキー達には


「コ………ロ…s」


(殺すだと……)

(デカすぎんだろ……)

(クロウとは違うオーラ……)

("""死ぬ""")


間違って伝わっていた



2m越えの大男に殺すと脅され怖がらない人間はいない


ヤンキーAはあまりの恐怖に涙を流し赤子のような顔に

ヤンキーBは足を震わせて小鹿のように

ヤンキーCは頭が空になり、目が点に

ヤンキーDは逃げたした


そしてリラは………


恐怖のあまり体を震わせていた


(こわいよぉぉぉぉ×5)


ヤンキー達は震えながら白目を向いているリラを見て怒っていると勘違した


「来るなぁァァ」

「ごめんなさいー!」

「もうしませっぇん」


彼らは流れるような動作で土下座をし逃げ去っていった


そして気絶したリラはマリヤに引きずられながら保健室に向かった

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