第10話カエルは海漬になりたくない
アワフキに仕事を依頼したのはラビッツという製薬会社
海外に薬を運んでいる最中に船が沈没してしまい薬が海に悪い影響を与えていないかを調査してほしいという内容だった
「それではアワフキさんよろしくお願いいたします」
アワフキは依頼者の部下に支給されたボンベをつけ海中カメラを持ち水中へと潜る
気温は現在3℃
彼は慣れた動きでどんどん深くまで潜って行った
周りには魚はすらいない見えるのは青い水だけである
アワフキは30m位潜ったところで沈没船をしっかりと視界に収めることができた
12枚くらい船の写真が撮れたところで
アワフキは裂けた船首から沈没船内部へ入った
船の中は外よりも暗く携帯照明の光も闇に吸い込まれていた
船内ではプラで鋪装された錠剤などが天井に浮いていた
ガラス瓶に容れられた薬品はほとんど割れており周りに藻が生えていないことから周辺の水質に何らかの影響があったことが分かる
ある程度探索したところで一つだけ入れない部屋があることに気がついた
鍵が掛かっており水も入れないほどに密閉されていた
(気になるなぁ)
アワフキは非常脱出用のレーザーカッターを使ってロックされている部分だけ切り取りドアを開けた
部屋の中は異質な雰囲気を漂わせていた
中に金庫が一つ
(絶対いいもの入ってるじゃーん)
アワフキは部屋に入ったときと同じ手段で中身を確認しようとするが縦横50cm円状の傷をつくるだけだった
(こうなったら力ずくで)
アワフキは傷つけた円の真ん中を何度もハンマーで叩いた
やっと空いたそう思った瞬間
密閉されていた部屋は急に開いた穴によりアワフキを吸い込むように水流をつくった
彼は体勢を立て直し口から外れてしまったチューブを咥え直す
焦ったことにより酸素はかなり減ってしまった
(戻らないとな)
そう思ったとき部屋の角に何か光るものを見つけた
アワフキは何かあるのかと思いその光る何かに近付いた
彼は光る何かを手に取ると携帯照明の光を当ててそれの正体を確認する
それは小さな幼虫のような生き物だった
その生き物はアワフキの顔にまとわりつきうっとしいほどに邪魔をする
アワフキはその生き物を叩き潰そうとするがしつこくまとわりついてくる
そのとき生き物はアワフキの耳の穴に入り込みぐゅかぐゅかという音を発てながらアワフキの頭に激しい痛みを引き起こした
アワフキは痛みを堪えながら必死に海上へ戻ろうとする
鼻から水が入り込み痛い
それ以上に頭が突き刺される痛みで失神しそう
彼は船から脱出し得意の泳ぎで上へ上へと上がっていく
しかし体が言うことを聞かない
海上へまであと数メートルというところ
彼の体は上への慣性を失い海深くへと沈んでいった




