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第1話我輩は熊である。名前は………

【世はまさに大エネルギー危機であった】


エネルギーとは万物全てに存在するそれら自体とも言えようものだ


太陽から草木へ、草木から草食獣へ


草食獣から肉食獣へ、肉食獣は死して土壌を潤し


死して草木へ還元する


これらは回り巡ることによって動物、植物そして無機物でさえも恩恵を受ける




しかし人間は戦争を繰り返し自然に還元するどころかエネルギーの循環を破壊し続けていた


ついには地球の化石燃料を使い果たし


宇宙を飛び回り、星々を飛び回り


なんと100年分のウランを手に入れた


しかし原子力発電所が増えれば原発事故のリスクも増える


これは放射線により突然変異した熊のお話である


ある時人間は海の近いこの森にやってきて原子力発電所を建てた。


しかしこの発電所というのは建前で人間は戦争に使う武器を開発していた


研究に研究を重ね彼らは"E-レーザー"を完成させた


■"E-レーザー"とは■


浴びせればPCはショート


放てば弾道ミサイルは落下


かければ電気信号を遮断


という優れものである




そんなものがあれば世界は喉から手が出るほどほしいだろう


スパイ活動、買収、法律改正


様々な手段でそれはみるみる普及し


E-レーザーの撃ち合いによる世界規模の泥試合が始まった

世界の戦いはまるで16世紀


剣や盾、銃なんかを使った人員戦闘ばっかり



この森の発電所も例外なく巻き込まれ戦争のせいで

原子力発電所は核汚染された物質を排出しそれを生物が取り込んだ


生物は放射能を受けることで様々な影響を受ける。


よく聞くのは"死ぬ"とか"皮膚が爛れる"だろうがそれだけじゃじゃない



女性なら不妊になったり

胎児なら染色体異常や突然変異

それ以外でも癌など様々な悪影響をうける



だが当時胎児だった私は運良く突然変異を良い方で引き起こした


それは普通の熊にはあり得ない頭脳だ

私は幼少期からスバ抜けた頭脳を持っており

人間の捨てた原子力発電所を使って様々な研究を行った


そのなかでも不妊になってしまったは私は自分の子供を開発するのに熱をいれていた


開発から6年

なんとロボット娘のマリアを造りあげたのだ


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

私はそこから破られたページを飛ばして最後のページの裏側へと目をやる


「いつかこれが終わったらあなたの部屋の角の蓋を開けて地下研究所へ行きなさい。あなたへのプレゼントがあるわ」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

私は日記を閉じ彼らと目を合わせる


マリア「ほらみなよ私はロボットじゃなくて!クマでしょ」


アワフキ「ロボットって書いてあっただろ!」


マリア「でもクマの娘だからクマでーす」


カネアシ「今頃天国ではお母さんのもとに花が降っていますね」


騒がしくも和気あいあいとした雰囲気



私達は車に乗ってラドュガが開発研究を行っていたという発電所を目指していた


幼なじみのお調子者アワフキと無口のリラ


ラドュガの友達スーツ好きなカネアシこの4人で


彼らと共にお母さんの日記にあった地下研究所へ向かう


「ついたぞ!」というアワフキの一言に皆が窓の外を見た

そこには戦争の影響で"森"という名前には相応しくない景色が広がっていた


アワフキは運転席から振り返り

マリヤの顔を見て背筋が凍るのを感じた

「ガチでクマじゃねぇかよ」




この悲惨な景色を見てマリヤは母との思い出を蘇らせていた


「きれいなお花だねーマリヤ」


母とつくった花畑はもうない


あるのは栄養のない硬い土



「この水車のお陰であっちまでお花に水が行くんだよ」


昔の水車の姿はもう無い


あるのは砕かれた木の板


「マリヤはやさしいね」


私はもう汚れちゃったんだ


あるのは



あるのは………




あるのは…………



お母さんがくれたものは皆奪われちゃったよ



私が………



私の母が!



どんな思いで自然を守ってきたと思っているんだ



戦争なんて………


戦争なんて何も生まないじゃないか!


生むのは憎しみと怒りだけ………





彼女の目には涙が………何てことはなかった


ほとんどの野生動物というのは人間と違い心を含め追い込まれると泣いたり鬱になったりするのではない


その対象に威嚇し、怒り、攻撃する


つまり殺意を向ける


その殺意は陸上最強の熊の強さの1つである


熊は自身が追い込まれると我が身を惜しまんと相手を殺そうとする


そのプログラムされた鋭い殺意はこの場をいとも容易く緊張させていた




「ないものに殺意を向けても仕方ありません。あなたなら分かるはずですよマリヤさん」


カネアシは紅茶を置いて私に触れた


その一言で我に帰った


私はほっと息をつき


「そうだね、ありがとうカネアシ」


カネアシは微笑んだ



発電所の中は薄暗く埃臭い


地面のタイルはひび割れ昔の名残なんてものはない


だが知った道だ


一度入ってしまえば目を瞑ってでも自分の部屋が分かる


まっすぐ行って~

あっち行って~

こっち行って~


私の部屋!!


かつての自分の部屋の隅へと目をやる


土と埃の被ったカーペットをめくり木の板をずらすと

地下への階段が現れた。


より強い埃の臭いに加え消毒液の臭いやカサカサという音が不快感を増長させる。


(よし気持ち悪いけど頑張って進もう)


私のお母さんは自分の研究所に人を入れるのを嫌っていた

私でさえ入らせてもらえなかったのだ


一度お母さんが開発中の機械に潜り込んでこっそり研究所に入ろうとしたことがあった


そしたら警備センサーが私の潜り込んでいる機械ごと弾丸を撃ち込んできて痛い思いをしたことがあった


そのときお母さんにこっぴどく怒られたなー


「ということだから皆はここで待っててね」

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